030 | 深呼吸のすすめ

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前号では、観葉植物と空気の清浄化を取りあげましたが、色々と揃えてエア・フィルター効果をお楽しみいただけているでしょうか? さて今号では、きれいな空気で積極的に試していただきたい、呼吸と呼吸法にフォーカスします。生命維持に欠かせない要素なのに、その大切さは忘れ去られがち。呼吸を使ったテクニークなど、あなたの健康ツール・ボックスに加えてみては?

 呼吸も大切なデトックスの一部

呼吸しないとからだが機能しなくなると考えて呼吸する人は、まずいないと思います。わたしたちは、日中も眠っている間も自然と呼吸しているのです。みなさんもご存知のとおり、吸気で体内に酸素を取り入れて細胞の代謝を促し、呼気によって不要となった代謝物の二酸化炭素をからだから取り除きます。毎日常に行われている呼吸は、デトックスの基本ともいえます。

日々のストレスによって自律神経が乱れたり、コンピュータ、タブレットや携帯電話の使用で姿勢が悪くなったりすると、呼吸は浅くなりがちです。この状態が続くと、からだはやや酸欠状態になります。また、最大肺活量は個人のスタミナ・インディケーター(1)でもあるので、積極的に肺全体を使って呼吸する癖をつけましょう。単純に、からだが機能するために必要な酸素が十分に取り入れられず、廃棄物の二酸化酸素が体内にとどまる、と思えば状況は明らかですよね。

 姿勢を正そう

仕事でよく気付くのは、姿勢の悪い人が多いこと。不安症などでクリニックにやってくる人が多いのですが、特にこのタイプには、肩が前に回り込んでうつむき気味の人が多いように思えます(姿勢だけが原因ではないのですが、少なくとも要素の一つ)。上記の理由もあって、肺全体を使って呼吸できる姿勢でいることは、基本中の基本です。姿勢が悪くなると胸式呼吸になりがちで、副交感神経のスイッチが入りづらい状況を作ります。012号015号でもふれていますが、自律神経の乱れは健康上のいろんな問題を引き起こすので要注意。心当たりのある人は、意識的に訓練しましょう。また、口で呼吸する場合も、浅めの胸式呼吸となるため改善が必要です。(常に鼻がつまり気味なため口で呼吸している人は、問題の根本から改善することをお勧めします。)

前かがみにならないよう、注意して。

前かがみにならないよう、注意して。

横隔膜を動かしていますか?

胸部と腹部の間には、横隔膜と呼ばれる膜があります。英語では「diaphragm(ダイアフラム)」と呼ばれる部分で、「みぞおち(鳩尾)」やチャクラ・システムでいう第3のチャクラ「Solar plexus(ソーラー・プレクサス/太陽神経叢)」もこの部分にあります。毎日、意識して横隔膜を動かしながら呼吸する時間を取り入れてみましょう。最大限の空気を吸い込んで可能な限りを吐き出せば、気分もすっきりすると思います。腹部には「腸の脳」なる腸神経系を中心に、たくさんの神経ネットワークが通っています。消化機能をつかさどる腸神経系は単独でも機能しますが、自律神経系によっても制御されているので、横隔膜を動かすことは、これらの神経系を刺激するのに欠かせない要素。また、腹式の深呼吸がコーチソル(ストレス時に分泌される副腎ホルモン)の低下を促すというレポート(2)もあるので、ストレス時にも忘れずに使いたい有効なツールの一つといえます。

 腹式呼吸の実践

基本は、胸を固定してお腹を出したり引っ込めたりしてすること。もちろん、横隔膜は自然と上下に動きます。胸式呼吸が癖になっている人は、まず胸に手を置いて手が動かないように注意して、意識的にお腹を動かす訓練からスタートしましょう 。

わたしが仕事でお勧めしているのは、鼻から吸気3秒(胸を固定し、お腹を膨らます)→停止1秒→鼻(もしくはかすかに開いた口)から呼気6秒(おへそが背骨にくっつく感じをイメージ)。6回が1セット(約1分)で、ランチタイムなどのお昼間に最低1セット意識して呼吸するよう勧めています。この呼吸法は、特に自律神経を整える(3)のに有効です。また、毎日忙しくしている人たちには、お昼ご飯を食べ始める前に2〜3回大きく深呼吸して、無理なく消化できるようにからだを準備することもお勧めです。

頭にストレスが詰まって落ち着かない人や不安症気味な人は、まず基本となる腹式呼吸法をマスターしましょう。次に、右鼻腔を指で塞ぎ、左側のみでゆっくり深呼吸してみましょう。これは、パナヤマと呼ばれるヨガ呼吸法で、左右の使い分けで自律神経を整えますが、左のみで息をすると交感神経を鎮めるという研究結果が出ています(4)。さらには、ラベンダーやネロリなどの(リラックス成分のリナロルを多めに含む)エッセンシャル・オイル(5)を鼻から5センチほど離して、同様に左鼻腔で数回ゆっくり深呼吸すれば、さらなるリラックス効果が得られると思います。ぜひお試しを。

これらは、もちろん常に心の平穏を保っている人にも、基本のミニ・デトックス兼リラクゼーション・テクニークとしてお勧めです。

 

参照:

  1. Kent, M. (2000). Advanced Biology. Oxford: Oxford University Press. pp.108
  2. Ma X, Yue Z-Q, Gong Z-Q, Zhang H, Duan N-Y, Shi Y-T, Wei G-X, Li Y-F. (2017). The Effect of Diaphragmatic Breathing on Attention, Negative Affect and Stress in Healthy Adults. Frontiers in Psychology. 8(874). doi:10.3389/fpsyg.2017.00874
  3.  Khan, K. (2017). The Hidden Factor In All Disease. [IHCAN summit] 10 June.
  4. Telles S, Nagarathna R, Nagendra HR. (1994). Breathing through a particular nostril can alter metabolism and autonomic activities. Indian J Physiol Pharmacol. Apr;38(2), pp.133-137.
  5. Sayorwan W, Siripornpanich V, Piriyapunyaporn T, Hongratanaworakit T, Kotchabhakdi N, Ruangrungsi N. (2012). The effects of lavender oil inhalation on emotional states, autonomic nervous system, and brain electrical activity. J Med Assoc Thai. 95(4), pp. 598-606

 

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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年にナチュラル・ヘルスの世界に入る。ナチュロパス、ニュートリショナル・セラピスト、ホリスティク・プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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