第167話 Mrs. Beeton’s Christmas pudding for children ミセスビートンの子供向けクリスマスプディング

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<Mrs. Beeton’s Christmas pudding for children ミセスビートンの子供向けクリスマスプディング>

前回に引き続き、ミセスビートンの家政書「Household management (1861)」 よりクリスマスのお菓子をご紹介します。今回はクリスマスプディング。
イギリスのクリスマスプディングの別名はプラムプディング。というのも、そのずっしりとした重さの大半を占める、レーズンやサルタナなどのドライフルーツ類のことを、まとめてプラムと呼んでいたため。~クリスマスプディングについては詳しくはこちらをご覧いただくとして~、
イギリスプディングを代表する伝統的なプディングですから、当然「Household management」にもいくつか「プラムプディング」と名の付くプディングが収められているのですが、それらとは別に、「クリマスプディング」と題されているものが二つあります。「Christmas plum pudding」と「A Plain Christmas Pudding for Children」。
前者は今の時代のものとそうかわらない王道のクリスマスプディング。レーズン1½パウンド、カランツとミックスピールそれぞれ½パウンド。パン粉とスエットそれぞれ¾パウンド。卵8個にブランデーグラス一杯を混ぜ合わせて、型に入れるか、布で包んで5~6時間茹でなさい~というもの。そして、食べる前に2時間温めなおし、ブランデーをかけて炎を灯し、ブランデーソースをかけて召し上がれ~という食べ方も今と一緒。

一方、面白いのは後者。「A Plain Christmas Pudding for Children(子供たち向けのプレーンなクリスマスプディング)」と名付けられているだけあって、実にシンプルと言おうか質素。

A PLAIN CHRISTMAS PUDDING FOR CHILDREN.
1327 INGREDIENTS.—1 lb. of flour, 1 lb. of bread crumbs, 3/4 lb. of stoned raisins, 3/4 lb. of currants, 3/4 lb. of suet, 3 or 4 eggs, milk, 2 oz. of candied peel, 1 teaspoonful of powdered allspice, 1/2 saltspoonful of salt.
Mode.—Let the suet be finely chopped, the raisins stoned, and the currants well washed, picked, and dried. Mix these with the other dry ingredients, and stir all well together; beat and strain the eggs to the pudding, stir these in, and add just sufficient milk to make it mix properly. Tie it up in a well-floured cloth, put it into boiling water, and boil for at least 5 hours. Serve with a sprig of holly placed in the middle of the pudding, and a little pounded sugar sprinkled over it.

子供たち向けなので、アルコール抜きなのは良いとして、まず材料をご覧ください。小麦粉とパン粉それぞれ1パウンドずつ、レーズンとカランツ、スエットが 各¾パウンドずつ。卵3~4個に、2オンスのピールの砂糖漬け。あとはお塩少々とオールスパイスが小さじ1入るだけです。(オンス=約28g/パウンド=約453g)
作り方も、これらの材料がまとまる程度に牛乳を加えて、布に包んで最低5時間茹でるだけ。真ん中にヒイラギを飾って、お砂糖をふりかけて供しましょう~なんて書いてありますが、いくらヒイラギを飾ったところで、味のシンプルさは想像がつくというもの。小麦粉が全く入らず、ドライフルーツたっぷりの前者に比べて、小麦粉とパン粉とスエットがメインでお砂糖すらも入っていないのですから。。

何はともあれ、作ってみます☆

巨大てるてる坊主のように布で包み、お鍋の中にドボンとつけて5時間茹でられたプディング。お湯から引き上げる時の重さときたら、まるで巨大なナマズを沼から掬い上げているよう。
ところで、プディングを布で包んでお湯につけたら中に水分が染み込まないの?と心配されそうですが、大丈夫。プディングクロスを一度濡らしてから堅く絞り、粉をしっかりふった上に生地をのせて包むため、ある程度シールドされ、プディングの表面が溶けだしたり、中までぐちょぐちょになることはありません。

さて、クロスの中から出てきたのは白っぽいプディング。クリスマスプディングというとつい、黒い物体を想像してしまうので、ちょっと違和感。
さて、気を取り直して、ホカホカの茹でたてをお皿に盛ってみます。昔だったらここで子供たちの歓声が聞こえたのかもしれませんが~
味の想像がつくためか、わたしの口から歓声はあがりません(笑)

さてお味見の結果です~、
う~ん、これは想像どおり スポテッドディック(ボイルドバージョン)そっくり。材料も作り方も似たようなものですから、当然と言えば当然。小麦粉とスエット、そしてドライフルーツのほんのりとした甘み、それだけ。実にシンプル、そしてどこまでもずっしり。
ヒイラギを飾ってあげれば多少クリスマス感はでますが、、、

 

それでもお世辞にもクリスマスにこれを食べたい!と思うプディングではないことは確か。ブランデーたっぷり大人バージョンのほうを食べられる年齢でほんとうに良かった!

では次回もヴィクトリア時代のクリスマスのお菓子をご紹介します。
美味しいお菓子でありますように☆

 

 

 

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About Author

yasuda mariko

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ http://galettes.exblog.jp/ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本 「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」を出版 2018年 12月 「イギリスお菓子百科」を出版

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