Mario’s Cafe マリオズ・カフェ
カムデン・タウンにほど近いケンティッシュ・タウンの一画に、パステル・カラーの外壁が続くさわやかな住宅通りがあるのですが、その小路を入ってすぐのところに、マリオさんが経営する名物カフがあります。どうして名物なのかというと、このカフはマリオさんのお祖父さんの代からずっと、半世紀以上に渡ってここで営業しているからなのです。1958年にお祖父さんのマリオさんがオープンしたとウェブサイトに書いてあるので、今年で58年目。当時はTony’sという名前だったそうなのですが、トニーさんというのは、現在の当主であるマリオさんのお父さんにあたる方、つまり、初代マリオさんの息子さんの名前から付けたのだそうです。
ずっと気になってはいたのですが、北ロンドンに住んでいながらこれまで立ち寄る機会もなく・・・それがこの夏のある晴れた日、近くに住む友人とひょっこり訪れてみました ^^
ほんの5、6テーブルが並ぶだけの小さなブリティッシュ・カフ。もとい! ここはブリティッシュ&イタリアン・カフ♪ プーリア出身の初代マリオさんから続くイタリアン・ヘリテージはメニューにしっかり引き継がれ、中でもチキン・エスカロップとアラビアータを一皿盛りにした伊太利亜コンビは秀作! リピートしたくなる気持ちが分かるちょうどいい味のバランス&揚げ具合でおそらく人気ナンバーワンのメニューなのでしょう。ナスのメランザーネは美味しかったけど、日本人としては熱々にしてサーブしてもらいたかったかも ^^; ハンドカットのチップスは美味でした♪
半世紀の間に紆余曲折がなかったわけではなく、70年代から80年代にかけての約10年間はリース貸ししてチャイニーズ・テイクアウェイの店だったこともあったようです。それでも地元の人々はマリオズを愛し続け、再開後はリピーターたちが通う地元密着型の店に。場所柄ミュージシャンやクリエイターたちのお気に入りでもあり、1993年にポップグループのセイント・エティエンヌがマリオズを歌詞に歌い込んだことがきっかけとなり、北ロンドン外でも知られるようになります。そして2010年には映像作家のローランド・デニングさんがマリオズ・カフェについてのドキュメンタリーを制作。伝説のカフェとなったのです。
マリオさんは気配りのよくできる気さくな方。ご本人もおそらく音楽をやってらっしゃった音楽好きな方なのだと思います。これからもケンティッシュ・タウンの名物カフェとしてずーーっと営業していてほしい、そんな思いとともに、またあのチキン・エスカロップとペンネ・アラビアータのコンビを食べに戻ってきたいと思うのでした。