第34話 Easter treats~イースタートリーツ~

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okashi


<Easter treats イースタートリーツ>

毎年3月22日から4月25日の間にやって来るイースター。今年(2015年)は今週末4月5日(日)です。宗教色が薄れてきた昨今、大人たちが楽しみにしているのは4連休となるイースターホリデーと暗い冬からの脱却。そして子供たちが心待ちにしているのはそう、イースタートリーツ(イースターの甘いお菓子たち)。イースターにつきものの卵に鳥の巣、ひよこにウサギ、こひつじといったものをモチーフに、甘く魅力的なお菓子が街中にあふれ出すのですから思わず目がキラキラしてしまうのも仕方のないこと。その中でもダントツ人気がチョコレートエッグ。

カラフルな包み紙のチョコレートエッグはイースターの大定番☆

カラフルな包み紙のチョコレートエッグはイースターの大定番☆

卵は命のはじまり、復活のシンボル。ひよこが卵から出てくるようにイエス・キリストが蘇ったことを、あるいはキリスト教以前の土着の宗教の時代は冬の殻を破り出る新しい季節(春)の再来を象徴していたのだそうですが、子供たちにしてみればそんなことより自分の頭ほどもある大きなチョコレートエッグやカラフルな銀紙に包まれたあま~いチョコレートをいくつもらえるかのほうが重大事。本来は本物の卵をカラフルに色付けし探したエッグハント(卵を探す子供たちの遊び)も、今ではチョコレートエッグのほうが子供たちには受けが良いようです。

キャドバリーのクリームエッグと 卵白で作るメレンゲネスト☆

キャドバリーのクリームエッグと メレンゲネスト☆

けれど、チョコレートエッグが好きなのは本当に子供たちだけなのでしょうか、、、否。根っから甘い物好きのイギリス人、大人になってもチョコレートエッグが好きなのは変わるはずもなく~イースターシーズンにだけ発売されるキャドバリーの「クリームエッグ」を楽しみにしている大人たちが相当数存在します。デイリーミルク(キャドバリーを代表するチョコレート)でできた卵の殻を割ると中には白身と黄身を模したとろ~りとろけるフォンダンが入っているこのクリームエッグ。首の後ろがムズムズするくらいの甘さですがこれが毎年かわらずの人気。Cadburyが最初のイースターチョコレートエッグを発売したのは1875年、そして1893年にはすでに19種ものバラエティーがあったそうですから、昔からチョコレートエッグの人気の程がうかがえますね。ただし今と同じ姿のクリームエッグが登場したのは1971年のこと。それから40数年クリームエッグは不動の人気を保ち続け1月からイースターまでの数ヶ月だけで毎年イギリス国内で2億個!も売れているというのだから驚きです。それがすわ一大事!(一部の人にとっては)。今年からレシピが変更され、デイリーミルクではなくもっとカカオ分の少ないチョコレートへと言わばコストダウンされたのです。巷は一時このニュースでもちきりとなりました☆とはいえ大騒ぎしたのは大人だけ。子供たちは「これも美味しいよ~」と涼しい顔。本当にチョコレートが好きなのは子供たちではなく大人たちのようです(笑)キャドバリー調べによるクリームエッグの食べ方としてこんな面白い報告もありますよ。53%の人たちはクリームエッグを食べる際、まず上部をちょっとかじってから中身をすっかりなめ、それから残りの殻を食べるのだそう。ぱくっと一口でいく派は20%、6%の人は指でフィリングをすくって食べるのだとか、、そして残りの21%はミステリー。。。

これなら子供たちでも簡単☆

これなら子供たちでも簡単☆

クリームエッグに限らず、チョコレートエッグ(卵の形のチョコレート)は大小さまざま売り出されるのですが、この小さな卵を使って子供たちが手作りするのが「チョコレートエッグネスト」または「イースターネスト」。溶かしたチョコレートとシリアルを混ぜあわせ、鳥の巣(ネスト)のように紙のマフィンケースに入れるだけ。あとは卵型のチョコレートを飾り固まるのを待つだけです。オーブンも使わずとっても簡単かつ可愛らしいのでイースターシーズンの大定番スイーツです。このエッグネストをメレンゲで作ったのが「メレンゲネスト」。固く立てたメレンゲを鳥の巣の形に絞り出し、しっかり乾燥焼きさせたもの。やはりイースターシーズンは飾りにチョコレートエッグを使って可愛らしく仕上げます。

チョコレート尽くしのエッグネストは子供たちの大好きな味☆

チョコレート尽くしのエッグネストは子供たちの大好きな味☆

シムネルケーキやホットクロスバンズといった伝統的なイースタートリーツはもちろんですが、こういったより身近な現代版イースタートリーツも100年後にはきっとトラディッショナルなお菓子と言われているはず。もし1月からイースターの間にイギリスに行く機会があったら、是非スーパーのチョコレート売り場を覗いて見てください。山のように積まれたチョコレートに長く暗い冬の出口を意味するイースターへの想いと、イギリス人のチョコレート好きを実感できるはず。等身大の今のイギリスの暮らしがそこにあります^^

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About Author

宮城県仙台市出身☆ 2008~2012年イギリスにてイギリス文化&イギリス菓子を大吸収するかたわら、日本で主催していたお菓子教室をつづけていたところ、あぶそる~とロンドンの編集長に出会う。 現在の居は巡りめぐって宇都宮。イギリス菓子教室 'Galettes and Biscuits' にてイギリス菓子の美味しさ&魅力を静かに発信中☆ 2018年2月 美味しいイギリス菓子をぎゅ~っと詰め込んだレシピ本「BRITISH HOME BAKING おうちでつくるイギリス菓子」、2018年 12月 「イギリスお菓子百科」。2020年12月「ジンジャーブレッド 英国伝統のレシピとヒストリー」、2021年9月「British Savoury Baking 古くて新しいイギリスのセイボリーベイキング」 を出版。インスタグラム@galettes_and_biscuits

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