友達が教えてくれること

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cafevisit


以前ホランドパークに住んでいた時
Kensington High Streetにある
アメリカ系健康志向の巨大なスーパーマーケット
「Whole Foods」に週一ぐらいの割合で買い出しに行っていた

そして、その時のちょっとしたお楽しみは
スーパーマーケットの裏手にあるカフェに寄って
ぼ~と、すること

その裏手の小径には、カフェの他に
私のお気に入りの画廊やジュエリーショップ、美しい工芸タイル屋さん
それに乗馬ショップなどが何気なくあって
上品でヴィレッジな雰囲気のこの界隈を、よく散歩した

何よりこのカフェ、落ち着くのです
インテリア?

それは、【おばあちゃんのお家】

だから、シックでモダンなんてことではないけれど
この古っぽさが、妙に落ち着くのです

店内は、薄暗く 本を読んだり絵を描いたりするのには
ちょっと向いていない、だけど静かに 流れるクラシック音楽を
聴きながら、カフェと美味しい焼きたてのクロワッサンで
ただぼーっとするのにはピッタリ

その他にもう一つ
このカフェは私の大好きな友人との待ち合わせの場所でもあるのです

二人の家の、 丁度真ん中ぐらいの位置にカフェがあったので
「じゃ、いつものカフェに3:00にね」
なんて言う風に、私達は時々そこで待ち合わせをしていたのです

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【チカちゃん】

彼女と私の出会いは、ヒースロー空港

私が、ベルリンへ留学する長男を見送りに行った時
彼女も、友人を見送りに 空港に来ていた

見送った後
帰ろうと 地下鉄の駅に行くと運行停止
バスと途中駅からの地下鉄を乗り継ぎながら
市内へ戻らなければならなかった

「え~  いやだな~、面倒だなー」と、心の中で叫んでいた時
話しかけてくれたのが、チカちゃんだった
そして「では、市内に一緒に帰りましょうか」
と、ロンドン市内までご一緒することになったのが二人の友情の始まり

私達は数分前に、初めて会ったにもかかわらず 帰りの車中
ずっとずっとずっと話をした
ほんとうに、途切れることなくずっと…

「まあ、面白い人! それに家も近いし」
「では、また会いましょう」
と、なんとも気が合っ私達は連絡先を交換して別れた

私は、偶然、パーティーやカフェやお店や道で出会って
意気投合して、連絡を取り合うようになることが意外と多いのだけど
そこから本当に友達と、呼べる関係になる確率は低い

チカちゃんは、そういう意味でちょっと特別、そしてもう一つ
チカちゃんは、私の友人の中で、ちょっと異質だったのだ
何が異質かというと…

「私は家庭の主婦です!」

と、言い切るところ

「私は夫の行くところについて行くのが私の仕事だと思っているから
どこにでも付いて行くの、そして夫を支える」とチカちゃんは言い
今まで、アメリカやイギリスで家族をしっかりと支えてきていた

家事を完璧にこなすチカちゃんのお料理はプロ級の腕前
そして、フラットはいつ訪ねても
キチンとしていて、ホテルのように、美しい!

その上 夫が稼ぐお金の管理だけでなく、それをちゃんと投資活用して
お金を増やしている

「私、ちょっと稼ぐOLよりは、ちゃんと稼いでいるの」
と、こっそり教えてくれた

チカちゃんは本当に、スーパー主婦なのだ!

そうそう、チカちゃんにもう一つ教えてもらった事は、家事の秘訣の一つ
それは「光るところは、磨くこと」

これをするだけでも
蛇口やシャワーなど、とにかくピカピカで気持ち良くなって気分が違う
掃除嫌いの私も、チカちゃんのその掟だけは守るようにしている

そんなチカちゃんを見ていると私はウズウズしてしまう
というのは、友人の中に何か 才能を見出すと
それを使って仕事をさせたくなってしまう!
という、へんな癖が私にはあるから…

今は、自分の積極的な気持ちがありさえすれば
世界に向けて自分から発信できるツールが色々あるし
そして、それを続けていれば、仕事につながる可能性も大いにある

だから、私は

「チカちゃん、お料理のレッスンをしたりレシピブックを書いたり
家事の掟シリーズブックを書いたらいいのに」

と、美味しいお料理を ご馳走になった時
ついつい、言ってしまうのです
でも、チカちゃんはそんなことに、興味がない

「あ〜あ、チカちゃんもったいないなー」

と、思ってしまう私は実はもう一つ
違うことも心の中で 思っている

それは

「チカちゃんかっこイイ~!」

このチカちゃんの揺るぎないブレない生き方
それがとても、清くて素敵で、私は憧れる
チカちゃんと話していると、時々ドキッとする

例えば…

「私、日本のドラマ観て午後過ごしているの」とか…
「朝早いし、眠くなるから、昼寝するわよ!」とか…

そんな事を聞く度に私の心には
グサッと矢が刺さってしまうのです…

チカちゃんは、やるべき仕事を済ませた後は
好きなことをして過ごすことが出来るのだ!

私は それがどうしても出来ず
ダラダラと仕事をしてしまう
でも、そんな時
大体は仕事をしているつもりになっているだけ

貧乏性の私は、メリハリつけて、キッパリと休憩を取る事が出来ない
そして、ズルズルと捗らない仕事を引きずって1日を過ごしてしまう

たまに思い切って休むことが出来た後に仕事に戻って
それが上手くはかどったりすると
「あー、やっぱり気分転換は思い切ってしなきゃ」と、思うのだけれど
次の時、またいつものように
上手く出来ない、はかどらない仕事に
ダラダラとしがみついてしまうのだ

何も思い浮かばない時には、思い切って止める
ものすごく眠い時は、少し横になってお昼寝をする

この2つは私がどうしても思い切って、気持ちよく出来ないことだから
チカちゃんの《イイ加減》に力を抜いている
いさぎよいライフスタイルを見る度に

「 そうだった!」と、思いしらされるのです

そうそう、チカちゃんには
夫と子供以外にもう一つの大きな存在があるのでした
それは、お婆ちゃんで病気を持っていて 何度も死にそうになった
小さな犬、メロディー

チカちゃんがそばに居ないと、パニックを起こしてしまい、それが原因で
死んでしまうことだってある
だから、チカちゃんは日本に一時帰国も出来ないし
お留守番の人がいなければ、ウィークエンド旅行にも行かれないし
1人で気ままにロンドンの街を散策することもままならない

それでもアクアビックスレッスンには参加したいし
ジムにも行きたいから、その時だけは
ササっと抜け出して、アパートメントの下にあるプールやジムへ行き
思いっきりガンガンと体を動かして気分転換するのだそう

頻繁に旅行をして、年2、3回も帰国して
夫の居ない半月を呑気に気ままに一人暮らしを楽しんでいる私には
考えられないことだけど

チカちゃんは文句なんて言わない!
そして自分が外には出られないけれど、来てくれたら嬉しい、と言って
友人達を自宅に招いて、ティーパーティー/ディナーパーティーをよくする

テキパキと作ったご馳走を 豪快に食し、豪快に飲んで 酔っ払って、
ケラケラと笑っているチカちゃんを見ていると
幸せの粉が部屋中に舞っているのを感じる

どんなことをしていても
自分の信念を曲げない人、というのは見ていて気持ちがいいし
とにかくカッコいいと思う
そして、今与えられている現実を、こころから楽しむ姿勢

彼女のキッパリとしていて、イイ加減に力を抜いている生き方と
辛い事は、ジョークと美味しいお食事とお酒で乗り切って
今日のこの日を、この時間を、思いっきり楽しむ!

豪快でメチャクチャ明るいそんなチカちゃんに乾杯〜!!!!

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【きょうのヒント】
今回のヒントは、もう書いちゃったので、なし
何気無い ケンジントンらしさを感じるローカル御用達カフェ
是非、ぼーっとしに行って!

フレンチ系 カフェで、スタッフはフランス人
みんなとても感じよくてフレンドリー

引越しで、あのカフェから遠く離れてしまったことは、ちょっと残念…
と言うぐらい、私のお気に入りの一軒!

【前回のこたえ】
The Elk in the Woods
37-39 Camden Passage, London N1 8EA
opening times: 9:00 – 23:00 everyday

 

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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