034 | エッセンシャル・オイルのお話

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前号で、すてきなアロマ・ペンダントのブランド、St Paloを紹介しましたが、先日オーナーのカミラからアップデートの連絡がありました。その後、某アクトレスがソーシャルメディアを通じてSt Paloを絶賛したのがきっかけで、雑誌からインタビューの申し込みなど入っているようです。すばらしい!(かなり間隔が開いてしまいましたが…)今回も、継続してアロマセラピーに関するトピックです。一般とはちょっと違った角度から、エッセンシャル・オイルをみてみましょう。

エッセンシャル・オイルは、ナチュラル?

エッセンシャル・オイルは、専門店やオンラインで誰でも気軽に買えますが、どのくらいの人が適当な知識を持って使っているのでしょう?いろんな人からエッセンシャル・オイルについての質問をよく受けます。質問の内容は、多くの場合、個人的な興味の対象について。例えば、妊娠中にはどのオイルが安全か、がん治療でむかつきがある時にはどのオイルが向いているか、など。時折、エッセンシャル・オイル自体についてどう思うか、という質問も受けます。

個人的に、エッセンシャル・オイルは「ナチュラルであって、ナチュラルではない」という理解でいます。自然界には、すぐにボトルに詰められるような状態では存在しません。記憶が正しければ、ローズ・オイルの小さなボトル一つ分に要するバラの花びらは「数キロ」というようなレベルではなく、「トン」単位と習ったように思います。もし、これが記憶違いだったとしても、とてつもない数の花が必要ということには間違いありません。原材料は自然のものでも、使用量と使用法を間違えば「ナチュラル」から遠ざかりそう。ローズは極端な例ですが、その他のオイルも同様に、原料となる植物はかなりの量が必要なので、はりきって大量に使うようなものではないといえます。(例えば、オイル・バーナーなら3〜4滴で十分。)

大量のバラから、オイル成分のみが抽出される。

大量のバラから、オイル成分のみが抽出される。

エッセンシャル・オイルの予備知識

揮発性が高く分子サイズが微小なエッセンシャル・オイルは、通常蒸留過程を経て取り出されます。その蒸留のアイデアは、最古では約5,000年前のエジプトに遡るようですが(1)、蒸留法で抽出されたエッセンシャル・オイルの使用を「アロマセラピー」と呼ぶようになったのは、1,920年代に入ってから。本屋さんに並ぶアロマセラピーの本を開けば、原料となる各種の植物が、歴史上どのように使われたかについて触れているものもたくさんあります。当然ながら、昔の人々は、わたしたちの知るガラスの小瓶に入った「エッセンシャル・オイル」を使用していたわけではありません。主には、植物を油・油脂分に漬け込んだものや、アルコールに浸したり煮出したりして植物成分が抽出されたものを使っていました(2)。そして、これらの抽出物に香りを与えるのが、エッセンシャル・オイルの成分です。

エッセンシャル・オイルは、メディカル・ハーブから枝分かれした部分に位置します。ハーブ薬同様、自然界に存在する植物バージョンの薬品で、エッセンシャル・オイルも含む全体を使ったハーブ薬と比較すると、オイル成分のみの凝縮版。使用前にそれぞれの成分や安全性に関する知識をつけるのは、安全かつ効果的にオイルを使用するための必須事項だと思いますが、個人的な使用であれば、知識の有無に関わらず誰でも買えます。刺激性がかなり強いものもあるので、ボトルやパッケージに記載されている、説明や注意事項を必ず読むようにしましょう。アロマ・バスなど、肌に触れるものに使用の場合は、ベース・オイルなどで希釈する必要があります。敏感肌の人は、面倒でも事前にパッチテストで安全を確認するのがベストです。また、植物やその環境によっては保護の必要なものあります。ボイコットすべき商品も出回っていますが、これらを扱う会社もまだまだ存在するようなので、注意したいものです。エッセンシャル・オイルの使用は、環境への配慮も必要とされる領域なので、環境&エコ重視の会社を探すか、原産地や種類などを下調べしてから購入するよう心がけましょう。

葉を軽く擦ると、ミント特有メンソールの香りが広がる。

葉を軽く擦ると、ミント特有メンソールの香りが広がる。

自然界におけるエッセンシャル・オイルの目的

植物は歩き回ることができない分、動物にはない優れた機能も持ち備えています。自然のメカニズムは素晴らしいもので、エッセンシャル・オイルには、虫や細菌などの外敵から身を守るために必要なケミカルが含まれています。日本人に馴染み深い森林浴などで、針葉樹(杉や檜など)の香りを楽しんだことのある人なら、その清々しい香りの記憶が蘇るでしょう。この香りは主にパイニーンやリモニーンというエッセンシャル・オイル成分によるもので、これらは抗菌作用や免疫力を高めることで知られています(3)。また、ジャスミンやローズなど、うっとりするような花の香りも、エッセンシャル・オイル成分が空気中に放たれるため。これらの甘く素敵な香りも、植物の防御や生命保存目的で、虫や鳥などを引き寄せたり遠ざけたりしているのかもしれません。

 

(参照)

  1. Price L, Price S. (2007). Aromatherapy for Health Professionals. 3rd edn. Philadelphia: Elsevier Ltd. pp.2
  2. Walters, C. (1998). Illustrated Elements of Aromatherapy. Dorset: Element Books Ltd. pp.10-14
  3. Li Q. (2010). Effect of forest bathing trips on human immune function. Environ Health Prev Med. 15:9–17. doi: 10.1007/s12199-008-0068-3
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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に転職。ナチュロパス、ニュートリショナル・セラピスト、ホリスティック・プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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