島田カオルさんのこの記事を見て、いつか絶対絶対行ってみよう! と思っていたデリに、先日ちょうどよい用事が周辺であったので訪れることができました。そこはカオルさんが描写している通りの秘密の園にありました ^^
Vauxhall駅の裏手に出て、歩くこと2、3分。大通りの喧噪が嘘のような住宅街がこつ然と現れ、Bonnington Squareと呼ばれるスクエアが出現します。そのスクエア沿いにある小さなイタリアン・デリなのですが、この周辺、なんとも言えない不思議な雰囲気に包まれています。
この一画は第二次世界大戦時に爆弾を落とされたことで荒廃していたところ、政府が買い上げて整備しなおし生まれ変わったとのこと。またここは1980年代には空住居を乗っ取ってしまうスクオットが多数行われた場所でもあり、3分の一の住人は一銭も払うことなくそのまま所有権を獲得して住み続けているとのことです! そんな様々な歴史を秘めたエリアですが、ここの中心はBonnington Square Gardensと言われる秘密のガーデン♪ 住民にこよなく愛される美しいガーデンですが、その散歩ついでに気軽に立ち寄ることができるデリとして2008年にオープンしたのがItalo Deliです。
共同オーナーは地元住人で小説家志望だったというチャーリー・ボクサーさんと、ランベスで長らくイタリアン・デリを経営していたイタリア人、ルイギ・ディ・リエトさん。二人のタッグで地元民のための素晴らしいデリが出来上がりました。こちらのテレグラフ紙の記事によるとチャーリーさんは漫画家で編集者だった父親とヴォーグ誌に料理コラムをずっと書いていた料理研究家の母親を持つそうで、親御さんのファンだというお客さんも後を絶たないとか。
ある土曜日、ここでランチをいただきながら小一時間店内に座っていたのですが、まさにここはカオルさんが描いている通りのお店♪
この緑の園とその周辺と、ここに集まる人達は
どこか別の小さな世界に存在しているような感じ
この一角だけいつからか、時間が止まってしまったような感じ
お店の外観やデコレーション、出入りするお客さんの様子、チャーリーさんと客の会話の掛け合い、チャーリーさんのスタッフへの指示を出し方・・・どれもこれもが、まるで舞台を眺めているような具合なのです。地元住民の個性の強さもあなどれません。狭い店内には2、3のテーブルがあるだけなのですが、イートインの人、テイクアウェイの人、どんどん人が入って来てユニークな個性であふれかえっています。
パスタや肉料理など簡単な日替わりランチ、サンドイッチ、ペイストリー、ケーキなどを出すほか、野菜や果物を含めてロンドン中の美味しいものを扱うグローサリー・ショップでもあり、とにかく地元民に日常的に愛されている様子がひしひしと伝わってきました。このデリの空間をシェアするということは、ボニントン・スクエアの住人に混ざって舞台に上がるということ。機会あればぜひ、劇場デリをお楽しみください☆