パクリ? 偶然似ただけ? カプーアの豆と中国の油泡

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ミニマリズム彫刻で知られるインド系英国人アーティスト、アニッシュ・カプーア。先日、ベルサイユ宮殿の前庭に展示された彫刻「ダーティ・コーナー」が物議を醸し、(不快に思った)何者かによって黄色い塗料がかけられた件を、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。そのカプーアが、今度は、中国のカラマイ市にできた彫刻は自分の作品のパクリだとして、法的措置を講じるというニュース、お聞きになりましたか?

水銀に着想をえたカプーアが、シカゴのミレニアム公園のために2006年に制作したステンレス製の巨大彫刻「クラウド・ゲイト」は、「ビーン」(豆)の通称で親しまれ、人気観光スポットになっているそう。一方、カラマイ市で、中国人アーティスト(名前は未公表)が一般公開の準備を進めているのは、「油の泡」。こちらの巨大彫刻は、空ではなくて地面を映し、前者とは似て非なるもの。とはいえ、見たとこよく似てますなあ。

これも、アートでも建築でも世界の名品を真似せずにはおれない、中国人お得意のパクリ? カプーアはかつて、中国政府に旅券を没収されていたアイ・ウェイウェイを支援するために、中国での展覧会の申し出を断ったほどです。著作権を軽視する中国の文化を痛烈に批判し、「これは露骨な剽窃」と大憤慨。何しろ、エッフェル塔どころかル・コルビュジエのチャペルまでそっくりさんが立ち並ぶ中国でのことですから、さもありな~ん。

しかし、カラマイ市観光協会側の説明どおり、これを制作したアーティストはカプーアの作品をまったく知らず、ただの偶然の一致だとしたら、とんだ濡れ衣です。と思ってみたものの、北京冬季オリンピックの招致ソングが「アナ雪」の主題歌にそっくりだったことをみても、やっぱりパクリ? でも、幸か不幸か現代は、インターネットによってあらゆるイメージが目に飛びこむ時代ですから、無意識のうちにパクっていた可能性も?

じつは、世界的な「剽窃問題」は、現在、日本も抱えています。そう、東京オリンピックの例のエンブレム。「盗まれた」とするベルギーのデザイナーは提訴し、色使いが同じだったスペインのデザイン事務所は、「ま、いいんでない?」と大人な反応。エンブレムの作者は「まったく知らない」と否定も、や、よく似てるんです。日本人として、ザハ・ハディードによる国立競技場のデザイン撤回だけでも恥ずかしいのに、こういうのダサすぎ~。

が、ちょっと待てよ、とわたしは考えたのです(笑)。ベルギーのデザイナーによるロゴスペインのデザイナーによるロゴも、意匠はおたがい似てますよね? こっちはノープローブレム? つまり、デザインや配色の元となるネタを、デザイナーたちはみんな無意識のうちに、いつかどこかで見たのではないか、そんな気がしております。この世の中は、先に商標登録したもん勝ち! けど、芸術作品となると、問題の質が少々異なるか…。

ちなみに、著作権問題にいち早く取り組んだのが、18世紀の英国の画家、ホガースだそう(シラナンダ!)。もうひとつ余談ながら、今回のエンブレムをつくったデザイナーの事務所では、最近、スタッフによる残念な盗作が発覚。こちらは、「そういえば見たことあったかも」と言い訳できるレベルではありませんでした。デザインを含めて、コピペが当り前の時代に生きるわたしたち。中国人にかぎらずモラルが崩壊してる! 襟を正さねば。

p.s.

英国ライフの専門誌 mr partner の最新号で、『ヴェネツィアのチャイナローズ』をご紹介いただきました(ありがとうございます!)。風光明媚なイタリアの村やいにしえのパリにある薔薇園に思いを馳せることのできる、やほんとうに素敵なお話なんです。ぜひ、読んでいただきたい一冊……oneline 書店で、(日本にお住いの方は)書店か図書館で!

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serendipity blog も、どうぞよろしく…

 

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About Author

つつみけいこ

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して6年目に。

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