第15話 「ザワザワが消えたあと」

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minimalist


Chapter 2.5
ザワザワが消えたあと

今回のお話は「サイレント・ノイズ」の回の続きに当たります。自分の周りでザワザワしていた、必要のないノイズを取ってあげるといったい何が聞こえてくるのかな?というお話。

ライフスタイルとしてのミニマリズムの目的って何かというと、自分を取り戻すこと。持ち物の数や、部屋の片付き具合なんていうのは二の次でしかありません。

この言葉に極端なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、つまりは人生の棚卸し。「忙しい」「充実している」ことがよしとされる風潮の中、学生、仕事人、家庭人を問わず物理的にも精神的にもたくさん抱えすぎて、自分にとって大切なものが分からなくなってしまった人が増えてしまった。ミニマリズムは取捨選択の作業、その中でも「何を残すか」にフォーカスし、自分の人生を取り戻していくというプロセスなのです。

モノだけでなく、やること、会う人を実際に減らしてみたら、少しの間シン…とした時間と空間を味わってみてください。リモコンやケータイについ手が伸びてしまうかもしれないけれど、少しだけ耳を澄ましてみる。

ノイズ

生活に溢れていたノイズが減ってくると、見えてくる、聞こえてくることがあります。それは普段は忙しさや娯楽にかき消されて聞こえない声。そして聞かないようにしていた言葉。

それは「ほんとはこれが好き、これがやりたい」という小さな声。そして「でも不安だ、怖い、バカにされるかも、失敗するかも」という声もセットで聞こえるかもしれません。もしかしたらその声すら聞こえなくなっていて「何もない」「自分はダメだ」「一人はいやだ」という気持ちが湧いてくるかもしれません。

本当に欲しいものはコワいので手を出せない。もしくはバカバカしいような気がする。恥ずかしくて言えない。できるわけない。

できないから他のもので生活を埋めて充実した気分になる。過剰に仕事する、遊ぶ、食べる。そしてコワさの代わりに「忙しさ」「自分の問題」をできない理由にする。ソーシャルメディア中毒になる。お手楽な品物を手に入れて、空いた隙間を埋める。周りと同化したり、周りを引きずり下ろして安心しようとする。

シンとした空間と時間に耳を澄ませていると、自分の生活を埋めている要素の多くがこの「代用品」にほかならないことに気づきます。この新しい空間と時間を前と同じもので埋めていくのか、それとも大切なもので満たしていくのか。

日々の楽しみや息抜きを否定するつもりではありません。でも、恐れを持たず好きなことへと一直線に向かっていける人は少ないものなのです。

ノイズを一度うんと減らしてみて、このからくりに気がついてしまったら。

A.見なかったことにして再び武装する。
B.その気持ちを認めて、それに沿ってちょっと行動してみる。

この選択次第でその人の生活は大きく動きます。ミニマリズムと人生のシフトはこのように関わっています。

 

※質問・感想などありましたら、下のコメント欄か私のサイト経由(コンタクト・フォーム)でご遠慮なくメッセージを送ってくださいね。

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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