ロンドン在住作家の入江敦彦さん宅へ、昨年に引き続きお節会にお呼ばれ♪
毎年恒例の入江家お節会、昨年初めてお邪魔させていただき、そのクオリティに度肝を抜かれた。しかもロンドンに居ながら純京風おせち。好評web連載中の「入江敦彦の喰いしん坊漫才」では食への愛を飽くることなく語り、時にレシピまで公開しちゃってる食のオーソリティーが自ら腕をふるってくださるのだから美味しくないわけがない。京都を知り尽くした京都人だけが用意できる縁起かつぎまくりの正統派手作りおせちの世界へ、いざダ〜イブ!
というわけで、まずは京都老松さんの旨味たっぷり香梅煎で駆けつけ一杯。続いてジャンボなハマグリで上品にお出汁をとったお澄まし。そして鰹節をトッピングした丸餅入り白みそ雑煮へと滑らかに移行。この段階ですでにエクスタシーが胃の腑のあたりを駆け巡っている。
そしていよいよお節ワールドへ♪
昨年お節会の際に、三が日は眺めているだけという京都「にらみ鯛」についての知識を得ていたので黙って見るだけにしていたのだが、今年は知らない間にどなたかが箸を付けていらっしゃったので(ラッキー☆)お味見させていただけたのだが・・・んま〜い♪ しかも作り方を伺ってその手の込みように二重に驚いた。こりゃ美味しい鯛飯ができそう♪
味のある朱塗りのお重に入っているのはお煮しめ、数の子、白子煮、唐墨、鱒子、田作り、蒲鉾、出汁巻卵。自家製数の子ってこんなに美味しいんだって、初めて気づいたかも。
左上から時計回りに海老、クワイと酢蓮根、八頭、拍子切り牛蒡。八頭の里芋と一緒に炊かれているのは欧州産の塩ダラを一晩塩抜きしたもの。この八頭がね、炊き具合、味のバランスが超好み。
左上から時計回りに黒豆、栗金団、鴨、紅白なますと金柑。昨年も思ったのだけど、入江さんのお料理は味のセンスが抜群にいい。イギリスに暮らしていると、日本食を作るとき外国人の舌に合わせてついつい濃い味付けになりがちなんだけど、彼の京料理は和食本来の繊細さを保ったまま外国人にもその美味しさが伝わる絶妙な味付けなのだ。うつわ使いの妙も私が氏の食卓を愛する理由。ひとしな一品が日本人としての目と身体に優しく染みわたるようでしたよ。
一通りいただいて大満足大満腹。それでも卑しく焼き銀杏をむちむち食べていると、季節の柿と干し杏が入ったこれまた舌が洗われるような梅酒寒天が登場♪
最後は上品な松露とお抹茶で締め。このお菓子と抹茶も京都の上等もん ^^
昨年、入江さんは大病をなさって数ヵ月間病床にふせっておられた。にもかかわらず、これだけのお節を作ってしまわれたことに正直驚きを禁じ得ない。玄人はだしの腕前だけに、ときに「料理で商売したら?」と言われることもあるそうだが、そんなときは「知ってる顔を想いながら作りたいんだよね」とさらりとかわすのだとか。なるほどなぁ。
今年も昨年に引き続き、お正月からロンドンでこんなにも心のこもった素晴らしいお節料理をいただくことができて、心から感謝♪ 「ん」の付くものをいっぱい頂いて、運が付いてきたように思います ^^ ありがとうございました!(明日くらいにウドンも食べマース)
京都本ばかり出されている印象だが、近著で久々のイギリス本を出版された。イギリス人にならう、上手な休み方を紹介した『英国のOFF』(新潮社)。噛めば噛むほど味わいが増すおせち料理のような入江節が、のんびりとしたトピックに陰影を添える好著です。2015年はもっとオンとオフのメリハリをつけたいというあなたに、おすすめ。