ハックニーの西端に位置するド・ボーヴォワール・タウンには、賑やかなイーストと言ってもちょっと毛色の違う落ち着いた住宅地が広がっています。このエリアの中心にある粒よりのデリ・カフェがこちら。ジェントリフィケーション(中産階級化)がゆっくりと進んだ10年ほど前にオープンし、今やコミュニティになくてはならない存在として確立されているだけでなく、ガーディアン紙が主宰する「OFMアワード」で、独立系小売店に与えられる賞も受賞している実力派なのです!
創業者はこのエリアで生まれ育ったハリー・デイヴィスさん。イベントのオーガナイズに関わっていた彼が、昔からの夢であるデリ・カフェをオープンするきっかけとなったのは、この場所に昔あった自動車修理場が売りに出されたとき。そこを買い取って改装し、オープンした夢の食材店のコンセプトは「地元産のアルチザン食材を一堂に集めたワンストップのコミュニティー・ストア」。このコンセプトは今では大きく花開き、毎日信頼できる極上の食材やデリ食品を求める人々で賑わっています。
私はこういった類の高級食材店に目がなく、買う買わないにかかわらず知らない店を見つけたら必ず入ってみることにしています。どんな銘柄の商品を扱っているかでその食材店のランクがわかるのですが、このド・ボーヴァワール・デリはそんなこだわりの食材店の中でも、群を抜いて品揃えが素晴らしいです。
仕入先としてバラ・マーケットやブロードウェイ・マーケットの名前が挙がっていて、それだけで幅広い地元産の生鮮食品を扱っていることがわかります。それに、こんな地元色の強いお店でロココ・チョコやシャルボネル・エ・ウォーカーなどトップクラスのチョコレートが手に入るのも素敵。その他にも見たことがない銘柄もあったので、そのユニークさでも、まさに極上のセレクト・ショップと言うにふさわしいと思います。お店の方のセレクト・センスに脱帽。
そして2013年にはお店の一画に小さなキッチンを作り、サラダやちょっとしたデリ食品、ケーキなども作り始め、それが大評判に! 中でもソーセージ・ロールが大人気なのだそうですが、ベジタリアン向けにカボチャのロールがあり、ペイストリーの中から見えているカボチャ餡があまりに美味しそうだったので、つい端っこにある小さなイートイン・スペースで食してみたのですが、野菜本来の甘みもしっかりと残り味のセンスもいい! 大変美味しくいただき、さらにケーキも買って帰りましたがこちらも大満足♪
いつもご近所さんで賑わっている住宅街の中のスター・デリ。デリ好きなら、ここを目指してやってきてもいいほどの個性を放っています。ちなみに店名にもなっているエリア名の「De Beauvoir」は、かのフランスの哲学者、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの綴りと一緒なのですよね。フランス風の響きを取り入れてか、店内インテリアもほどよくフランス風。キュートな風情にも惹かれます^^