「ヨコとソトへ」未来を切り拓く、オックスフォードの精鋭に捧ぐ

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LSEからオックスフォード大学へと難関を突破して留学していた友人が2年間の研究を終え、つい先日、本帰国の途についた。寂しい限りである。その彼が帰国前にと、学び舎であったオックスフォード大学ウォルフソン・カレッジのゲスト・ナイトへと招待してくれたので、久しぶりにオックスフォードを訪れた。

Wolfson Collegeは創設50年という、12世紀頃まで歴史を遡れるオックスフォード大学の中では破格に新しいカレッジで、修士レベル以上の研究生の受け皿となっている。中心部から少し離れた北郊外に位置しているせいか敷地が異様に広く、校内に巨大な緑地や川があり、さながら小さなヴィレッジだ。

ここの目玉は今年春に創設50周年を記念して造られたAcademic Wingである。これがなんともまぁ、モダンで美しいこと。Berman Guedes Strettonという建築事務所が手がけたそれは、既存の建物とも見事な融合を見せていて、バウハウス的なモダニズム建築を思わせるコンクリートと直線、ガラスの組み合わせが秀逸なのである。

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こういうライブラリー、いい ^^

こういうライブラリー、いい ^^

で、私を含む4名のゲストをドレス・コードsmartのディナーへと招待してくれたのは、ウォルフソン・カレッジで経済社会学を研究する桜庭大輔氏だ。桜庭氏は実は官公庁勤務の官僚様。将来を嘱望されイギリス留学をなさっている超エリートなのであるが、「官」を叱咤する立場にありつつも、日本の将来を本気で考えたとき「民」の活性化が必要不可欠であるとの信念を抱き、NPO法人「ZESDA」(ゼスダ)を立ち上げた。

「ZESDA」が目指すところは、日本をプロデュースするプロデューサーの育成である。まさに今、日本に必要な人材像ではないか?

日本はまだ高度成長期の延長にあり、タテ構造から抜け切れていない、と桜庭氏は指摘する。しかし今の、今後の日本に必要なのは、異業種・異分野をつなげ、掛け合わせていく「ヨコ」の連携なのだと。日本発のイノベーションを展開するには、ウチと同時にソトを見ることができる人材を育てることが急務なのだと。

この考え方はいわゆる 「グローカリゼーション」と深い関わりを持つ。「Think globally, act locally」なのである。「ZESDAはグローカリゼーションによって地方創生を実現しようとしている。その担い手こそがプロデューサーなのだ」、と桜庭氏。曰く:

「イノベーションも海外進出も、実現するのは『個人』。そして、人は出会いによって変わることができる。今まで会ったことのないような人と出会い、補い合える関係に気がついたとき。足かせに思えていた組織や制度の活用方法に気がついたとき。自分の経験や能力の更なる可能性が啓けたとき。次のステップに進むエネルギーが生まれてくるのではないか」

桜庭氏が目指すのは、「あらゆる地域、業界、組織で、プロデューサーが縦横無尽に活躍する社会」なのだ。イギリスという国は自国ブランディングに力を入れ、うまくできている国だと常々思っているが、日本はせっかくのジャパン・ブランドを十分に活かせているだろうか?

桜庭氏のZESDA立ち上げ理念全文はこちらで。

美しいピラミッド型のホールは圧巻!

美しいピラミッド型のホールは圧巻!

お食事はすべて美味しゅうございました♪

お食事はすべて美味しゅうございました♪

チーズ・タイムは、他の招待客との交流時間にあてるという粋な計らいも

チーズ・タイムは、他の招待客との交流時間にあてるという粋な計らいも

素晴らしい食事をいただき、ライクマインドな友人たちとゆったりとコーヒーを楽しみつつ歓談する。

最後まで「帰りたくない」とダダをこねていた桜庭氏ではあるがw ついに日本でその本領を発揮し、人々をひっぱっていくときがきた。

こちらのページにZESDAのミッションが掲げられている。日本発のイノベーションを起こすには、「自ら動く。自ら生み出す。自ら楽しむ。」ことで個人も成長するという概念が組み込まれているところはさすがだ。実はここが一番大切なのだと私は思う。

世界は個の集まりでできている。桜庭氏の言葉ではないが、イノベーションも海外進出も、実現するのは『個人』なのだ。一人ひとりの人間が価値観を広げ、自分のやっていることを楽しむ。タマシイが歓ぶことをする。コレがいちばん大切。それができれば、世の中はもっと良くなっていく。私はそう信じる。

こういう学び舎での経験は人生のよき肥やしとなり、知らず知らずのうちに実となっている

こういう学び舎での経験は人生のよき肥やしとなり、知らず知らずのうちに実となっている

「21世紀の龍馬」との呼び声も高い桜庭大輔氏。政治経済を専門としつつも、同時に歴史と文学を深く愛好する(とくに少女漫画と和歌)氏の人間臭さと愛嬌、面倒見のよさが、彼と接した多くの人々の心をほぐし、大げさではなく、日本の将来を彼に託してみたいと思ってしまう。そんな魅力に富む氏の今後の活動に、ロンドンから最注目していきたい。

 

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

4件のコメント

  1. 江國 まゆ

    理事長☆いえいえ、10割増しどころかお伝えし切れていないことがいっぱい。これからも素晴らしい活動、がんばってください♪

  2. 江國 まゆ

    愛美ちゃん☆わお、ありがとう!! とっても嬉しいコメントです。やっぱりタマシイが歓ぶこと、しないとねっ! みんな本当のタマシイに戻るのだ! 帰還命令ダ!!(笑)

    新連載、がんばります!♡

  3. まゆさん、お久しぶりです^ ^ タマシイが歓ぶことをするのが大切、私もそう信じます。個人的にとっても素敵な記事(編集長ブログ)だなぁと思いました。新連載のほうもこれから欠かさずチェックします、楽しみが増えました〜^ ^

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