英国ティー文化の新章がスタート

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紅茶に造詣の深い友人にさそわれ、お茶のイベントに出かけてきた。

メイフェアにある比類なきティー・ショップ「Postcard Teas」のオーナー、ティム・ドフェイ氏が、何やら新しいプロジェクトをローンチしたというのである。

会場があったのはハットン・ガーデンズの裏通り、Leather Lane。この通りにはロンドンのアルチザン・コーヒー・ブーム黎明期を支え盛り上げたDepartment of Coffee and Social Affairsの一号店とPrufrock Coffeeがあり、コーヒー好きの聖地と言っても過言ではないのだが、お茶のイベントが、なぜこの通りで??

会場は、じつにPrufrock Coffeeだった。しかしイベントの内容を聞くにつけ、大いに納得。今回Postcard Teasがコラボ・パートナーとして選んだ相手が、凄腕コーヒーハウスである必要があったワケが、そこにあるらしい・・・

50名以上が集まる盛況イベントとなった

50名以上が集まる盛況イベントとなった

イベントはプルーフロックのディレクター、ジェレミー・チャレンダー氏の挨拶で幕を明けた。彼によると、ティムさんはここ数年の間、抹茶と同じようにお茶でありながらミルクにマッチし、抹茶ラテのように飲むことができる粉末茶の開発に注力してきたというのだ。 確かにUKの人々は牛乳好き。ゆえに抹茶ラテも大人気となり、今や気の利いたカフェの定番ドリンクである。

ティムさんは考えた。ミルクを使った飲み物を愛する人々のために、もっとバラエティに富んだお茶ベースの飲み物を提供できないだろうか。市販の粉末ラテのようにフレーバーや甘味を添加しない、本物のティーラテを。

ジェレミーさん(左)はPrufrockのスポークスマン的な存在だ

ジェレミーさん(左)はPrufrockのスポークスマン的な存在だ

そこは妥協を許さないリーフ・ティーの鬼、ティム・ドフェイのこと。通り一遍の取り組みではなく、何年にもわたるリサーチ、研究、実験の結果、粉末茶にするのに最適の茶葉を世界中の生産地から探り出し、ローストの温度や方法、荒茶の挽き方まで、こだわりにこだわった粉末茶を生み出すにいたった。

「どんな茶葉でも粉末茶は作れるだろうって? まったくそんなことはなかったよ。テイストという意味では、ほとんどが、じつは最悪だったんだ」

ティムさん(左)が、開発秘話を語る

ティムさん(左)が、開発秘話を語る

苦労の末、インドや中国、日本のいくつかの産地で、ミルクにあう粉末茶を作るのに最適の茶葉を見つけることができた。現在のところブラック、ウーロン、そしてグリーンの3種がある。どれも無農薬の安心茶葉たちだ。緑茶のひとつは、はるばる屋久島からやってくるという。

th_Postcard Teas_5茶葉の焙煎温度はウーロン茶の低め温度と、高音で焙煎する日本の茶葉の中間温度。このこだわりロースト法を、ティムは「London Roast」と呼ぶ。粉にするための挽き方も驚きの連続。石臼で挽くのは上質の抹茶と同じだとして、グラインドの回転数が、抹茶よりも遅い、33rpmなのだという。このスピードで摩擦熱を極力おさえ、香りと風味、色を温存する。

こうして出来上がった粉末茶(Roasted stoneground tea)は、LPレコードと同じ回転数で挽かれるからかどうか、なんとなくロックンロールな響きのある

「Stonerolled Tea」

で商標登録済みだ。

左上がブラック・ティーラテ、真ん中がグリーン・ティーラテ

左上がブラック・ティーラテ、真ん中がグリーン・ティーラテ

このStonerolled Tea、お味のほうは・・・ミルクに合う! って当たり前なのだが、まさにそのために開発されただけあり、風味にパンチがある。

ブラック・ティーラテは「ミロ」のような麦芽飲料を彷彿させるどこか懐かしい風味で、私はとても気に入った。「ミロみたい」と言うとチープな印象を受ける方もいるかもしれないが、もちろん、もっとハイレベルで深い味わいという意味♪  この日、交流したティー・ラヴァーたちのお気に入りは、ウーロン・ティーラテ ^^   私もブラック・ティーラテと同様、とても美味しくいただいた。このスペシャル・ドリンクを飲めるのは、今のところPrufrock Coffeeしかなさそう。興味ある向きはぜひに、ぜひ。

グリーン・ティーラテは抹茶ラテと比べるとどうなのだろう。実は私自身、抹茶ラテにさほど興味がないため、ふだん飲んでいない分、比べる舌を持たない。どなたか飲み比べて感想を聞かせてくださ〜い。

そして見よ! このラテ・アート(↑)。コーヒー・バリスタたちの特権アートだけに、今回のコラボはまさに、コーヒー業界とティー業界の力強きタッグの実現、ということになるだろう。

ロンドン生まれのロースト粉末茶「Stonerolled Tea」。ミルク&ラテ・アートとともに、ごくりとお試しあれ♪ 今回のコラボに関するティムさんとジェレミーさんの談話はこちらで。Stonerolled Teaが、今後、ロンドンのカフェ・シーンを席巻する日も遠くない、ような気がする。

しかし実は〜・・・・!!!!

この日、初めての出会いだと思っていたStonerolled Tea・・どうも昨年9月にあった日本関連の素敵イベントで、ちょっぴりいただいていたみたい♡

イベント参加のレポートをしようと思いつつ、そのままになっていたので、これを機会に足早にご紹介させていただきたい。

昨年9月半ばの週末に行われたのは、究極の日本の伝統工芸に触れられるティー文化イベント。

Postcard Teasさんでもおなじみ、京都「開化堂」の八木隆裕さんや「金網つじ」の辻徹さんによる職人デモンストレーション、そして「中川木工芸」の中川周士さんの作品などがお披露目された。彼らの技術の粋に触れながら、ティムさんによる職人茶をいただく・・・という至福のイベントであったのだが、そこに大輪の花を添えていたのが、作家の入江敦彦氏による手作り和菓子だ。

開化堂の八木さんと、入江さん♪

開化堂の八木さんと、入江さん♪

素晴らしいデモンストレーションを披露された辻さん

素晴らしいデモンストレーションを披露された辻さん

入江さんはこの2日間にわたるイベントのために、4種の創作和菓子を用意された。私が訪れた2日目は、卵の黄身を低温で何時間もかけて火を通したものを自家製ビスケットでサンドしたものや、お芋を使った上品な和菓子「白玉椿餅」だったのだが、甘さ加減もちょうどよくびっくりするくらい美味しくて際限なく食べられそうだった ^^; (入江さんのツイッターの記録によると、白玉椿餅の外側は煉薯蕷餡で、中は烏龍抹茶の茶団子だったそう。)

お茶をたてるティムさんと、入江さん作の上生菓子

お茶をたてるティムさんと、入江さん作の上生菓子

この黄身のお菓子は人様のものを盗み撮りしましたw

この黄身のお菓子は人様のものを盗み撮りしましたw

「石臼で挽いたお茶を出すから」と言われ、ポストカード・ティーズだからあり得るな、「へぇ」ってな感じでお抹茶らしきものを美味しくいただいたのだが、今思うと、これがローストした緑茶をお湯で煎じたものだったのですな。サイコーに美味しかったです! そして入江さん、誠にごちそうさまでした ^^ 以上、昨秋のキロクでした。

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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