パイの芸術! 遅ればせのメイズ・オブ・オナー

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Newens The Original Maids of Honor   ニューエンズ・オリジナル・メイズ・オブ・オナー

キュー・ガーデンズに美味しいタルトを作っている「Newens」という古い古い名物ティールームがあるのは知っていたのですが、なにせふだんの行動範囲が中心部&北&東ロンドンに偏っている身としては、なかなか訪れるチャンスがなく、よっこらせっと重い腰をあげねば辿り着けない遠い南西部の果て(とまではいかないですが ^^; )。キューまで行っても、なぜかこれまでご縁がなかったのですが、ご近所に住む友人家族に連れられて、ようやく行ってまいりました、初ニューエンズ♡ キュー・ガーデンズの駅からさほど遠くはないのですね ^^

ヴィクトリア朝時代の建物。趣きありすぎ

ヴィクトリア朝時代の建物。趣きありすぎ

すでに外観からしてタダものではないです。店名の一部にもなっているメイズ・オブ・オナーはヘンリー8世ゆかりのタルトとかで伝説には事欠かないようですが、発祥の地はキューではなくリッチモンドなのですね。

ヘンリー8世がアン・ブーリンとまだ仲がよかった頃に、彼女がリッチモンド宮殿だかハンプトン・コートだかで取り巻きのコンパニオン女性たち(Maids of Honor)とのティータイムで、このまあるいタルトを銀のお皿からつまんで食べていました。そこへヘンリー8世が登場し、「ワシにもくれ」と言って頬張ると、あらまぁ、なんて美味しいのでしょう! ヘンリー8世はいたくお気に召し、自らそのタルトを「Maids of Honor」と命名したとかしなかったとか。一説では、このタルトを作ったのがそのMaidの中の一人だったとのこと。で、当代きってのやんちゃボーイ、ヘンリー8世は、そのレシピを独り占めしたかったので、そのMaidを幽閉したとかしなかったとか。あるいはレシピを鉄の箱に入れてカギをかけ、王族だけしか食べられないようにしたとかしなかったとか・・・さまざまな伝説が付随するタルトではありますが、いやはや真相はいかに。

ちなみにテレグラフのこちらの記事では、このタルトに似たものは、すでにもっとずっと前からイングランドに存在していたとの説を披露しています。このタルト、基本はチーズ・カードと卵が原料ですよね。このあたりは「イギリスお菓子百科」でいつか取り上げられるのかもしれないな〜なんて期待したりして ^^

この秘密のレシピにアクセスできる立場にいたのが、当店創業者ロバート・ニューエンズ氏の祖父で、同じくケーキ職人だった方。その後、ロバートさんが祖父のレシピを継いで1850年に立ち上げたのが「Newens」で、その10年後に現在の場所に移ってお店をオープンした、という感じです。飲食できるティールームを併設し始めたのは1887年になってからで、2代目のアルフレッドさんという方のアイデアみたいです。現在のオーナー、ディーン・マーチンさんは2010年頃にニューエンズ家からビジネスを買ったらしいですが、ニューエンズ家とゆかりの深い家族だとか。

入り口右手にダイニングがあり、アフタヌーン・ティーなどを皆様お召し上がりでした ^^

入り口右手にダイニングがあり、パイ料理やアフタヌーン・ティーなどを皆様お召し上がりでした ^^

ところで名物Maids of Honorばかりに目が行きがちになりますが、ショーケースの中に、すごい数の食事パイがディスプレイされていて、本当にびっくりしました。デパートの食料品売り場でも、このクオリティのパイがこれだけ並んでいるのは見たことがないかも。

圧巻のパイ、キッシュ、ペイストリー類!!!

圧巻のパイ、キッシュ、ペイストリー類!!!

ここのコーニッシュ・ペイストリー、食べてみたーい♪

ここのパスティー、食べてみたーい♪

このお店はパイ専門店なのですね! この日はちゃんとした温かい食事をとりたかったのですが、ランチタイムが過ぎてしまっていて、パイとサラダ(無理に付けていただきました ^^; )をいただいたのですが、パイ生地の美味しさは言わずもがな。フィリングも完成された味と見受けられる過不足ない仕上がりで、受け継がれたレシピがしっかり守られているのだなと、老舗の風格を目の当たりにいたしました。

正統派ミート・パイ!

正統派ミート・パイ!

食器はスポード

食器はスポード。合ってますね ^^

私はサーモン・パイをいただいたのですが、丁寧に下処理をして調理した臭みのないサーモン・フィリングは、クリームで滑らかな口当たりに仕上げられ、パイ生地の塩加減もあるため、塩は控えめ、ハーブも香ってちょうどよい塩梅でペロリといただきました。味見させていただいた友人のミート・パイは、ミートが牛しぐれ煮に似た味わいで、こちらも美味。何より、サクサクと仕上がったパイ生地の美味しさが全体の味をボトムアップしています。

たくさんあるケーキ類は、昔ながらの大陸風ケーキという印象でした。お味見していないので、甘さ加減はわかりませんが・・・

この白いふわふわのものは何??

メレンゲ&クリームもドレンチェリーがちょこんとのって、かわいらしいクラシックな仕上がり☆

生地が美味しいってことは、タルト類は間違いなさそう♪

生地が美味しいってことは、タルト類は間違いなさそう♪ シュークリームはてっぺんがゴツゴツのロック風w

そして! メイズ・オブ・オナー♪ これはウワサに違わない、いや、それ以上のお味でした♡

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B&Bサービスもしてるみたいです

パイ生地は、文字通りサクサクです。びっくりするくらい、サクサクです。見た目はエッグ・タルトなんですけど、味はまったく違います。フィリングの材料は、チーズ・カードと卵、砂糖、塩、レモン果汁と想像分析しましたが、どうでしょうね。塩加減が絶妙なのです。軽い甘さの中に、塩まんじゅうほどでないにしろ、塩味を感じます。この割合・バランスが秘密なのかもしれません。2つくらいは軽くいけそうです。今度キューに来たら、いくつか買って帰ろうって思いましたよ ^^

さすが、うわさのオリジナル・メイズ・オブ・オナー! 美味しいパイってなぜか幸せを感じます。イギリス人風の郷愁なのかもしれません。

288 Kew Road, London TW9 3DU

店名Newens The Original Maids of Honor
最寄り駅Kew Gardens
住所288 Kew Road, London TW9 3DU
電話番号020 8940 2752
営業時間月〜金 9:00 – 18:00 土・日 8:30 – 18:00
URLhttps://theoriginalmaidsofhonour.co.uk
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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4件のコメント

  1. アバター画像

    MARIKOさん☆ぜひぜひ取り上げてくださいまし♡ リンクじゃダメですよww MARIKO節のファンは多いんですからっ!!! 美しいお写真もお願いします♪ それと、やっぱり材料が知りたいです!!

  2. はい、おかし百科でメイズオブオナーもそのうち取上げよう~と思いつつ、先延ばしになっていて、、そんなお菓子がいっぱい。でもいつかきっと書きますね。でもでも、ここに書いてあることで充分だから、不精してリンクはって終わりにしちゃおうかな~なんて(笑)

  3. アバター画像

    キリコさん☆コメありがとうございます! この店に行かれていながらメイズ・オブ・オナーを知らぬままだったとは・・・不覚ぅ〜(なんちって ^^ )このお菓子はカスタード味ではないのですが、カスタード・タルト好きの方のお口にも合いそう♪♪

  4. このメイズオブオナー食べたことないです!!この店には行っているのに。パイの店だったとは不覚。しかも、このお菓子かなり私の好みっぽいです。

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