第35話 いろいろミニマイズ・実験編

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minimalistChapter 5.4

いろいろミニマイズ・実験編

しばらくお休みをいただいて、ウェールズ北部のアングルシー島に行っていました。ここ5年ほど定期的に通っている場所です。
ロンドンから電車1本でも行けるのですが、島の対岸にある大学街バンガーまで電車で北上し、そこから車で1824年に建設されたという美しいメナイ吊り橋を渡って島へ渡るのもおすすめ。
島ではいまだに住人同士がウェールズ語で会話しているようなかなりローカルな場所なのですが(もちろんみなさん英語も話します)、もともと手つかずの自然に恵まれている上、最近ではミシュラン星付きの美味しいレストランができたりして、新しいホリデー先として注目を浴びているスポットです。

名物はメナイ海峡名物のムール貝やアングルシーのグルメな自然海塩「ハレン・モン」(工場見学・塩テイスティング体験もできます)。
世界で一番長い名前の駅(Llanfair­pwllgwyngyll­gogery­chwyrn­drobwll­llan­tysilio­gogo­goch)があるのもこの島。ロイヤルカップルのウィリアム王子とケンブリッジ公爵夫人が結婚後すぐに新居を構えたのもここです。

海辺を歩いていたらアザラシが水から顔を出したり、野生の馬の群れに出会ったり。
島の先端ホリーヘッドからはフェリーに乗ってアイルランドに渡ることもできます。

こんなビーチを独占〜。

こんなビーチを独占〜。

…アングルシー観光局の回し者のようになってしまいました。

さて時間がとれたので久々にミニマリズムの実験をしたいなと思い、滞在中は意識的にいろいろな要素をミニマイズしてみることにしました。

とはいえ、何かを我慢したり不便な思いをするわけではなく「ちょっとこんな風にしてみようっと」という程度です。

例をあげると「余計な話をしない(=沈黙を埋める目的で話をしない)」「朝一回のメールチェック以外ではスマホを極力使わない」「間食をしない」「コンピュータから離れるために、文章を書いたり、写真の作品制作などを一時ストップ」「予定を決めない」「相手を『○○な人』と評価したりレッテルを貼ったりしない」「お土産を買わない」「(実はとても気がかりなことがあったのだけど、この期間だけは)心配事をしない」等々。

そしてジャジャーン、実験の結果はこうでした。

  • 余計な話をしないと、相手から面白い話が飛び出してきたり、おもしろハプニングが起こりました。1人の時間を取って久々に静けさに耳をすます体験も。
  • スマホ&コンピュータなし状態は最初は落ち着かない気分だったけど、数日で頭の中のザワザワが急に静かに。SNSもチェックしないので他の人は今何をやっているか、どこでホリデーを楽しんでいるかといったことに気を取られたりうっかり比較してしまうこともなく、自分のいる場所とその瞬間をとことん満喫。
  • 創作をお休みしたらアイデアと素材がたくさん到来。
  • 滞在期間中ずっと雨&低気温の予報だったので、あえて予定をブランクにしておいたら、まさかの連日快晴に。雨が降るのは夜間やレストランなど室内に入った時だけで、外に出ると同時にウソのように晴れるという事が続く(!)。
  • 買い物を思いつく暇もなく家族とサイクリングに散歩、ビーチ、乗馬、屋外での食事などを楽しむ。
  • 様々な人の意外な面を発見。会ってみたかった人に偶然遭遇。
  • 毎回のご飯が美味しすぎて、いつものように小腹が減ったからとおやつで食欲を無駄にする気は起こらず。
  • 懸念事項は消えなかったけど、自分ではコントロールできないことを心配するより「人事を尽くして天命を待つ」という心境になり「心配事が現実になってしまった場合のバックアップ・プランを考えておこう」と気持ちが切り替わる。

「何かを意識的にミニマイズすることで真空状態を作る。するとより好ましい要素がスーッと吸い込まれるようにやってくる」というのはこれまでずっと観察してきて実感しているミニマリズムの不思議な法則。

…ある程度こんな結果を予測していたのですが、「コレをミニマイズすると、何がやってくるかな?何が起こるかな?」という気持ちで試していたこともあってか、おもしろいほど見事に法則が証明された形になりました。
意識的にやることで、プラスの面がより見つけやすくなったのかもしれませんね。

この「真空状態」は普段は仕事、スマホ、おしゃべり、買い物、ToDoリスト、心配事、ひまつぶし等にびっしり埋め尽くされてしまって、なかなか存在する事ができないもの。

ロンドンの雑踏に戻ってきて「都会生活を満喫しながらこの真空状態をもっと作り出したいな」と思案している今週です。

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About Author

ネモ・ロバーツ

ポートレート写真家&ライター。日本で広告制作と撮影の仕事に関わったのちロンドンへ。在英邦人向け週刊誌での仕事を経てフリーランスに。ミニマリズム研究家。グルメやオーガニック食などに関するトピックにも目がなく、作家ケリ・バックマスターとともに、都会における野草採集と英国の多国籍ベジ・カルチャーについて紹介するユニークなレシピ本『Street Food −Urban Foraging and World Food』を出版(撮影)。 不定期ブログ:nemoroberts.wordpress.com

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