第76話 Bath Oliver ・ Abernethy biscuits ~バースオリバー・アバネシービスケット~

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okashi


<Bath Oliver・Abernethy biscuits バースオリバー・アバネシービスケット>

イギリスでチーズのプレートをオーダーすると必ずと言っていいほど、添えられるのがチャツネとセイボリーのビスケット(甘くないクラッカーのようなもの)。今日のテーマ「バースオリバー」はそんなセイボリービスケットのひとつ。軽い食感と、他を邪魔しない色白でシンプルな味と姿はチーズに最適と、イギリス中で広く親しまれています。

イースト発酵のバースオリバー、ちょっと面倒だけれど手作りもたまになら☆

イースト発酵のバースオリバー、ちょっと面倒だけれど手作りもたまになら☆

名前からご想像いただけるように、イギリス南西部の世界遺産の街バースの生まれのこのビスケット、1750年頃に考え出されたと言うからもう齢260を超えるビスケット界の大長老です。生みの親は以前ご紹介したバースバンズの父 William Oliver医師。Cornwall 生まれの彼がバースに移り住んだのが1728年、33歳のときのこと。それから医師として成功を収める傍ら、ベイキング好きが高じて美味しいバース名物をいくつも作り出してくれた~わけではなく、自ら抱える患者さんの治療の一環として消化を助ける食品を考案する中で生まれたのがバースバンズであり、バースオリバーなのです。ただし、最初に作ったバースバンズは卵やお砂糖、バターのたっぷり入ったリッチなパン、患者さんの受けも良かったのですが、気づくとみるみる患者さんたちが太っていくではないですか。これではいけないと、次に考案したのがもっとシンプルでカロリーの低い「バースオリバー」だったのです。イーストで発酵させるヘルシーで軽いビスケットのレシピは、オリバー医師の死後、お抱え御者のMr.Atkins に小麦粉といくらかのお金と共に残されます。商才のあった彼はバースに早速店を構えて バースオリバーを売り出し、瞬く間に大金持ちになったのだとか。現在そのレシピはJames Fortt氏の手に渡り、Fortt’s Original Bath Oliver としてイギリス中のスーパーの棚にのっています。

どうしてもチーズが欲しくなるバースオリバーは果たしてヘルシーなのか、、、

どうしてもチーズが欲しくなるバースオリバーは果たしてヘルシーなのか、、、

さて、スーパーのビスケット売り場の棚でバースオリバーを見つけたら、もうひとつ探してみてもらいたいのが、どこか垢抜けない赤いタータンチェックの袋に包まれた「アバネシービスケット」。どんどん洒落っ気を増している他のビスケットたちには染まらず、ずっとこの素朴さを保ってもらいたいとひそかに願っているのですが~そんなことはさておき、このビスケットはそのチェックのパッケージから想像がつくようにSimmers というスコットランドのメーカーにより作られています。

Simple is best な美味しさのアバネシービスケット☆

Simple is best な美味しさのアバネシービスケット☆

南のバースから一気に北へ飛びましたが、バースオリバーと非常に似た経歴の持ち主。このアバネシービスケットの生みの親 John Abernethy氏(1764-1831)は、やはり医師。彼には病気の多くは消化器の不具合によって生じるという確固たる自説があり、消化を助けるキャラウェイシードを入れたビスケットを考案したのでした。バースオリバーと違うのはお砂糖や卵が入った甘いビスケットになっている点。 Dr.Abernethy のオリジナルのレシピと言われているものを見てみると~

1quart of milk, 6 eggs, 8 ozs of sugar, 1/2 oz of caraway seeds, with flour sufficient to make the whole of the required consistency. They are generally weighed off at 2 ozs each, moulded up, pinned and docked, and baked in a moderate oven.

どうせ手作りするならキャラウェイシード入りで☆

どうせ手作りするならキャラウェイシード入りで☆

バターなどの油脂類はなしで卵やお砂糖がたっぷり、キャラウェイシードも入っていますね。一方、現在市販されているSimmers のアバネシービスケットの原料を見てみると~卵はなしで、代わりに植物油脂入り、キャラウェイシードも入っていないようです。この現代バージョンは消化を促す効果は期待できなさそうですが、リッチティー(日本のマリービスケットのようなもの)ほど固くなく、ショートブレッドほどリッチすぎず、マクヴィティーのダイジェスティブビスケットほどラフすぎないそのちょうどよさが長年愛されている理由でしょうか。ちなみに、アバネシービスケットと言えば、Simmers社、そしてスコットランドにはAbernethy という町もあるため、すっかりスコットランドのビスケットというイメージですが、Dr. Abernethy 自身はロンドン生まれのイングランド育ち。当然アバネシービスケットを考案したのも、イングランドで。実はイングランド生まれのビスケットだったりするのはご愛嬌。。。今日はバースオリバーとアバネシービスケットという、共に医師によって生み出されたイギリスの元祖ダイジェスティブビスケット(Digestive=消化を助ける)のご紹介でした。

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/

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