遊び心あふれる新世代シェフの芸術

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Frog by Adam Handling  フロッグ・バイ・アダム・ハンドリング

今年のBBC看板番組「MasterChef : The Professionals」、すごかったですね〜。久しぶりにほとんどのエピソードを観たのですが、あまりのレベルの高さに舌を巻きました。ジャッジたちのスキルと変わらないか、ひょっとしたら上をいくのではないか・・・なんて思えるほど、20代の若手シェフたちが大活躍。そして優勝したのは若干26歳のローレンス・ヘンリーさん。ノッティンガムにあるミシュラン2つ星レストランで副シェフを務めている方ですが・・自分のレストランを持てばミシュラン3つ星も夢じゃないくらいの素晴らしさでした^^ (食べたわけじゃないんですけどw)

そして! 本日ご紹介するアダム・ハンドリングさんも、そんな恐るべき若手シェフとして数々の賞を受賞しつつ頭角を現した先輩シェフです。アダムさんはスコットランド出身で現在30歳。一流ホテル・グループ、フェアモンテのホテル・レストランで二十歳そこそこにして最も若いヘッド・シェフになるという記録を打ち立てました。2013年の「マスターシェフ:ザ・プロフェッショナルズ」では決勝まで残り、その後も数々の賞を総なめにして2016年には満を持して自身のソロ・レストラン「The Frog E1 」をスピタルフィールズにオープンしました。

続いてこちらの「Frog by Adam Handling」は2017年秋、自身の名を冠したフラグシップ・レストランとしてコベント・ガーデンに堂々登場。Frog一号店が東ロンドンで大人気を博しているのは若いシェフらしくその気取らないスタイルが広く受け入れられたからでもありますが、こちらのコベント・ガーデン店は並居る老舗や高級店との競合を強いられるため、アダムさんちょっと大人の雰囲気を演出して勝負に出ました。さて、そのお手並みはいかに。

高級店がしのぎを削るコベント・ガーデンにできたフラッグシップ。

高級店がしのぎを削るコベント・ガーデンにできたフラッグシップ。

スッキリとしたインテリア。オープン・キッチンは楽しい!

スッキリとしたインテリア。オープン・キッチンはエンターテインメント!

いただいた料理は、すべて素晴らしい出来栄えでした♡  メニューはスナック、スターター、メインという構成になっていて、スナック部門にも注目すべき多くの良品があります。例えばチーズ・ドーナッツ。サクリと揚がったドーナッツの中にはとろ〜りとしたチーズ・ソースが隠れていて、上からは細やかなパルメザン・チーズがこれでもかと振りかかり、さらにトリュフのアクセントが・・・。また、パンに付いてきたチキン風味のバターも出色! トッピングされたチキン・スキンが風味豊かなアクセントに。

Cheese and truffle doughnuts

Cheese and truffle doughnuts

bread and chicken butter

Bread and chicken butter

Frog popcorn, garlic, parsley

Frog popcorn, garlic, parsley

そしてFrogという名にちなんで・・カエルのナゲット風「Frog Popcorn」は必ず食していただきたい一品。カエルの卵を思わせるドット入りのガーリック・マヨにディップしていただくジューシーなカエルの肉は、ベトナム料理店や南米系レストランで食べられるものとは、明らかに一線を画しています^^

こちらのスモークしたムール貝は、私たちがバシバシと写真を撮っていることに気づいてか、サービスで出してくださった一品♡ モクモクのドライアイス効果でまるでシーサイドにいるかのような気分にさせてくれる素敵なおつまみ♪

Smoked mussel, red onion, herbs

Smoked mussels, red onion, herbs

美しいプレゼンテーションです♪

美しいプレゼンテーションです♪

こちらはラビオリの一種、アグノロッティ。中身は滑らかなバターナッツスクオッシュで濃厚なチキン・ヴェローテの中に浮かんでいます^^  隠し味はフローズン・フォアグラ!

Butternut agnolotti, trompettes, frozen foie gras

Butternut agnolotti, trompettes, frozen foie gras

Pork, cauliflower, kimchi

Pork, cauliflower, kimchi

パーフェクトな焼き加減のデリケートなイベリコ豚とカリフラワーも大満足の一品。味を引き締めるのはキムチ・ソース。アダムさんは日本食をはじめ、アジアの食に造詣が深くて様々なアジア・フレーバーを取り入れます。確か奥様も台湾の方なのですよね^^

Celeriac, date, lime, truffle, yolk

Celeriac, date, lime, truffle, yolk

BBQ mackerel, potato, apple

BBQ mackerel, potato, apple

卵黄と一緒にいただくセロリアックのベイクにはポルチーニの香りが漂い、グリーン・アップルがシャキッとアクセントに。ポテトを添えたサバのBBQは黒いパウダーがお皿全体を覆う印象的なプレゼンテーション。モダン・シェフたちの芸術的な盛り付けには本当に目を見張ります。

Mandarin, madeleine, clove

Mandarin, madeleine, clove

マドレーヌとマンダリンのデザートは・・・この日注文した中で最も印象が薄い一品だったかな。アダムさんはデザートも得意なはずなので、次回は別のデザートに期待!

Rapsbury doughnuts

Mini raspberry doughnuts

と思っていたら・・・お勘定と一緒に出てきたこちらのドーナッツがとても美味しかった! 中には甘酸っぱいラズベリー・ジャムが入ってるんです♡  まん丸でさっくりとした揚げ具合。こういうスナックもアダムさん、大得意ですよね ^^

この日はランチで訪れ、3名でアラカルトからいろいろなお皿をシェアし、お酒をいただかなかったこともあってかなりリーズナブルに収まりました。有名シェフのフラッグシップ・レストランだけれど、敷居がさほど高くないのも素晴らしいところ。もちろんテイスティング・メニューでしっかりいただくのもありだし、ランチにサクッと訪れスナック+メインで済ませるのもあり。使い方はあなた次第。ロンドンで英国人シェフの「今」を知りたいなら、ここは最適なデスティネーションだと思います。

今は亡きピカデリー・サーカスの風景 ^^

今は亡きピカデリー・サーカスの風景 ^^  ちょっとノスタルジック。

34-35 Southampton Street, London WC2E 7HF

店名Frog by Adam Handling
最寄り駅Covent Garden
住所34-35 Southampton Street, London WC2E 7HF
電話番号020 7199 8370
営業時間月〜土 12:00 – 14:30 / 17:30 – 22:30
URLhttps://www.frogbyadamhandling.com
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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