たしかここはFat of the Landという今ひとつ味が冴えなかったタパス・レストランがあった場所。やはり長続きはしなかったとみえて、同じロケーションに昨年秋に誕生したのはこんな素敵なダイニング・バー ^^ 心地よいカジュアルさと、スタイリッシュな輝きが同居する、まさに大人のためのレストランです。
クラシックなバー・スペースが広がる1階に加えて、2階には New Cavendish Streetを見下ろす広々としたダイニングがあります。トレンドを強調した前レストランの北欧風インテリアも嫌いではなかったのですが、今回のカべンディッシュのように革張りスツールにマーブル柄のテーブル、ダイニングでは白い布のテーブル・クロス使用と、あくまでもヨーロッパ風クラシックにこだわった装いも悪くありません ^^
今回はランチのお得なセット・メニューを注文したのですが、これが大当たり。ここのヘッド・シェフはスペインにあった伝説の三ツ星レストラン、エル・ブジでの経験ありという方で、アラカルトを頼むとそれなりにクリエイティブなヨーロピアン・ディッシュを食べられるのでしょうけど、このシンプルなセット・ランチだってなかなかどうして彼らしい工夫が感じられるお皿の数々でした☆
スターターからはスモークサーモンのカルパッチョ風と、ブラータ・チーズとヘリテージ・トマトのサラダをチョイス。スモークサーモンはプレーンな状態でサーブされた後、テーブルの上でオリーブ・オイル、エシャロットをふりかけて、最後にレモン汁をきゅっと絞ってカルパッチョ風に変身させるという心遣いが素晴らしかった。
上質&フレッシュなブラータはセット・メニューだというのに丸ごとサーブ。完熟ヘリテージ・トマト、バジル・ソースとのコンビネーションは最高でしたが、この皿の立役者はなんといってもブラータの上にのっかっていた香ばしくローストされたコリアンダーの実! ブラータ・チーズは最近、ロンドンのレストランで頻繁に見かけるようになった食材ですが、こんな工夫はこれまでどこのレストランでも見たことなかった。考えついたシェフに座布団三枚!
メイン・コースにはシンプルなリングイネのアラビアータと、レモン・ソールと海老入りのフィッシュ・ケーキ。とってもシンプルで何気ないメニューでしょう? でもね、どちらも塩加減や味加減など、すべてが完璧でした ^^
デザートにはスライスしたパイナップルをラビオリに見立てたチーズ・ケーキを。パイナップルのトロピカルなジューシーさにチーズ・クリームがマッチする軽いデザート、なかなか美味しかったですよ。
と、ここまで書いてまたリサーチしてみたら、スペイン人ヘッド・シェフのアルフォンソ・リロ・ファスさんは、スペインの「マスターシェフ」(料理勝ち抜き番組)で決勝まで残った方だったようです。いやいや、とっても頷ける腕前でした。クオリティと正統派を売りにしているのがよく分かる当店、マリルボーン界隈の住人には相当受けがいいんだろうなって思います ^^ 私も近いうちにまたアラカルトなんかを試してみたいな。