021 | 間食と血糖値のお話

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消化と吸収が最大限になる食べ方をマスターしたところで、次は食事の頻度や内容とタイミングをチェックしてみましょう。午後のおやつどきに、砂糖たっぷりの甘いお菓子とコーヒーに手が伸びるなら、その理由を探る必要があるかもしれません。

一日三食は基本?

一日三食が基本になったのは、人間の歴史からすると比較的新しいもの。イギリス人が朝食をとるようになったのは、ビクトリア時代以降のことと聞いています。それまでは、一日二食だったそう。大量生産型の加工食品などはなく、食べ物といえばホームメイドで、当然ながらすべてオーガニック。さらに石器時代に遡れば、農耕や酪農はまだない時代なので、ハンター・ギャザラー(狩猟民族)の生活。あるものをある時に食べていた、といったところでしょうか。歴史を辿ると、一日三食は必須でもなさそう…。

間食は必要?

基本的におやつや間食は必要なく、返って健康の害になるもののようです。イギリスのニュートリション業界では5〜6年前まで、血糖値の安定を目的に間食(といっても、チョコレートやビスケットではなく、低糖高タンパク食品など)を勧めることが主流でしたが、2011年にcPNI(クリニカル・サイコニューロイミュノロジー=精神神経免疫学)で知られる、オランダのレオ・プルインブームが、今までの膵臓に対する理解を根本から覆し、その後、消化機能や安定しない血糖値への対処法も変わってきました。血糖値安定対策に間食を使っても、問題の根源は改善されず、返って不健康へと導く可能性があるからです。(1, 2)

不安定な血糖値は、大きな問題

血糖値の不安定な人が多いのは、食を中心とする現代人のライフスタイルが主な原因。これは、イギリスを含む先進国の肥満や二型糖尿病患者の数が、毎年増加の一方にあることにも関係しています。二型糖尿病はかつて、中年以降の大人のみが患うものでした。近年ではこどもを含む、若い年齢層の発病増加が懸念されています。2015/16年のレポートによると、イギリスではすでに600人以上のこどもが二型糖尿病を患い、その数は一年間で14%上昇したとのこと(3)。では、現代の食文化の何が一体問題なのでしょう?

血糖値が安定しない原因は、主に糖質や即糖質になる炭水化物の質や摂取量とタイミングにあります。加えて、日頃のストレス(心的と環境によるものとの両方)からストレス・ホルモンのバランスが崩れて、疲れが抜けず、食欲のない朝を迎える人も結構います。そのためか、このところ朝食をスキップする人が増える傾向にあり、健康のバランスを崩す原因にもなっているとのこと(4)。血糖値/糖尿病や肥満に関する各種の研究レポートをまとめると、大半の現代人には朝食が必要という結論にまとまりそうです (4, 5, 6, 7)。血糖値を安定させる朝食には、炭水化物だらけのトーストとジャムとかではなく、卵やアボカドなどタンパク質や健康に必要な油脂分を含む食品がお勧めです。さらに、野菜、種子/ナッツ類など、繊維質やミネラル分を含む食品を加えると効果的。朝食で、ゆっくりエネルギーになる食品を摂取すれば、その日一日の血糖値やホルモンも安定します。その逆に、前日の夕食以降から翌朝お昼前まで、通しで14〜16時間のファースティング(断食)が代謝を促して良いとするレポートも各種ありますが、血糖値が安定しない人には、食事内容と頻度の改善から入る方が、お手柔らか対策法かもしれません。

ということで、間食する人(妊婦や健康上の理由による特殊な場合を除いて)は、まず朝ごはんをしっかり食べて、「基本は、おやつなしで一日三食」を目指すといいようです。一歩外に出れば、スーパーでもカフェでも 炭水化物の加工品、特に砂糖よりGI値が高いパン類(8)に加え、 砂糖や甘味料を加えて作ったもので溢れています。満足感が得られ、手軽で便利なため、手放しがたいもの。残念ながら、これらは安定しない血糖値をさらに不安定にするので、基本的には避けるべき。でも食を楽しむことは、豊かな人生の大切な要素。まずは血糖値を整えて、特別な日にちょっと食べたり飲んだりする程度にしておくのがベストなのでは?と思います。

午後のおやつは魅力的?

午後のおやつは魅力的?

安定しない血糖値って?

典型的なサインは、特に昼食後お昼の3〜4時くらいにコーヒーなどのカフェイン飲料、チョコレートやビスケット(高血糖のもと)が必要になること。これは、血糖値が安定せず、からだが即エネルギーになるものを求めるためと考えていいと思います。加えて、空腹時には何か食べないと、頭痛やめまい・手の痺れ・極度のいらつき・情緒不安定などの症状がみられること(低血糖)。血糖値が安定していれば、おやつどころか昼食をスキップしても空腹感があるのみで、上記の症状はみられません。

心あたりのある人は、糖尿病予備軍脱出に向けて、早めに対処しましょう。糖尿病は、それに伴う各種の疾患が生活のクオリティを下げるだけでなく、認知症やアルツハイマー病のリスクも高くします。症状のない人でも、積極的に予防対策に取り組んでいただきたいエリアです。

血糖値が安定してくれば、おやつやコーヒー等は「なしでは午後を乗りきれないもの」ではなくなります。ただし、砂糖には中毒性があるため、例えば血糖値以外に、精神面での欠如を埋めるために手を伸ばす人もいます。どちらにしても、砂糖やコーヒーの摂取量が多い人は、突然止めると禁断症状で一時的に具合が悪くなったりするので、(脳ではなく)からだと相談しながら、週単位で目標をセットするのがお勧め。その際には、反動で元に戻らないよう、代わりになるものをいろいろと取り入れて徐々に減らしてみてください。

*ちなみに、食事をスキップしても問題のない人は、上記のような食事のタイミング等を特に気にする必要はないと思います。

 

参照:

  1. Martin, S. (2011). ‘The real story on insulin: reinventing the pancreas’. CAM September. Ugley Green: Target Publishing. pp.20-25
  2. Kahleova H, et al. (2014). Eating two larger meals a day (breakfast and lunch) is more effective than six smaller meals in a reduced-energy regimen for patients with type 2 diabetes: a randomised crossover study. Diabetologia. doi: 10.1007/s00125-014-3253-5
  3. Locke, T. (2017). More Children Diagnosed with Type 2 Diabetes in UK, WebMD Health News. [Online] Available at: http://www.medscape.com/viewarticle/884294?nlid=117414_18 (Accessed: 22 August 2017)
  4. Codella R, et al. (2017). Effect of Sugar versus Mixed Breakfast on Metabolic and Neurofunctional Responses in Healthy Individuals. Journal of Diabetes Research. Vol.2017. doi: 10.1155/2017/963485
  5. Farshchi H, Taylor M, and Macdonald I. (2005). Deleterious effects of omitting breakfast on insulin sensitivity and fasting lipid profiles in healthy lean women. Am J Clin Nutr. 2005;81:388–96. pp.388-395
  6. Jakubowicz D, et al. (2015). Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. doi: 10.2337/dc15-0761
  7. Jakubowicz D, et al. (2017). Influences of Breakfast on Clock Gene Expression and Postprandial Glycemia in Healthy Individuals and Individuals With Diabetes: A Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. pii: dc162753 doi: 10.2337/dc16-2573
  8. Liska D, Quinn S, Lukaczer D, Jones D, Lerman R. (2004). Clinical Nutrition: a functional approach. 2nd edn, Washington: The Institute for Functional Medicine. pp.33
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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に補完・代替療法の世界に入る。CAM(コンプリメンタリー/オルタナティブ・メディスン)プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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