第156話 Yorkshire mint pasty ~ヨークシャーミントパスティ~

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<Yorkshire mint pasty ヨークシャーミントパスティ >

 

「ヨークシャーミントパスティ」。はじめ、その名から想像したのは、以前コーンウォールのパスティ専門店で見かけた、ラム&ミントのコンビネーションのパスティ。当然、セイボリー(塩味)のあの半円形のパスティが頭に浮かんだわけですが、でも待って、ヨークシャー?名前も「ラム&ミントパスティ」ではなく単に「ミントパスティ」だし、、と、レシピをちゃんと見てみると~あら、これは例のパスティとは全くの別物。甘いお菓子ではないですか。挿絵も何もないイギリスの昔のレシピ本、ただ何百ものレシピがずらずら並んでいると、タイトルから勝手に想像し、知っているものとしてスルーしてしまうものが多いのですが、実はその中に面白いものが潜んでいることが多々。

カランツとフレッシュミントのコンビネーションが新鮮です☆

「Yorkshire currant mint pasty(ヨークシャーカラントミントパスティ)」とも呼ばれるこのお菓子は数十年前まではヨークシャーのベイカリーや家庭でもよく見かけたお菓子だったとか。いつの間にかその姿を消してしまったようですが、今でも子供の頃食べたこの味を懐かしむ人もいます。小麦粉とラード、もしくはバターで作ったペストリーで、たっぷりのカランツとちょっぴりのお砂糖とバターのフィリングを包んで焼いたシンプルなお菓子。要はエクルスケーキやチョーリーケーキのお仲間なわけですが、一番の特徴が名前にも登場するミント。ミントの葉を刻んでたっぷりとフィリングに加えるのです。 ミントのお菓子というと、どうしてもミントチョコやキャンディー、ケンダルミントケーキのようなあのスーッとしたエッセンスだけをプラスした砂糖菓子を想像してしまいますが、ここでは珍しいことに生のミントの葉をそのまま、しかもカランツに混ぜて焼いてしまうというのだから面白い。もともとイギリスでは古くからミントのもつ、健胃・鎮痛・疲労回復・殺菌といったさまざまな効用を理解し、日常生活に広く活用してきたので、飲み物として、お料理の風味付けやソースとして使うことは多いのですが、フレッシュのミントをこういった焼き菓子にそのまま焼き込むというのは意外と珍しいパターン。果たして、ドライフルーツと一緒にペストリーの中で蒸し焼きにされたミントはどんな風味になるのか、、、

丸く延ばした生地をぱたんと折るターンオーバースタイルも☆

余ったペストリーやドライフルーツに、庭で摘んだミントを加えるだけでパパっと作ることができるミントパスティ。大きく作れば、お腹を空かせて帰ってくるお父さんや子供たちの日々のおやつに、一人分ずつ小さく作れば、持ち運びも便利なお弁当用に。そんな家庭の味なので、配合も作り手次第、その日の手持ちの材料次第。形だっていろいろ。カランツが足りなければサルタナや他のドライフルーツが入ったり、冬ならドライにしておいたミントが入ったりしたことでしょう。それでもこれはヨークシャーに伝わるミントパスティ、他の地では見かけないヨークシャー伝統の味だそうです。ちなみに気になるお味のほうは、スパイスも何も入らないこんなにミニマムな材料のわりには、生のミントのおかげで奥行きのある味わい。シンプルながらも、濃く淹れたミルクティーにぴったりのイギリス菓子らしさ全開のお味です(笑)

簡単に作れるのでレシピをあげておきますね。気になる方は是非一度お試しを☆

 

<ヨークシャーミントパスティ>

① ペストリーを作ります。薄力粉225gに塩一つまみ、小さくカットした無塩バター110gをボールに入れて、指先でサラサラのパン粉状にします。冷水大さじ4~5を加えて生地をひと固まりにし、ラップに包んだら、 フィリングを準備する間冷蔵庫に入れておきましょう。

カランツ200gに熱湯を回しかけた後、しっかり水気を切っておきます。冷めたところに無塩バター35gブラウンシュガー35gを加えて手でもみ込むようにして全体を馴染ませたら、刻んだミント大さじ2も加えます。

③ ①のペストリーを半分に分け、必要なら打ち粉をしながら、それぞれを5㎜厚さの円形に伸ばします。
1枚の 中央に②のフィリングをのせ、もう一枚をかぶせて周囲を、ぴっちりと指またはフォークなどでとめてあ げます。

④ 好みで、表面に牛乳を塗り、グラニュー糖をふりかけたら、180℃に熱したオーブンに入れ、30~35分、表面に軽く焼き色がついたら出来上がり☆

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本 「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」を出版 2018年 12月 「イギリスお菓子百科」を出版

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