El Pirata エル・ピラータ
グリーン・パークと言えば、我々日本人にとっては心の拠りどころでもある日本大使館のあるエリアです。この大使館の裏手をもうちょっとハイド・パーク寄りに歩いた場所に、スパニッシュ・タパスの名店として変わらぬ店構えで迎えてくれるエル・ピラータがあります。
昨今、これだけ入れ替わりの激しいロンドンのレストラン業界にあって、四半世紀以上に渡ってずうっと安定した姿を見せてくれているというのは喜ばしいと同時に、ホッとする心持ちにもなります。それは地元の人々にとっても同じみたいで、ここは昔からイギリス人に大変人気のあるレストランなんですよね。おそらく90年代には界隈にさほどめぼしいレストランがなかったから、という理由もあるかもしれないですが、もちろん、味とサービスの良さ・安定感でもピカイチ! 文字通り、地元民・地元ワーカーたちに愛され続けるレストランなのです♪
エル・ピラータでは何度も食事をしたことがあるのですが、その度に間違いなく楽しめるレストランだな♡という思いを新たにするのであります ^^ そして今回、すごく久しぶりに食事をする機会がありました! やっぱり日本人の皆さん多いですね〜。というのも、ここはロケーションが近いこともあって日本大使館さん御用達だからなのです ^^
定番ハモン・イベリコもパンコン・トマテも旨い! これぞ王道の先付け。そしてハム・コロッケもクリーミーなフィリングがナイスです。そして忘れてならないのがガリシア風のタコ。ワインが進む美味しさ♪ 初めて頼んだナスの詰め物チーズ・ソース、意外なコクと深み!
そして・・・メニューに目が釘付けになってしまった「baby eel」! じつはこのスペイン名物、鰻の稚魚のアヒージョについて数日前に友人と話をしたばかりだったからなのです。
友人「鰻が獲れなくなって、スペインでは1皿100ユーロくらいする高嶺の花になってるんだよ」
私「でもロンドンのタパス屋さんでで20年近く前に食べたよ」
友人「ええっ。それって本物? 近年は日本のカニカマ技術を使った本物に似せた商品があってスペインの庶民はもっぱらそれを食べるらしいよ」
私「ええっ」
さて、やって来たbaby eelを見てこう思った私。「やっぱ本物じゃん」。「これが偽物なわけないよねー」と連れと頷きあいながら大変美味しくいただいたのですが・・・お値段が11.50ポンドと破格に安いのです。家に帰って気になった私はスペインの鰻事情について調べていて気づきました。
本物はアングーラと呼ばれるらしいですが、偽物はグーラ。そしてメニューの英語の説明書きにはbaby eelと書いてあるのですが、スペイン語のメニュー見出しはちゃんと「gula」となっておりました ^^ それでさらに気づいたのです。グーラの技術がいかに優れているかに。もちろん魚のすり身を使って作られるグーラなので、魚の味がします。しかも鰻の稚魚らしいコクのようなものもあり、まさに鰻!! これで十分美味しいです、グーラ(笑)。いや、本当にオススメです ^^(ちなみに私が20年近く前にいただいたのは本物だったと思います。目が付いてたから〜)
そしてやっぱりパエリア!! この日はシーフードで行ってみました♪
じつは以前の記憶をたどると、ここのパエリアは(本場と同じく)ちょっと塩がキツいかなーという印象だったのですが、この日のパエリアは完璧。塩加減、米の炊き加減、全部素晴らしく堪能させていただきました♡
普段はタパス屋さんでデザートをいただくことはほぼないのですが、この日は勢いづいて一品シェアしてみました。チョコレート・ケーキ! このケーキには予想を良い意味で裏切られました。かなり甘さ控えめで繊細なお味だったのです〜。こういう正統派のチョコレート・ケーキも、たまには良いものです ^^
それと忘れてならないのが、良質のスペイン産ワインを140銘柄も取り揃えていること。だからワイン好きの人々にとっても足を運ぶ価値のあるレストランなんですね。記憶をたどれば、昔はワイン通の人たちとよく来ていたのでした。
久しぶりに来て思ったのですが、エル・ピラータの魅力・・・やはりイタリアンやスパニッシュのレストランで体験することができる正統派の魅力、と言えるでしょうか。スタッフの皆さんの気遣い、安心できるメニュー構成と味、お手頃な価格。エル・ピラータの場合は、そこにちょっとしたクールさも加わります。セレブや街の名士に人気なので、気さくさの中にも品格が漂っているのです。いつまでもそこにあって欲しい、そう願ってやまないレストランなのです。