何百年前と変わらないジョージアン建築のタウンハウスが数多く保存されているスピタルフィールズ・エリアでも、コマーシャル・ストリートの東側からブリック・レーンへと続くエリアは、ずいぶん昔からクリエイターたちに人気の住宅街として知られています。中でもFournier Street沿いに建つタウンハウス群は、その建築クオリティの高さから建築史的に見てとても重要なのだとか。奇天烈なアーティスト・デュオのギルバート&ジョージが住んでいる通りとして知っている方もいらっしゃるかもしれませんね ^^
この歴史あるFournier Streetにしっくり溶け込むように佇んでいるのが、ヴィンテージ・ショップのTownhouse。心地よく古びた装いに惹かれて中に入ると、温かみのあるヴィンテージ雑貨や小物が、容れ物との調和を見せつつオーガニックにディスプレイされています。セレクションはヴィンテージ家具のディーラーとして90年代からイースト・ロンドンで活躍しているイギリス人女性の手によるもの。オープン当初はヴィンテージ品だけの扱いだったようですが、近年は自身が好きなクラフト作家やアーティストによる作品なども扱って多彩な品揃えとなっています。
このショップの地下には「The Kitchen」と名付けられたヴィクトリア朝時代を思わせるキッチン・ダイニングが♪
イギリスの田舎にある小さな家の台所そのままといった趣の小さなスペースでは自家製ケーキとコーヒー&紅茶をいただくことができるのですが、このキッチンを地下にオープンしたきっかけというのが、なかなか面白いのです。
数年前、オーナーさんが買い付けに出かけたオークションで、とある家事ブックに出会いました。それは19世紀末から20世紀前半にかけて存在したある家庭で書かれた「賢い主婦の家事ブック」とでも言えるような手書きの本で、数々の興味深いレシピも含まれていたそうです。オーナーさんは洋服のクリーニングから美味しいケーキの作り方まで、その実用的かつ魅力に富んだ内容に驚愕。この家事ブックにインスパイアされ、まずはケーキから再現してみましょうということで始めたのが、地下キッチン・カフェだということです。
ケーキは全てがその家事ブックからのものではないようですが、日替わりで登場し、週末は種類も多めに。1720年頃に建造された建物のヴィンテージ・キッチンで味わう、ヴィンテージ・レシピのケーキは、21世紀のコーヒーマシンで煎れるコーヒーと共にお楽しみを☆