<Jelly babies ジェリーベイビー>
「ジェリーベイビー」~かわいい響きの名前といかにも子供好きしそうなカラフルでポップなパッケージ。さぁ、袋を開けてみましょう~
ひゃぁ~中から出てくるのはちょっと不気味な赤ちゃん型?と言おうか得体のしれない人型グミ。赤に黒、緑に黄色にオレンジ色、若干とろけてしまったような雑なシェイプがなかなかシュールです。とは言え、イギリスではこれを食べたことのない子供たちがいるだろうか、というくらいメジャーなお菓子。Bassetts のジェリーベイビーが有名ですが、各大手スーパーのオウンブランドものもあるほど定番です。
昔はともかく現在はナチュラルカラーにナチュラルフレイバーで、見た目に反してお味はなかなか。イメージするグミよりもっとソフトなジェリータイプで、Bassettsのものはちゃんとフルーツの味がします。わたしは見た目一番怪しい真っ黒(濃紫)のBig Heart君、 ブラックカラント味がお気に入り。そう、それぞれに赤ちゃんの名前がついているのです。赤のBrilliantはストロベリー味。黄色のBubblesちゃんはレモン、ピンクのBaby Bonnyはラズベリー味で オレンジはBumper君 と言った感じ。ライムフレイバーのBoofuls君(緑)も何気にマイフェイバリット(笑)。
そんなことはさておき~このジェリーベイビー、世に出たのは19世紀後半と言われているから、たいそう長生きな赤ちゃんたち。1864年、Thomas Fryer氏がランカシャーにお菓子屋さんを開いたのが1864年。そこで働いていたオーストリア出身の菓子職人Steinbeckさんがこのお菓子を生み出したと言われています。でも実は彼、熊さん型のグミを作るよう言われていたそう…なのに、出来上がったものは熊さんというよりは、まるで新生児…そこでそのグミにつけられた名前は「Unclaimed Babies(みなしご)」。まったくひどい名前ですがこれがなぜだか結構売れたそう。大成功したFryer & Co, は Nelson に大きなファクトリーを作ります。そして1987年に閉鎖されるまでの長い間、Unclaimed Babies はじめ山のようなお菓子を生み出し、Nelsonの町に甘~い香りを振りまいていたそうです。
さて、赤ちゃんたちの出生の秘密はこのくらいにして、この子たちを「ジェリーベイビー」として今も育て続けているのが Basset’s(現在はCadburyの中の1ブランド)。1842年創業のシェフィールド生まれの老舗お菓子カンパニーです。リコリスオールソーツなどのリコリスキャンディーで有名なこの会社が、ジェリーベイビーづくりに乗り出したのは1918年。第1次世界大戦の終戦を記念して、「Peace Babies」(ほっとする名前!)として売り出します。その後、第2次世界大戦の勃発で材料不足から一時製造休止に追い込まれますが、1953年、「Jelly Babies」として復活。それからず~っとジェリーベイビーは子供たちの人気者です。
グミというとドイツのHaribo 社が有名ですが、イギリスだってその歴史では全く負けていません、というかよほど長い歴史を誇っています。ちなみにイギリスでグミ(果汁などをゼラチンなどで固く固めたもの)は、Gummy candy、Jelly candyなどとも呼ばれます。
イギリスのスイーツショップ(駄菓子屋さん)に行くと、Gummi bears(熊さん型グミ)はもちろん、いちごやブドウなどのフルーツ型から、ミミズやクモなんていう気味悪い系までグミだけでもかなりの種類。子供たちは皆それぞれお気に入りがあるのでしょうが、わたしがついつい選んでしまうのはコーラのボトル型や目玉焼きのような無難なものばかり。たまには童心に帰って、もっと冒険したものを買ってみようかとも思うけれど、思い返してみれば、わたしは子供の頃から絶対美味しそうな、無難なモノしか選ばなかったなぁ~なんて。大事なのは何を選ぶかではなく、いかに純粋に子供心で楽しむか、ですね。
ジェリーベイビーはわざわざスイーツショップに行かずとも、スーパーで買えますので、もし見つけたらお試しを。ご想像よりきっと美味しいですよ♪