第147話 Cinder toffee/ Fudge シンダートフィー/ファッジ

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okashi


<Cinder toffee / Fudge シンダートフィー/ファッジ>

イギリス人には遠く及びませんが、日本人だってやっぱり甘いものは大好き。「Sweets(スイーツ)」という言葉を聞くと、思わず目がキラキラしてしまう方も多いと思いますが、皆さんはこの言葉からどんな甘いものを想像しますか?ふわふわのケーキやしっかり焼きこんだフルーツタルト?それとも冷たいムースやアイスクリーム?日本では和菓子やチョコレートなども含めて、甘いもの全てを指せる便利な言葉ですが、イギリスではちょっぴり状況が違います。イギリスでいうところの「sweets」は主に、キャンディーなどのお砂糖を主原料とした小さなお菓子を指す言葉。だから、「スイーツショップ」という看板を見つけて駆け込んでも、そこにはヴィクトリアサンドイッチもパイもスコーンもありません。そこで買えるのは、いわゆるConfectionary(Sugar confection)と呼ばれる、キャンディーやトフィー、リコリスものやガムにグミ、あってもせいぜい、マシュマロやチョコレートくらいまで。ケーキはおろか、ビスケットなどの小麦粉ベースのものはそこには存在しません。もっとしっかり甘くて、お口の中で溶けていく、とにかくカラフルで夢のように甘いものばかり。言ってみればほぼほぼ全部お砂糖の塊。これだけお砂糖が集まれば、抗菌効果抜群、虫歯菌もやっつけてくれるに違いない、そんな気がしてしまう場所(笑)

ファッジはスーパーでも専門店でも沢山の種類が揃います☆

ファッジはスーパーでも専門店でも沢山の種類が揃います☆

そんな中でも、専門店があるほどイギリス人の愛してやまない甘いもの、トフィーとファッジが今日のお題。薄いキャラメル色をしたトフィーとファッジ、見た目もよく似ているので、どっちがどっち?よくわからなくなってしまいますが、食べた時の違いはトフィーが多少固めで、お口の中でゆっくり溶け、ファッジはしっとり柔らかめで、すっと溶けるもの。トフィーとファッジ、原料と作り方にはもちろん違いがあります。大まかにいうと、トフィーの主原料はお砂糖とバター。これを130℃~150℃まで加熱し、固めたもの。これに対しファッジは、お砂糖とバターのほかに乳製品(練乳やエバミルク、生クリームなど)がさらに入り、煮詰める温度は少し低めの113~118℃くらい、その後白濁するまで攪拌し、再結晶化させるので、もろく崩れやすくなります。とは言え、トフィーに生クリームなどが入ることもあるし、どちらにも、好みの硬さにしたり、副材料を加えたりとバリエーションは数限りなくありますが。

手作りファッジはちょっとしたプレゼントにも使われます☆

手作りファッジはちょっとしたプレゼントにも使われます☆

いつかご紹介したボンファイアートフィーやトフィーアップルも、トフィーの一種ですが、 一番の変わり種は「Cinder toffee (シンダートフィー)」。別名 「Honeycomb (ハニコム=ハチの巣)」とも呼ばれるこれはその名のとおり、ハチの巣状に沢山穴の開いた甘い固まり。大抵、ラフに砕かれたものが、袋詰めで売られています。そのまま食べてよし、アイスなどのトッピングにしてもよし、甘いけれど、サクサクの食感があとを引きます。簡単にできるので、おうちで作る人も。作り方はシンプル。お砂糖とゴールデンシロップを熱し、色づいてきたら重曹を入れてかき混ぜます。ぶくぶくぶく~~!!小さいお鍋を使っていたらパニックになるほど泡立ってきたら、急いでバットに流し、あとは固まるのを待つだけ。そう、お察しの通り、ほぼこれは日本のカルメ焼き。ただ、大きく作って割るのがイギリス流。さらに甘さをUP、チョコレートコーティングされたものも人気です。Cinder toffee というその名前は、ずばりその見た目が「石炭がら(Cinder)」みたいに見えるから。
他にも地方によって呼び名は様々あります。コーンウォールでは Hokey pokey(ホーキーポーキー)、アイルランドではYellowman(イエローマン)、スコットランドでは Puff candy (パフキャンディー)、アメリカでは Sea foam candy(シーフォームキャンディー)や Sponge candy(スポンジキャンディー)とも。ホーキーポーキーは、ニュージーランドではこのシンダートフィーを混ぜ込んだアイスクリームの事ですが、OEDによると、イギリスでお菓子を意味するホーキーポーキーという語が一番最初に文献に登場するのは1884年。当時ホーキーポーキーは、1個1ペニーほどで売られていた安い屋台売りのアイスクリームを指す言葉で、そのアイスクリーム売りは大抵イタリア人でhokey-pokey men と呼ばれていたのだとか。彼らの売り口上が「Gelati, ecco un poco! ( Ice cream, here’s a little!」あるいは「O che poco! (O how little!)」だったから、アイスクリームがホーキーポーキーと名付けられたという説があります。ただし、 Hokey-pokeyという単語には、甘いお菓子の他に、「ごまかし」という意味もあり、そちらの語源はOEDによるとラテン語由来の呪文や手品を意味するhocus-pocus にあるとのこと。

手作りのシンダートフィー(ハニコム)とホーキーポーキーアイスクリーム☆

手作りのシンダートフィー(ハニコム)とホーキーポーキーアイスクリーム☆

他にもイギリスには数えきれないほどのファッジとトフィーの親戚が存在しますが、中でも有名なのは「Scottish tablet(スコティッシュタブレット)」。単に「タブレット」とも呼ばれるこれはスコットランド名物。ファッジよりもさらにもろく砕けやすく、ザクっとした口当たりなのに、すっと溶けるなめらかさも兼ね備え、紅茶やコーヒーのお供に頂くと、疲れもすっとどこかへ。。。ショートブレッドと並んで、スコットランドのお土産品として人気です。お土産品と言えば、ヨークシャーのファッジやトフィーも有名ですし、イギリス南部、デヴォンシャーやコーンウォールのクロテッドクリームファッジも忘れることはできません。他にも、 アメリカでも人気のアーモンドとバターたっぷりの English toffee (イングリッシュトフィー)や、ピーナッツたっぷりトフィーの Peanut brittle(ピーナッツブリットル)、バタースコッチに、キャラメルに…う~ん、脳内血糖値マックスでクラクラしてきたので、今日はこの辺で。。。

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本 「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」を出版

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