その昔、モニュメント駅のすぐ近くのビルの1階にあった日本食レストラン「Mugen」がなくなって寂しく思っていたところ、実はひっそりと昨年9月に再オープンしていたのでした♪ 何を隠そう、その昔、モニュメント界隈に定期的に行くことがあり、その度にMugenのボリューム満点でリーズナブルな「残業定食」を楽しみにしていたMugenファンの私だったのでした(笑)。
新しいロケーションは、賑やかな庶民のマーケットが立つことで知られるクラーケンウェルのLeather Lane沿い。近代的なビルの1階です。「夢源」と風情ある書体で書かれてあるロゴをなんとなく覚えているのですが、こうやってゴシック系フォントで書かれると、まるで違う店のよう。不思議にモダン〜!
あら? この場所って・・・? 古くからロンドンにいらっしゃる居酒屋ファンの皆さんには馴染みの場所、かもしれません。そう、ここはかつて但馬亭という老舗日本食レストランがあった場所。どうやらMugenのオーナーさんが、但馬亭のオーナーさんの引退に伴って、一部メニューと一緒に引き継ぎをされたみたいなのです。つまり、この店が正真正銘のMugenであり、かつての味を楽しめることに変わりはないのですが、それに加えて、但馬亭の看板メニューのいくつかもレシピごと引き継いでいるという、言わばいいとこ取り!!をした再生Mugenなのです。それは楽しみ〜とばかりに、Mugenファン、但馬亭ファンのグループ5名で久しぶりの居酒屋メニューを目指してやって参りました♡
予約していたテーブル席に座って改めてインテリアを見渡すと、とても洗練されたミッドセンチュリー風のモダン仕様に設えられていることが分かり、「む、できる・・」という印象。今のロンドンのトレンディなレストランによくあるような “一部の隙もない” がちがちコンテンポラリーではなく、居酒屋らしい親しみやすさを残しつつ、ところどころにトム・ディクソンのモダン照明を採り入れてアクセントにしたり、グレーのタイル床で全体をクールに引き締めたりと、新旧のバランスが絶妙によろしいようで。
さて、さっそく夜のメニューから前菜的なものを。ぱっと目に飛び込んできたのは「ムゲン・バクダン」! 漬けマグロ、納豆、とろろ、オクラ、沢庵を混ぜ混ぜしていただく大胆にねばねばとした一品で、マグロと沢庵がこんなに合うのかと驚きのある味のコンビ。マグロを漬けてあるところがポイントです ^^ そして、本日のおすすめの中から鮭ハラミのみりん干し焼きを。これがいい具合に脂がのっていて、ふるふると美味しいのなんの。白いご飯が欲しくなるお味☆ 聞くと、なんとオーナーさん自らがみりん干しにされているのだとか(驚)。そういえばぬか漬けもオーナーさんの手作りだということなので、料理の腕前が素晴らしいのはもちろん、食材への敬意をしっかりと持たれている方なのだなとお見受けしました。
こんなご機嫌なおつまみに合う日本酒をと、日本酒好きの連れたちが選んだのは純米大吟醸の「獺祭(だっさい)」。独特のフルーティーな口当たりが和食とよく合います♡ しっぽり幸せ〜となったところで、但馬亭の看板メニューから、「炙りしめ鯖」を!
この炙りしめ鯖・・・日本人でよかったと、しみじみ感じ入ってしまう美味しさでした。絶対にまた食べたい。魚が新鮮なのはもちろんのこと、脂ののり具合、塩加減やマリネ加減、ちょうどよい炙り具合と、どれをとっても文句なし。しょうゆなんて付けなくても絶対的に美味しいのです。半身分もあるので5名で分けるとちょうどよい量になります。さて、各自が食べたいものをメニューから選んでいくと・・・こんな品々になりました♪
大根と帆立のサラダは明太マヨ・ソースでいただく贅沢。豆腐も明太子マヨとチーズのコクがたまらないジュージューとリッチな味わいです。「最強」と銘打たれた豚角煮はやはり、はずせませんよね ^^ そしてそして、但馬亭仕込みの特製松前寿司♪ メニューを見ると「但馬亭一番人気」と書かれてあるので、これも注文せざるをえません。
あ、バッテラだ! と思ったのですけど、松前寿司とバッテラは正確には違うのだそうです。バッテラは型に入れて成形するので四角いけれど、松前寿司は巻き簀で巻いて形を整えるのだとか。こちらも表面に薄〜く昆布が貼ってある本格派♡ 四角いバッテラと違って一口では頬張れないボリューム! 鯖もご飯も美味しかったです。この際、焼き物も味見をしてみたいと意見が一致し、いくつかバラで注文。ネギマの柔らかさに感動しつつ、生涯で初めていただくプチトマトのベーコン巻きにも手を伸ばしました。ベーコンの塩気をトマトの酸味が中和するベスト・コンビ ^^
締めを何にしようか迷った末に、モニュメント時代によくいただいた、なつかしのぶっかけうどんを選びました。変わらぬシコシコ感と本格出汁、そしてオクラやとろろの組み合わせが◎ 出汁が美味しいと嬉しくなります♪ そしてご飯ものにはMugenのカレー・ファンだったという連れの一人が、エビ・カレーを注文!
このカレーは骨から出汁をしっかりと取り、ルーを何時間も煮込んだ本格的な自家製カレー。オーナーさんがずっと受け継ぎつつ改良してきた古いレシピなのだそうです。まったく食業界とは関係ないところから転職したとおっしゃっていたわりに・・・きっともともと食のセンスがおありの方なのでしょう。すでにここまででお腹いっぱいだったのですが 汗・・・一口いただいて、そのルーの味わい深さで目が覚めました。間違いなく日本のカレーですが、丁寧に作られた自家製ルーのまろやかさと、出汁のコクが伝わってきました。見た目もクラシック〜! ご飯がアーモンド型で成形されているのです。うれしなつかしのジャパニーズ・カレー♪
この日は5人で日本酒2本と白ワインを1本あけました ^^; 楽しいお酒というのは、こういう席のことを言うのでしょう。和食&日本酒を囲んでのおしゃべりは、また格別。地下には10名から15名ほどが座れる宴会にもちょうどよい部屋や、6名くらいまでの個室もあり、特別な日の会食にも使えそう。
和を意識した温かみが伝わる現代風インテリア、町の居酒屋さん風のそそられる品々から技術を感じられるお寿司まで、メニューはバラエティに富んでいて、またすぐにでも別のメニューを試しに戻ってきたくなります。次回は何をいただこうかなぁと、今から夢想しちゃう素敵で良心的な居酒屋さんです。
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