皆さん、夏を楽しんでますか? ロンドンは毎日がピーカン。記録的な晴天続きで人びとは嬉々として外へ飛び出し日光浴を満喫していますが、個人的にはちょっぴり曇り空が恋しくなる頃ではあります ^^; でもでも、イギリスのこの輝かしい季節は、日本の桜の時期と同じでいっときのことであるだけに、何ものにも代えがたい魅力があるのです。
イギリスの夏。そしてスコットランドの夏は、また格別に美しいです! 今日は、「ロイヤル・ブリテン」をテーマにまわった英国政府観光庁さん主催のプレス・ツアーで訪れた場所から、とっておきのカントリーハウス・ホテルをご紹介。ロケーションはなんと、エリザベス女王が好んで夏の避暑地として滞在されるスコットランドはアバディーンシャーのバルモラル城近くです。お城まで車で約30分程度の距離。バルモラル城は、今年は7月末まで敷地が一般公開されているので8月になると女王陛下が来られるのかもしれません ^^
さて、その「Royal Deeside」とも呼ばれる緑濃い美しいエリアに佇んでいるカントリーハウスは、Douneside House / ドゥーンサイド・ハウス。現在は全14室のブティック・ホテルとして、その歴史と伝統を残したまま華麗に蘇っています。
ここは敷地が広大! 約2万坪の敷地内には野趣を楽しめるガーデンがあり、朝晩に散策すると本当に心の底からリフレッシュできます♡
では、メインの建物の中に入って見ましょう・・・。
ドゥーンサイド・ハウスは1888年にサー・アレクサンダー・マクロバートが別荘として購入した館です。このアレクサンダーさん、地元アバディーンの農家から夜間学校で勉強をして身を興した事業家で、インドでテキスタイル事業を始めて大富豪になり、ついにナイトの称号を得ました。1922年に準男爵を授かるまでの間も、インドとの交易だけでなく、がんでなくなった最初の奥様への想いからがん研究に多額投資するなど、社会事業にも貢献した名士なのです。
さて、彼の2番目の奥方がレイチェルさん。彼女との間に3人の男の子に恵まれたのですが・・・一家を悲劇が襲います・・・。
長男のアリステアさんが飛行機事故で亡くなったのを最初に、次男のロデリックさん、三男のイアンさんも、ともに第二次大戦前、英国空軍での演習時の事故で立て続けに亡くなってしまうのです。20代の3人の息子に、時を経ずして先立たれてしまったら・・・考えるだけで胸がずしりと痛みますが、レイチェルさんは気丈にも事故後すぐに英国空軍に小切手を送って爆撃機を購入するよう促し、さらにマクロバート・トラストを設立して引き続き英空軍をマクロバートの名の下にサポートすることを表明するのです。
母親の行動として賞賛されるかどうかは賛否分かれるところだとは思いますが、肝っ玉母さんというよりも社会活動家としての顔が強いようです。彼女のフルネームはレイチェル・ワークマン・マクロバート。実は地理学者としても活動家としても事業家としても名高い方なんです! 米マサチューセッツの名家に生まれ、ドイツやスウェーデン、イギリスで教育を受けてアレクサンダーさんと知り合います。息子をたちがまだ小さい時に夫に先立たれた後は、自身が会社の取締役として残るんですよね。そして実母の影響で婦人参政権運動にも大きく関わっていた。当時としては、かなり先進的な思想の持ち主だったようです。そんなレイチェルさんが、家族の思い出にと、そのままの形で残して欲しいと願ったのが、このドゥーンサイド・ハウスなのです。
この館に滞在する愉しみは、豊かな自然や彫りの深い歴史だけではありません。お料理も一流の味を楽しめます! せっかくホリデーで滞在されるなら、一食はぜひ6コースのテイスティング・メニューをお試しくださいね♪
私たちの滞在中は、居間でリラックスしている間にマネージャーさんが館の歴史を説明してくださり、3種のカナッペとジン&トニックをいただきました。そしてダイニングへと移動し、美しくも美味しい、丁寧に作っていただいたコース料理を堪能しました!
ここのお料理の特長は、ともかく繊細で手が込んでいて、彩りも盛りつけも美しいこと。もちろん味も一級でミシュランの星付きレベルです。敷地内にある菜園で採れたとびきり新鮮な野菜たち、王室御用達の称号を持つ肉屋さんから仕入れたアバディーン育ちの高級肉、毎朝近隣の海辺から水揚げされる魚介類を使った洗練されたお料理に、きっと身も心もほだされることでしょう♪
敷地内にはコテージもいくつかあるので、家族や犬連れの方が長めに滞在されるのに最適。スコットランドの清々しい空気を胸いっぱい吸い込んでリフレッシュしてくださいね。
個人的にはレイチェルさんの人生に釘付け・・・この時代の女性としては波乱万丈と言えるのかもしれないですね。バルモラル城へ行ったり、スコットランドでゴルフ休暇をとるとき、ウイスキー・トレイル、ハイランドをめぐる旅にでる時の拠点としておすすめです。
Douneside House
住所:Tarland, Aboyne, Aberdeenshire AB34 4UL
電話:+44 (0) 13398 81230
ウェブサイト:www.dounesidehouse.co.uk
ツイッター:@Douneside
行き方:ロンドンの空港からアバディーン空港まで1時間30分、空港から車で50分。
エジンバラからアバディーンまでは車で2 時間半程度です。
英国政府観光庁
www.visitbritain.com/jp