第72話 Bachelor’s pudding ・ Cumberland pudding ~バッチェラーズプディング・カンバーランドプディング~

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okashi


<Bachelor’s pudding・Cumberland pudding バッチェラーズプディング・カンバーランドプディング>

「バッチェラーズ(独身男の)プディング」~この名前からどんなプディングが頭に浮かびますか? 手間がかからず簡単に作れるとか、味重視で見た目はそれほどこだわらないプディングとか、そんな感じでしょうか。 これはビクトリア時代にとても人気のあったりんごを使ったプディング。1800年代の料理本によく登場します。多少の違いはあるものの、基本は刻んだりんごとカランツ、パン粉にお砂糖と卵を混ぜて蒸したもの。そこにレシピによって、スエットやバターの油脂類や膨らますための重曹、風味付けのレモンの皮やナツメグなどが加わることも。とにかく全部適当に混ぜてプディングベイスン(容器)に入れて蒸すだけなので、準備はとっても簡単。実際のところ、この不思議な名前の由来は謎なのですが、その当時から持ち運びも出来るお手軽なミニ簡易オーブンが「Bachelor’s oven( =独身男性のオーブン)」と呼ばれていたことなどを考えても、やはり、あまり料理をしない独身男性でもお手軽に作れるプディング~そんな意味合いだったのかなと思います。

これはゴールデンシロップも加えたちょっぴり今どきなバッチェラーズプディング☆

これはゴールデンシロップも加えたちょっぴり今どきなバッチェラーズプディング☆

同時代のプディングに、このパッチェラーズプディングとよく似たものがもうひとつあります。それは「Cumberland pudding(カンバーランドプディング)」、あるいは「Duke of Cumberland’s pudding」と呼ばれるもの。作り方も材料もほぼ一緒と言っていいほどそっくり。メインはパン粉にりんご、卵にお砂糖、カランツは入ったり入らなかったり。名前以外何が違うのかよく分かりませんが、とにかくカンバーランド(イングランド北西部、湖水地方の辺り)では、このりんごとパン粉の入ったスチームプディングがこう呼ばれていたようです。カンバーランドというと、カンバーランドラムニッキーやカンバーランドラムバターなどラム酒やスパイスをたっぷり使ったレシピを想像しますが、これはさにあらず、材料から想像できるとおり実にシンプルな一品です。

生地は材料を全て混ぜるだけ☆スエット入りバージョンのカンバーランドプディング☆

生地は材料を全て混ぜるだけ☆スエット入りバージョンのカンバーランドプディング☆

さて、独身男性でも作れるプディングならきっと私でも作れるわ~とお思いになる方も多いはず。そこで今日はスエットなど日本では手に入りづらい材料を使用しない、Mrs. Beetonのレシピをご紹介しますので、是非ヴィクトリアンなお味をご賞味あれ。

1241 BACHELOR’S PUDDING
Ingredients- 4 oz.of grated bread, 4oz. of currants, 4oz. of apples, 2oz.of sugar, 3 eggs, a few drops of essence of lemon, a little grated nutmeg.
Mode- Pare, core, and mince the apples very finely, sufficient, when minced to make 4 oz.; add to these the currants, which should be well washed, the grated bread, and sugar; whisk the eggs, beat these up with the remaining ingredients, and, when all is thoroughly mixed, put the pudding into a buttered basin, tie it down with a cloth, and boil for 3 hours.

 <材料>パン粉4オンス(1オンス=約28g)、カランツ4オンス、 りんご4オンス、砂糖2オンス、
卵3個、 レモンエッセンス 数滴、おろしたナツメグ少々
<作り方>りんごの皮をむき、芯をとって細かく刻み、4オンス分用意します。それをよく洗ったカランツとパン粉、お砂糖と合わせたら、溶いた卵と残りの材料も加えて、よく混ぜ合わせます。バターを塗ったプディングベイスンに入れたら、布で包んで3時間茹でましょう。
(Mrs Beeton’s Household Management 1861 より)

 

ホカホカプディングに温かいカスタードをたっぷりかけていただきます☆

ホカホカプディングに温かいカスタードをたっぷりかけていただきます☆

プディングベイスンは陶器でできたどんぶりのような器のこと。ふきんで包まなくとも、オーブンペーパーやアルミホイルなどできっちり蓋をして、蒸し器で蒸すか、器の半分までお湯に浸かった状態でお鍋で蒸し茹ででもOKです。でも3時間って、、、どこがお手軽?なんて思ってしまいますが、なんでも3分で出来てしまうこのご時世、たまには、効率ばかりを求めついついセカセカしてしまう心と頭を解放し、お鍋から上がる湯気をぼ~っと眺める~そんな時間を持つのも悪くないのかも知れません。

 

 

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/

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