英国アート界の重鎮セロータ卿がテイト館長退任!のわけ

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芸術の秋到来。この時期にふさわしい記事が目につきました。いや、こういう話題が、ここここなどの英国内のメディアはもとより、ニューヨークタイムズ紙など海外メディアがとりあげるなんて、日本では考えられないので思わず嫉妬してしまいます。で、そのニュース。おわかりのように、パワーのある美術機関として世界に名を轟かせているテイト(ギャラリー)の館長、ニコラス・セロータ卿が、ついに退任するのです!

約30年も君臨(失礼、貢献ですね)したテイト界での生活に終止符を打つわけで、潮時なのかも。ところが、70歳のセロータ卿の退任は、盆栽いじりの引退生活にふと憧れて、などとという話ではありません。イングランドの芸術振興機構「アーツカウンシル」のトップとして、栄えあるポストと活動の場が、ちゃんと用意されたうえでのご退任。日本の天下り団体でよく見るような、名ばかりトップになるわけではないのは明らか?

国立の地味な美術館を拡張し、内覧会にはセレブも大勢集まるきらびやかで楽しい場所に変貌させ、それまでアートに興味のなかった国内外の一般ピープルに、アートを身近なものにしたセロータ卿の功績はそれにしてもグレート。英国では、テイトが開催する斬新または奇抜な現代アート展が話題になるたび、多くのタブロイド紙でも彼の写真を載せてきたので、たとえお名前は記憶になくとも、お顔を見ればわかるほどの存在です。

そこで来年、セロータ卿の去ったあとの館長の座にはいったいだれがつくのか、英メディアは興味津々のよう。ガーディアン紙などは有力な候補者6人を挙げています(わたしがロンドンで「アート女子」だったころに会った2人が含まれてます:やり手のイウォナ・ブランズウィック氏は、座をめがけてすでにスタートを切ったような気がし、万年お坊ちゃまティム・マーロウ氏は、そこに近寄るまでに気の強い女たちに押しのけられそう)。

ともかく、イングランドのアーツカウンシルは、伝統芸術・芸能の継承を目的としている日本の芸術文化振興会とは異なり、もっと間口が広く敷居の低い、市民レベルでの文化事業を援助しているので、セロータ卿の活躍が楽しみでもあります。ただ厭味をいうのをお許しいただけるなら、テイトの組織表からもわかるように、エリートたちに牛耳られている英国アート界の体質は、今も昔もそしてこれからも、やっぱり変わらないのか~。

 

P.S.  わたくしごと(仕事ではない)のデューティと連日の猛暑に耐え、そしてオリンピック(主にテニスだけど)と全米オープンが相次いで開催されたため、あぶLON をしばらくご無沙汰してしまいましたこと、おわびもうしあげます。つねに面白いトピックにブックマークをつけつつ、いざ記事を書こうというころには賞味期限切れになってしまい、なかなか更新できずじまいでした。アンディに勝った錦織選手のニューヨークの夏も終わり、ようやくわたしの(猛暑の)大阪の夏も去ったので、復帰させていただきます!

P.P.S.  写真(↓)は、Fournier Street のシンボル的な存在だったThe Market Café。同じ通りに住むアーティストのGilbert & George が、かつては毎朝ご飯を食べにかよった場所です。Tate Modern ができて現代アートがぐっとポピュラーになった2000年に、ロンドン東部開発ブームの波に抵抗できずに閉店。この写真を撮ったあと、お散歩中のGilbert & George に会いました。

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About Author

つつみけいこ

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して6年目に。

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