013 | どちらが、本当のわたし?

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前号で紹介したブリストル・チャートの、タイプ4あたりをキープしているなら、善玉菌の種類と数も健康的かと思います。わたしたちのからだに住む微生物(バクテリア、ウイスル、カビ菌、寄生虫)の数は、ヒトの細胞の10倍(1)。まだまだ未知数な部分は大きいのですが、今までわからなかった彼らの活動内容が、どんどん明らかになってきています。また、この莫大な数の微生物たちの多くは大腸に住むバクテリアで、彼らのDNAの数はヒトの150倍(2)。わたしたちの与える環境状態によって変わる彼らのDNAシグナルが、わたしたちの健康に大きな影響を与えていることは言うまでもないようです。そのため最近では、腸内細菌の方が「わたし」に相当するのかも?ともいわれています。

腸内細菌の健康はなぜ大切?

腸内細菌のレジデントといわれる菌は、大きくは善玉菌と悪玉菌に分かれます。両者のバランスが整っている状態なら悪玉菌はおとなしくしている状態。抗生物質、加工食品、ストレスなどは、 善玉菌を減らすため、悪玉菌が増殖し、腸内のエコバランスが崩れます(3)。免疫システムの60〜70%が腸にあるため、腸の健康が崩れると免疫力システムのバランスが崩れ、病気にかかりやすくなります。わたしたちの住む環境は、いろんな薬品や公害で汚染されているので、防御システムである免疫力を高めに維持することは、健康の基本ともいえます。

 特に注目の的なのは…

腸内細菌に関する研究の各種は、各界から熱い眼差しを受けています。特に最近注目されているは、健康な人の便を濾して残った細菌をフリーズドライのカプセルなどにして処方する「フィーカル・トランスプラント(直訳すると、便移植)」。重度の自閉症を患うこどもをはじめ、各種の難病や感染症が改善に向かうなど、いい結果が出ているようです。ロンドンではイギリス発の冷凍便バンク(⁉)が、今年の5月にオープンしたとのこと(4)。一般に向けて門戸は開けていないようですが、今後の動きが気になります。

プロバイオティック・サプリメント

みんなが知っている、ビフィズス菌は善玉菌の代表的なもののひとつ。菌の種類によって役割が異なるため、プロバイオティック商品を扱うサプリメント業界では、この先、菌の種類別/使用目的別の商品開発に力が入る見込みです。例えば、スリミング目的のもの、コレステロール値を下げるもの、下痢止めになるもの、便秘にいいもの、鬱や不安症改善のもの、などなど。一般的にはプロバイオティックスとして知られているものには、 WHOのプロバイオティック規定からは外れるものが多く、厳密には「プロバイオティック」ではなく「メタボリック・レスポンス・モディファイヤー(直訳すると、代謝反応調整物?)」の類に属するものが多いようです(2)。これらは、腸内で善玉菌の増殖を助けたりしますが、最終的に体内にとどまることはありません。そのため、消化管内を通過したら、便の一部となって出て行きます。わたしが仕事でよく処方するのは、目的別に数種類。市販はされていませんが、胃酸で殺されず、腸内に残るものが、今のところ一番パワフルのような気がします。上記のとおり、プロバイオティックスと呼ばれているものには、いろんな種類があるので、もし自己流で試したいという人がいれば、症状別にバクテリアの種類を前もって調べ、医療トライアル済み(または、リサーチ済み)商品の使用を探すのが一番だと思います。

人気の発酵食品、でも意外な落とし穴が…。

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プロバイオティック食品

特に抗生物質投与後などは、特定のサプリメントで対処するのが有効ですが、健康であれば、日頃から醗酵食品で腸内環境を整えるがお勧めです。 食品例は:漬け物、キムチ、サワークラウト(キャベツのピクルス)、ピクルス、納豆、みそ、麹、テンペ、ケフィア、プロバイオティック・ヨーグルト(オーガニックでなければ、ココナツミルクから作ったもの)、コンブチャ(紅茶キノコ)、ナチュラル・チーズ(非加熱処理のもの)など。
キャベツや白菜、カリフラワーなどの漬け物/ピクルスなら、繊維質、ビタミンK、サルフォラフェンという硫黄系の有効成分も同時に摂取できます。
ただし、醗酵食品は健康食品であると同時に、高ヒスタミン食品でもあるので、花粉症や遺伝子的にヒスタミン代謝に問題のある人、また自己免疫疾患のある人などは(炎症を抑える目的で)、発酵食品は控えてサプリメントやその他で腸内環境を整える方が安全のようです(5)。

 現代人の食生活と腸内菌の関係

昨年に出席したコンファレンスで、ゲスト・スピーカーのひとり(双子の研究で著名なキングス・カレッジの教授)が、ファースト・フードと腸内菌の種類と数の調査結果を公開しました。ショッキングなことに、ファースト・フード食を始めて、たった一週間のうちに菌のバラエティが40%減、約1,200種も減ってしまったのです(6)。今年の腸内細菌に関するコンファレンスでも、カナダの研究者が健康な学生たちを対象に似たような調査実施しました。その結果によると、ファースト・フード(某社ブレックファースト、一食のみ)摂取後5時間後には参加者の65%にリーキー・ガットがみられ、回復までに2週間かかったとこのこと(2)。ファースト・フードの問題点は、腸内エコバランスを崩す、添加物の多い加工食品であること。同時に、善玉菌が必要とする繊維質がほぼないこと。これらは、ファースト・フードに限らず、多くの加工食品に当てはまります。これらの調査結果から、加工食品中心の食生活は、わたしたちを弱くするものであることがうかがえます。

 善玉菌をハッピーにする食事

腸内細菌たちは、わたしたちの食べるものに頼って生きているようなもの。同時に、わたしたちの健康は、腸内細菌たちの状態に大きく左右されています。なので、善玉菌たちがハッピーかつ健康でいるために必要なものを与えることが、いかに大切かご理解いただけたと思います。 前号でも少しふれましたが、腸を健康にする善玉菌の好物は繊維。ねぎ類やにんにくなどに含まれる、イヌリンという繊維質が特にいいようです。また、イギリスの家畜はオーガニックでない限り、抗生物質投与を受けていると考えるのが妥当(これも、大きな問題点の一つ)。なので、牛乳・乳製品や肉・肉製品を摂取する人は、善玉・悪玉の両方を殺してしまう、抗生物質も一緒に摂取していると考えるべきでしょう(食品については、007〜009号「食品のチョイス」3号分をご参照ください)。自然界に存在しない薬品や添加物が含まれる食品など、腸内環境を悪くするものは、可能な限り避けるのが一番です。また、食べ物がない状態で活発になるバクテリア種もいるので、夕食後は、翌日の食事(朝食か昼食)まで12〜16時間絶食するとさらに善玉菌の状態が整うようです。同時に、時間制限が代謝を刺激するため、肥満防止にも有効です(7)。

 

参照:

  1. HMP. (2016). Human Microbiome Project DACC – Microbiome Analyses. [Online] Available at: http://hmpdacc.org/micro_analysis/microbiome_analyses.php (Accessed: 09 August 2016)
  2. Krishnan, K. (2016). A New Understanding of Probiotics and The Human Microbiome. [CAM Conference: Feeding the gut: health through microbiome modulation] 21 May.
  3. Brown, B. (2015). ‘Metabolic Endotoxemia: Clinical Consequences a d Nutritional Therapy. [CAM Conference: Meeting the microbiome] 12 September.
  4.  Brown, B. (2016). ‘Modern Diets, Dysbiosis and Inflammatory Disease: personalised Nutritional Microbiota Restoration’. [CAM Conference: Feeding the gut: health through microbiome modulation] 21 May.
  5.  Cohen, S. (2016). Why You Shouldn’t Eat Leftovers or Fermented Foods. [Online] Available at: http://www.suzycohen.com/articles/fermented_foods_histamine_migraines/ (Accessed: 09 July 2016).
  6.  Spector, T. (2015). ‘The Human Gut Microbiome and Its Association with Obesity. [CAM Conference: Meeting the microbiome] 12 September.
  7.  Zarrinpar, A at al. (2014). ‘Diet and feeding pattern affect the diurnal dynamics of the gut microbiome’. Cell Metab. Dec 2;20(6):1006-17. doi:10.1016/j.cmet.2014.11.008.

 

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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に補完・代替療法の世界に入る。CAM(コンプリメンタリー/オルタナティブ・メディスン)プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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