モデナとランブルスコと、シェフ・エンゾと。

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ランブルスコ。

美食エリアとして知られるイタリア・エミリア=ロマーニャ州とその周辺地域名産の、天然発泡ワイン。軽やかな微炭酸が生ハムやチーズの塩気と脂分を気持ちよく洗い流す、同地における日常ワインだ。

ロンドンではIn Parma by Food Rootsなどの専門レストランや本格ワイン・バーにはおいてあるはずだが、一般的なパブやバー、普通のイタリアン・レストランでも見かけることは少ないかもしれない。それだけ地方色の濃い飲み物なのだろう。

そのランブルスコを三世代に渡ってエミリア=ロマーニャの街、モデナで作り続ける伝統ある生産者の一つ、Paltrinieri パルトリニエーリ社のランブルスコとのマッチングを楽しむサパークラブが開催されるというので、北ロンドンのCricklewoodまで出向いた。料理はモデナの伝統料理でバッチリ合わせるという。

ランブルスコというのはブドウ品種の名で、さらに土地によってその種類は細かく分かれるのだとか。この日のランブルスコを提供してくれるパルトリニエーリ社ではソルバーラという村近郊のブドウを使って「ランブルスコ・ディ・ソルバーラ」を生産している。而してパルトリニエーリ社自慢のランブルスコの銘柄とは・・・

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リーフレットを見せながら自社銘柄について社長アルベルトさん自らが説明してくださった。有り難や〜♪

初めてランブルスコを飲んだのはIn Parma by Food Rootsだった。知らずに数人の友人と一緒に飛び込んだ店。薦められて飲んだ微発泡赤ワインの甘やかですっきりとしたコクは今でも忘れられない。その後、モデナ出身の友人、シェフのエンゾを連れて再訪したのは何年も後のことだ。それをきっかけにエンゾからイタリア土産のランブルスコをもらったり、別の友人と同店を訪れたり、私のランブルスコへの愛は着実に育っていった。

イタリア人シェフでピザ作り名人のエンゾのことは以前にも何度か書いたことがあるが、本日のシェフは彼。エンゾは自身の友人であるパルトリニエーリ社代表、アルベルト・パルトリニエーリさんと話が盛り上がり、月一度だけエンゾが働くパブ・レストランで「ランブルスコとモデナ料理の夕べ」!を開催することにしたのだと聞いたのは、ほんの数カ月前のことだった。

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シェフはこの方、食へのパッションで生きるエンゾ!(左上) ロゼのランブルスコ、初めていただきました♡

そしてこの日は、イタリアからもう一人、エンゾの古い友人がロンドンを訪ねてきていた。彼の名はFabtizio Loschi ファブリツィオ・ロスキ。彫刻を主に手がけるアーティストだが、じつは パルトリニエーリ社のランブルスコのラベルは、ファブリツィオさんのデザインになるものだ。このデザインがたいへんに印象的で・・・まさしくファブリツィオさん本人と同様に・・・

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右下がファブリツィオさん。手には自身のスケッチブックを持たれているのだが、このスケッチがすごかった。プロと言ってしまえばそれまでだが・・・才能ってすごいなって、心底思った。左下は彼の作品集に掲載されている彫刻作品。左上写真のラベル全部、彼の手になるもの。ファブリツィオさん・・・まるで19世紀末のアーティストみたいなの。アーティストである自分で自分を演出することができる。ダリみたいなタイプのアーティスト。

独特のオーラを放つファブリツィオさんのデザインは、彫刻家の作品だけあり、フォルムの捉え方がシンプルで躍動的。しかも繊細だ。まさにソルバーラで育つブドウを使ったパルトリニエーリのランブルスコそのもの・・・などと知ったふうな口を利きたくなる。ワインは味がいちばんと言いたいところだが、あまりに刺激的なラベルに出会うとジャケ買いしたくなるから、やはりラベルのデザインは同様に大切。この場合はファブリツィオさんの手になるモダンなデザインと、パルトリニエーリ社の伝統のランブルスコは互いを生かし合うベスト・ハーモニーを奏でていると言える。

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「ニョッコ・フリット」と呼ばれる揚げパンと一緒に生ハムをいただきながら、すかっとランブルスコ・ロゼ。くぅ。

ほとんどランブルスコについての知識がない私は食事が始まる前に供された“ランブルスコ”を見て驚愕したのだが、それはロゼだったのだ! しかもこの日披露された4種のうち2種までがロゼ、そしてもう1本はほとんどアンバー色をしたロゼで、メイン・コースのビーフ・シチューに合わせたものだけが赤だった・・・

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左は写真写りちょっとよくないですが、ハイライトの一つでもあった自家製パスタのラザニア。おかわり続出!

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こんなに牛の塊を食べたのは超久しぶり・・・ふだん、ビーフは控えておりますの・・・と言ってるわりに、めちゃ美味しくいただきましたww   私、やっぱりランブルスコは赤が好き。このSOLCOもすっきりとした甘さが絶品。

メニューはモデナ産の生ハム&ニョッコ・フリット(揚げパン)から始まり、おかわりが続出したパーフェクトなラザニア、そして最後に伝統のビーフ・シチューというコース。さすが北イタリア伝統の料理だけありビーフを多く使っているし、それが美味しい。エンゾの料理を食べていているといつも思うのだが、塩加減や調味料の使い方、味の仕上がりが日本人好みで調和がとれているのだ。塩辛すぎることもなく、足りないこともない。旨味があり、深みがある。エンゾの舌は信頼できる ^^

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ぶら〜ぼ〜!なご両人。エンゾとアルベルトさん(左)。ブラウニーにバルサミコ・グレーズ。今度やってみてね ^^

締めは特製チョコレート・ブラウニー。デザートの前にエンゾから今回のサパークラブの立役者たちの紹介があり、続いてモデナ出身の彼らしく、こう説明があった。「だまされたと思って、このチョコレート・ケーキにバルサミコ酢をほんの少しだけたらして召し上がってみてください。美味しいですよ」と。

バルサミコ酢というよりもグレーズといったほうが正しい甘酸っぱさは、もちろんほろ苦いチョコレートの甘味を引き立て、ブラウニーは途端に特別な仕様に。客はイタリア人が圧倒的に多く、皆、以前、エンゾが切り盛りしていた小さなイタリアン・カフェ時代からの常連さんだという。クリックルウッドの小さなコミュニティに根付いているエンゾの料理。ご近所に来られることがあれば、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

これから毎月第一月曜あたりにランブルスコ・サパークラブを開催するらしいので、興味ある方は下記までお問い合わせされるか、またはFacebookを見てみてください!  4コース+ランブルスコ飲み放題で35ポンドくらいと思います ^^

LAMBO
https://www.facebook.com/Lambo-Bar-And-Restaurant-614398235329353/
http://www.absolute-london.co.uk/fooddrink/dining/15203

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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