ロンドンのスター焼き菓子 ベスト5

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いつか書きたいと思っていたこの企画。ロンドンの定番焼き菓子ベスト5! お店の入れ替わりやシェフの交代が頻繁なロンドンだけに「これ!」とおすすめできる安定した商品が少ないことが、これまで実現を難しくしていた理由です。そこで小規模チェーン店や、「この味は変わらないはず」という定番化している焼き菓子を扱う店を対象にすることで、その課題をクリア。あぶそる〜とロンドンが選ぶベスト5をお楽しみください ^^

※ヘッド・ペイストリー・シェフが交代するたびに変わっていくホテルのケーキやスコーン、また揚げ菓子であるドーナッツは含めていません。また、なるべくイギリス系のお菓子でまとめているので、フランス菓子などは登場しません。

1. Gail’s – Pecan Cinnamon Crumb Cake OUT £3.50 / IN £4.20

シナモン、ブラウン・シュガー、トーストしたピーカンナッツを合わせたコクのあるクランブルがこれでもかと焼き込まれた、クランブルの美味しさを堪能する一品。比較的ソフトなスポンジの中心にクルミ入りシナモン餡が入っているところも高ポイント。独特の香り、甘さがしっかりとあって満足度も高いので、一つを二人でシェアするとちょうど良い。紅茶よりもコーヒーに合う。シナモン・バンズ、アップル・ケーキ、キャロット・ケーキなど、数あるゲイルズの名品の中でも、他では味わえない定番品として選出した。他に「クランブル」系焼き菓子の秀作としては、北ロンドンを中心に展開しているカフェ「Sable d’Or」のアプリコット・クランブルも、しっかりバター生地と甘酸っぱいアプリコットの組み合わせがほどよくおすすめ。こちらはアールグレーなどプレーンなお茶とマッチングを。

 

2. Rose Bakery – Carrot Cake £5.00

筒形のシェイプにうっとりする、ロンドンで最も佇まいの美しいキャロット・ケーキ。キャロット、クルミ、スパイスのバランス良好なしっとり生地、甘さ控えめのクリームチーズ・フロストの黄金比を楽しむ。スポンジは意外と食べ応えがあり、全体の量もちょうど良い。(ちなみにローズ・ベーカリーのレシピには、レーズンもサルタナも入っていない。) キャロット・ケーキのおすすめ次点は、濃厚なクリームチーズ・フロストに悶えるMuswell HillのChriskitch。また正統派の味を凝縮したHummingbirdのキャロット・カップケーキ、Sable d’Orのマフィン型キャロット・ケーキもおすすめ。ミルク入りイングリッシュ・ブレックファスト・ティーと一緒にいただきたい。(オットレンギのキャロット・ケーキは美味しいけどバランスという点でスペシャルではないかも。)

 

3. Newens – Maids of Honour   OUT £1.80

キュー・ガーデン近くに19世紀から佇むティールーム、ニューエンズ名物のメイズ・オブ・オナー。ヘンリー8世もたいそうお気に入りだったというロイヤルな一面やストーリーも愛され続けている理由。ほろほろ系さっぱりカードチーズをフィリングに、サクサクのパフ・ペイストリーを器として焼き上げた焼き菓子はポルトガルのエッグ・タルトそっくりだが味は非なるもの。ヨークシャー地方でよく見かけるカードチーズ入りのお菓子はロンドンではとても貴重であるうえに、お家芸である芸術的なパイ生地の美味しさと相まって、大変美味しくいただけること間違いなし。キュー・ガーデンに行くことがあれば、ぜひお土産にいくつか購入したいロンドン名物でもある。

 

4. Marksman – Brown Butter & Honey Tart IN £8.00

東ロンドンはハックニーにあるガストロパブ、Marksmanのブラウン・バター&ハニー・タルトは、スペシャル・トリートだ。クレーム・ブリュレ系が好きな方だけでなく、全てのスイーツ好きに推したい一品はMarksmanのシェフ、ジョン・ロザーハムさんのレシピ。ゴールデン・カラーの美しさ、なめらかシルキーな舌触り、驚くような口当たりの軽さ。ブラウン・バターとハチミツが混ざり合う濃厚さを堪能する、ロンドン中のカスタード系デザートから頭一つ抜きん出ている。シェフが変わっても、このパブがある限り、おそらく継承されていく味。プレ・オーダーする人もいるので早めディナーで訪れるほうが無難かも。

 

5. Ottolenghi – Apple and Vanilla Cake with Maple Icing OUT £4.50

ベーキング界、いやケータリング業界で尊敬を一身に集めるスターシェフ、ヨタム・オットレンギ氏のオリーブ・オイルを使ったりんごケーキ。甘酸っぱく仕上げたりんごのコンポート、シナモン&ヴァニラのきいたレーズン入りしっとりスポンジ、甘めのメープル風味クリーム・チーズ・アイシングの組み合わせは、ミルクを入れないプレーンな紅茶とよく合う(クリームの甘さがもう少しだけ控えめだと完璧)。オールシーズンあるケーキだが、やはりグラニースミスの美味しい秋にいただきたい一品。Gail’sでたまに見かけるドーセット・アップル・ケーキもスポンジ部分は似た感じで美味しい。その他オットレンギのおすすめは、ビスケット類!

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さて、いかがでしたか?

今回載せられなかったケーキたちも、もちろんあります。東ロンドンにたくさんあるベーカリーのお菓子は? ウェイトローズのこのシリーズは? など、皆さんのお気に入りも、ぜひコメント欄にお寄せください!

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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