004 | メディア・ダイエットの勧め

2

holistic


前々号と前号は眠りがトピックでしたが、今回はその流れから、昨今問題になっているメディアの影響と健康の関係を探ってみました。メディアとの接触は、毎日あるのが普通になっていませんか? これを機に減量して、より健康的なメディア・スマートになりましょう。

よくも悪くもマルチメディアの時代

いまや世界中の情報が、どこからでもリアルタイムで手に入る時代。電子機器などを有効に使えば、人生の幅を広げるなど、いい面もあるので上手に利用したところ。ただし、ソーシャル・メディアなどのデジタル・ネットワーク系のアクティビティに没頭して、健康的な生活のバランスを崩す人も少なくないので、ご注意を。ポイントは、まわりに流されて「使われる」のではなく、常に自分で「使う/使わない」をコントロールすることです。以下、ダイエットの必要性をリストアップしてみました。

電波や電子機器が及ぼす害

まず、メディアそのものの害に触れる前に考えなければならないのが、目に見えない環境汚染。電子機器は、他の電化製品同様に電磁波領域を作ります。加えて、わたしたちは毎日、年々のように強くなっていく電波にさらされているのです。この目に見えない環境汚染は、遺伝子(1)や腸内の細菌(2)レベルで、わたしたちの健康を脅かしていることを念頭に置く必要があるでしょう。例えば、地下鉄利用者なら、地下鉄でワイファイ接続できるようになり、便利度がアップしたと思うかもしれません。しかし、健康面では明らかにマイナス。個人の選択余地がないため、ありがた迷惑なことです。特に電波が増幅される、車両(自家用車・バス/タクシー・電車)内や電波の弱い場所での通話・テキスト・ネット接続は避けるべきでしょう(3)。(電波・電磁波やその他の目に見えない環境汚染については、今後追って詳しく取りあげる予定です。)

携帯電話の問題点

携帯電話はデスクトップやラップトップと違い、バスや電車・地下鉄内で、また歩きながらでも簡単にネット接続できます。 この「常にアクセス可能」という面が、利点であり問題点でもあると思います。わたしのクライアントには、「24時間体制?」と思わされた人もいました。もちろん「何だか落ち着かないし、よく眠れない」という症状を持っていました。いわゆる「中毒症」です。健康のためには、使用中以外はワイファイ設定をオフにし、接続を最小限にするのがベスト。タブレットも同様です。

メディアに左右される心の健康

テレビなどで報道されるニュースは、全世界にまたがるため、そのほとんどがわたしたちの生活範囲外でのできごと。残念ながら、その多くはネガティブな内容です。時代とともに技術は進歩しましたが、人間のストレス反応のメカニズムは、進化していないようです。なので、自分の体験していることでも、地球の裏で起きていることでも、脳がストレスだと受けとめれば、からだはストレス反応を起こす仕組みになっています。

特にテレビ視聴時間の長い家庭では、大惨事などのニュースを繰り返し見る可能性が高いため、戦闘経験者や大事故に巻き込まれた人などによくみられる、PTSD(Post Traumatic Stress Disorder=心的外傷後ストレス障害)を引き起こす率が高いと報告されています。加えて、ニュース視聴などに起因するPTSDの率は、こどもの方が明らかに高いので、特に小さいこどものいる家庭では、テレビ番組の内容を制限するのが最善策だといえます。また、ショッキングな映像を見てしまった場合には、こどもと話す機会を作って、テレビの世界がどこにでもある状況ではないということを、認識させる必要があるようです(4)。

この記事を用意するにあたって、数年前にわたしの同僚が「悪いことばかりで気が滅入るから、わたしはニュースを見ない」と言っていたのを思い出しました。悲しいニュースを見るたびに心を痛める人は、新聞紙(もちろん戦争や殺人の記事などは、とばして読む)に切り替えるか、ニュース自体から遠ざかることをお勧めします。

これらはテレビのニュースに限らず、YouTube(ユーチューブ)などのオンライン・ビデオでも、内容がショッキングであれば同じこと。昨年のBBCニュース・ブログにも、ソーシャル・メディアとPTSDの関係を取りあげたものがありました。その中で「ファースト・フードをいつも食べていると、健康に悪影響を及ぼします。それと同じで、バイオレントな映像をいつも見ている状態だと、精神的に受ける悪影響は大きいはず。」という、Dr. パム・ラムスデンのコメントを紹介。この記事では、彼女のリサーチ結果とコメントを反映し、YouTubeなどの使用でPTSDの引き金となりえるのは、「連続して」バイオレントな映像を見ることだとしていました。逆に、連続して見なければ、長期の問題につながる可能性は低いとのこと (5)

ちなみに、PTSDと診断されるのは、フラッシュバック(特にトラウマなど、過去の記憶が感覚と一緒に鮮明によみがえること)、人やものなどに対する遮断、 気分の不安定さ、睡眠障害、などがトラウマ体験後一か月以上に渡って続く場合(5)。近年では、テレビやオンライン・ビデオ視聴により、PTSDに似た症状が多く報告されているので、兆候がある、またはあるかもしれないと思う人は、医師や専門家に相談することをお勧めします。

携帯電話は便利だけど、害になることも考える必要があります。

携帯電話は便利。でも健康の害になることもお忘れなく。

ソーシャル・メディア中毒

特に大学生などの若い年齢層でFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)をはじめとする、ソーシャル・メディアの中毒者が増えているようです。また、中高生の場合は親の管理が行き届きにくい領域なので、こどものスクリーン・タイムを制限しきれないのが現状(6)。試験勉強に手がつかずテストの点数に影響したり、ついていかないと取り残されるという恐怖感がストレスになったりと、ソーシャル・メディア中毒が引き起こす問題は各種。昨年のレポートによると、あきらかに女性の方が携帯電話中毒に陥りやすいようです。また、中毒症状のある人には、不安症や自己評価の低い人が多いとのこと(7)。女性に限らず、もし携帯電話がいつも手元にあり、ソーシャル・メディアに限らず、空き時間には必ず携帯のスクリーンを見ているなら、要注意かも!?

このところ、ナチュラル・ヘルスを指導する人たちによる、メディア・ダイエットやメディア・デトックスの処方が増えているようです。上記の理由により、わたしもクライアントのプログラムによく取り入れています。多くの人がメディアにどっぷり浸かりきっているせいか、郊外に行き、テレビ、携帯電話やネットの使用一切なしで一週間を過ごす、というプログラムが密かに人気を呼んでいる話にも納得。一切合切を断ち切るのは、究極のメディア断食といったところでしょうか? 一時的な「断食」も効果的ですが、個人的には「日頃からの減量」をお勧めしたいと思います。

 

参照:

  1. Gye, M and Park, C. (2012). Effect of electromagnetic field exposure on the reproductive system. Review. CERM (Clin Exp Reprod Med) 2012;39(1):1-9. doi: 10.5653/cerm.2012.39.1.1
  1. Bayir, A et al. (2013). The effects of different intensities, frequencies and exposure times of extremely low-frequency electromagnetic fields on the growth of Staphylococcus aureus and Escherichia coli O157:H7. doi: 10.3109/15368378.2013.853671
  1. Bevington, M. (2014). Electrosensitivity: Symptoms and Impact. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7
  1. Hamblen, J and the Dart Center for Journalism and Trauma. (2015). Media Coverage of Traumatic Events: Research on Effects. PTSD: National Center for PTSD. [Online] Available at: http://www.ptsd.va.gov/professional/trauma/basics/media-coverage-traumatic-events.asp (Accessed: 07/02/2016)
  1. Wendling, M. (2015). Can social media cause PTSD? BBC Trending. [Online] Available at: http://bbc.co.uk/news/blogs-trending-32852043 (Accessed: 07/02/2016)
  1. Houghton, S et al. (2015). ‘Virtually impossible: limiting Australian children and adolescents daily screen based media use’, BMC Public Health. 2015, 15:5.
  1. Al-Menayes, J (2015). ‘Psychometric Properties and Validation of the Arabic Social Media Addiction Scale’, Journal of Addiction, Vol.2015, Article ID 291743. Hindawi Publishing Corporation.
Share.

About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に補完・代替療法の世界に入る。CAM(コンプリメンタリー/オルタナティブ・メディスン)プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

2件のコメント

  1. 徳永 ゆり子
    徳永 ゆり子 on

    コメントありがとうございます!今しがた、気づきました。。。すみませ~~ん!!日頃からのメディア減量は、無理なくできる、小さいことから取り入れてみてください。あとは、その他のところで、健康的なライフスタイルに注力することをお勧めします。例えば、仕事で常にネットが必要な人は、新鮮なオーガニック野菜やフルーツを積極的に摂取したり、EMFグッズやアーシング・パッドを使うなどして、電波などから受ける影響を少なくする、という手もありますよ。これらは、追って取りあげますね。:-)

  2. 江國 まゆ

    とても考えさせられる内容です! 日頃からの「減量」・・・ネットを使って仕事をしているとできそうでできないような気にさせられるけど、仕事にわずらわされないときに完全なWifiオフ日を作るっていうのもいいかなって思いました ^^ 充実した内容をありがとう!

コメントを残す