すっかり拓けてきた感のある南ロンドンのペッカム周辺。オーバーグラウンドのQueens Road Peckham駅のすぐそばに、カジュアルで居心地のいい、かつ洗練された南アフリカ・ルーツのレストランが2018年初めにできています。
名前はKudu。ウェブサイトを開けると、アンテロープのようなつぶらな瞳をした愛らしい動物の姿が目に飛び込んできます♡ この動物こそKudu / クードゥーで、主にアフリカ大陸に生息しているのだそう。ネットで見てみると、波打つ角としなやかな肢体に目を惹かれる美しい生き物です。
南アフリカ料理にはほとんどご縁がなく、どんな特徴があるのか知らなかったのですが、実際に食してみると・・フレーバー豊かな美味しさに感激。南アフリカ出身のパトリック・ウィリアムさんが共同オーナー・シェフとして厨房をリードしているのですが、彼はもともとベスナル・グリーンにあった実力派レストラン「Paradise Gararge」の副シェフとして腕を鳴らしていた方。しかも!
共同オーナーであるパートナーのエイミーさんは、ロンドン市内では有名なレストラン事業家であるクリス・コービンさんの娘さんなのです。コービン&キングといえば、ピカデリーのWolseleyやコベント・ガーデンのDelaunayなど、確立されたレストランを経営する実力ある会社。ロンドンでレストラン事業を成功させるために必要なアドバイスを、たっぷりと受けているのでしょう^^
確実にヨーロッパ料理の影響はあります。でも、例えば「Kudu bread」と名付けられた鍋焼きパンはバター・ベースのディップによって2種類が用意されており、西欧では味わえない食体験をすることができます。私たちはシーフード・バター&ブラウン・シュリンプのディップを選び、大正解。ガーリックの香ばしさも加わって、濃厚なディップに付けていただくモチモチの素朴な自家製パンは格別でした^^
「鍋焼きパン」と書きましたけれども、これは南アフリカ特有の「potjie / ポイキ」と呼ばれる鍋だそうです。本来は野菜や肉をスロークッキングするのに適した鍋で、例えばタコをレッドペッパーのムースといただく一品もポイキ料理。鮮やかなオレンジ色とサルサ・ヴァーデの緑が好対照をなす麗しい逸品でした。
カレー風味のカリフラワー素揚げがトッピングされたタラ、ガーリック風味と溶け合って甘さが際立つオニオンのタタンなど、どれも素晴らしく満足度の高い出来栄え。そして、2人前から注文できる牛オングレットには、ポテトのムースと上手にソテーされたエノキやキャベツも添えられ、肉好きなら必ず楽しめる豪華なメニューです。
デザートにはパイナップルのタタンをシェア。ココナッツ・アイスと味噌キャラメルでいただく上等の品で、お味も思った通りの美味しさ。メニュー全体を見渡しても、メニュー構成のセンスが抜群にいいなというのが率直な感想です。お値段もお手頃だし、南ロンドンに住んでいたら通ってしまいそう♪
エイミーさんがコービン家の娘さんだと書きましたが、いわゆるコービン&キングが得意とするグランド・カフェ・スタイルのレストランとは全く違います。この独自の家庭的スタイルを、ぜひとも貫いていただきたいですね^^