地元民の情熱で見事よみがえった宝物パブ

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The Golden Lion, Camden Town  ゴールデン・ライオン(カムデン・タウン)

カムデン・タウンのキングス・クロス側の運河寄りという目立たない場所にひっそりと佇むご近所のための伝統パブに、一流シェフがやってきて様変わりしているという情報をキャッチ。さっそく偵察に行ってまいりました。

ちゃんと地図を見ず、私が知っているRoyal College Street近くでバスを降りると、歩いても歩いてもなかなか到着せず(笑)。この通りはすごく長くて、Kentish Town側からずっとSt Pancrass駅の裏側まで続いているんですね。そのセント・パンクラス寄りの住宅街の中にあるパブなのですが、これがなかなか立派なのです。

リノベーションがすっかり完了し、ハンサムな外観に♪ 建物自体は1757年からあるようです。

リノベーションがすっかり完了し、ハンサムな外観に♪ 1757年にベスナル・グリーンで創業したビール醸造所Charrington Breweryのビールを扱っていたみたいですね。ビルにプレートが。

この記事を書くにあたりリサーチをしていましたら、こちらのガーディアンの記事を見つけました。この記事を読み始めたら止まらないw  ものすごく長い記事です。リーマン・ショック以降、イギリス経済が持ち直した後の不動産開発の波の中で、いかにパブが違法ギリギリの方法でオーナーの手を離れさせられ、フラットに転換されているかという事実をベースに、このゴールデン・ライオンがその波に危うく呑み込まれそうになりながらも、どのように再生したかという(壮絶な)内容です。

確かにイギリスのパブはその数をどんどん減らしています。なぜパブが姿を消すのか。その理由は地域やオーナーシップの形態によって異なるのでしょうが、ロンドン市内に関して言えば、不動産はとにかくどんな形であれ金の卵です。従ってプロの業者の目に止まったが最後、巧妙な手口でオーナーはその権利を手放さざるを得ないレールを敷かれてしまう・・・ということのようです。

このゴールデン・ライオンのケースでは、1978年以来、不動産権利をリースしてパブを営業していたランドロードのマーフィーさん一家が、敏腕の不動産開発業者である新しいオーナーシップの元にビル全体をフラットにするという計画に対して、パブ保護活動家の女性と組んで地元民の協力を得つつ、パブを営業し続ける権利を2015年頃に奪還した、と。ここまでがガーディアンの記事です。そして別の記事を読むと、昨年、良きビジネス・パートナーシップを結んでパブ全体のテコ入れを行うと同時に、フード部門に新しいシェフを迎え、さぁ、これから新しい船出だ! ということになっているみたいですね^^

古き良きオールド・パブの趣です。

古き良きオールド・パブの趣。

新しく迎えられたシェフというのは、イズリントンの閑静な住宅街の中で愛されているガストロパブ、Draypers Armsの厨房を率いていた優秀なシェフ、トレバーさん。もともと、新しいビジネス・パートナーである別のパブのオーナーさんとお友達だったようで、自然な流れの中での登板となったようです。

それでその食事のクオリティなんですが、これが素晴らしかったです。私たちは平日のランチに行ったので2皿しか試しませんでしたが、両方ともにトップクラスのガストロパブの出来栄え。チキン&マッシュルーム・パイのクラストはあくまでサクサク、フィリングのお味も上々、そして驚きのベジタリアン・ディッシュですが・・・いくらでも食べられてしまうほど美味しい一皿でした。

チキン&マッシュルーム・パイ。チキンが柔らかく、とても美味しかった!

チキン&マッシュルーム・パイ。チキンが柔らかく、とても美味しかった!

激ウマだったベジ料理。でもご近所さん・・・この料理好きかなぁww

激ウマだったベジ料理。でもご近所さん・・・この料理好きかなぁww

文章で説明するのはとても難しいのですが、ハリッサをアクセントにローストしてある人参とスクアッシュの下に、ホワイト・ビーンズとデュカ(中東のナッツとスパイス)が敷かれてあり、スパイスと塩加減+酸味のバランスも豆の茹で加減もちょうど良くパーフェクトなんです。キッチンは地下にあるらしく、下から(ビールをタップから少し拝借するためにw)やってきたシェフの方がおそらくトレバーさんとお見受けしました。この日はちゃんとご本人が調理してくださったみたい^^  ともかく料理が美味しいので、すごくおすすめです。

パブは広いので、スポーツ観戦用のスペースとダイニング・スペースが何となく自然に分かれています。

パブは広いので、スポーツ観戦用のスペースとダイニング・スペースが何となく自然に分かれています。

パブ自体は地元の人のテイストを反映してか、ちょっぴりシャビーなオールド・パブ(クラシックなおじさまパブという意味)の風情を残しつつ、ダイニング・スペースとしての居心地も考慮した造りになっているところもグッド・ジョブ。地元のおじさまが安心して一人飲みやダーツ、プールを楽しめると同時に、グルメたちも美味しい料理やクラフト・ビールを満喫できるパブ。もしかするとゴールデン・ライオンは、それとは知らず、今のイギリスに必要な全ての要素を満たした最先端パブになっているのかもしれません。

ちなみに、このゴールデン・ライオンが営業を続けることができた大きな理由の一つは、このパブがコミュニティーに必要不可欠なものだということをカウンシルが認めたからです。パブの役割は今も昔も変わらないですね。

改めてウェブサイトを見ると、平日は2コースのセットランチが10ポンド、土曜日の12時からは限定カクテルのボトムレス・ブランチもやっています。もちろん日曜日はサンデー・ロースト! 食べ物やビールを楽しむだけでなく、地元の人々との交流もときにはぜひ。伝統パブの醍醐味♪

88 Royal College Street, London NW1 0TH

店名The Golden Lion, Camden Town
最寄り駅Camden Road / Camden Town
住所88 Royal College Street, London NW1 0TH
電話番号
営業時間毎日 12:00 – 00:00
URLhttps://www.goldenlioncamden.com

88 Royal College Street, London NW1 0TH

店名The Golden Lion, Camden Town
最寄り駅Camden Road / Camden Town
住所88 Royal College Street, London NW1 0TH
電話番号
営業時間毎日 12:00 – 00:00
URLhttps://www.goldenlioncamden.com
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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年に「あぶそる〜とロンドン / Absolute London」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。あぶそる〜とロンドンが選ぶ『ロンドンでしたい100のこと』(自由国民社)を2018年に上梓。

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