マイカフェ:ウォーリック編

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cafevisit


先日ちょっと用事があって、家族と一緒にある田舎町へ行ってきた

午後4時頃
「せっかくだからクリームティーを頂きましょうよ!」ということになり
私達はカフェ、というか伝統的な田舎のティールームを探すことに...

ということで、今回もロンドンではない、番外編カフェビジット

その場所はWarwickでございます!

ストラトフォードから14km、コベントリーとの間にあるウォーリックは
ロンドンから電車で一時間半ぐらいの距離
地図で見ると、そこはイギリス南部半分の本当にど真ん中に位置している

そこは、オックスフォードのもう少し先にあり
ロンドンからそれほど離れていない美しい地方の一つ

そして、規模、費用、歴史的・社会的地位に関して
ウィンザー城とよく比較されるウォーリック城もあるので
観光地としても、有名な所です

*Warwick Castle
951年にアルフレッド大王の娘エセルフリーダが築いた砦に始まった
イングランドで最も気品の高い中世の城といわれている。
14世紀に建てられたこの城の内部は、大広間をはじめ、ほとんどが一般に公開されている
豪華な広間にはルーベンスやバンダイクの名画、甲冑や刀剣のコレクションがある
又、古城に付き物?中世の恐怖を思い起こさせる
拷問の道具が展示された牢獄や拷問室も見学できる。

その美しいWarwick城の近くには、中世の面影を残すオールドタウンがある
人通りの少ない日にこの辺りを散歩したら
絶対にタイムスリップしてしまいそうな町並みで
そこには英国の、豊な地方にある田舎町独特の雰囲気が漂っている

そういう町には、必ずと言って良いほどアンティックショップや
高級なデリやお肉屋さん、オシャレなブティック
美味しそうな物が並ぶマーケットプレイス
いい感じのパブとティールームがある

だから「Warwickで絶対にいい感じのティールームを探そう!」と

カフェ勘を効かせながら、私は私の為に、家族のために
そして、この原稿を書く為に
意気込んでティールーム探索を開始したのであります

すると、まあ、どうでしょう

やっぱり!案の定!
あっという間に、簡単にそれは見つかってしまいました!

なんだか、こんなに簡単に見つかっちゃうのも、気が抜けちゃうなーと
思いながらティールームの中を覗いたら、いい感じです
早速中に入ると...

残念~!満席でした

あー、こうなると、逃した魚は大きく見えてきて
なんだか、がっくりしてしまいました

「だけど…でも…、きっともっとあるはず!」と、気を取り直して
ぐるぐるとオールドタウンを歩きました

ちょっと良い感じじゃない?と思うと
レストランだったり、パブだったり、ホテルだったり...

そのうち、マーケットプレイスに出てしまいました
色々なお店がならび、大盛況です
中でもパンケーキ屋さんには、長蛇の列

パンケーキには、どうも負けてしまう私だけど
今回はぐっとがまんして、ティールームハンティングを
続行することにしました
だけど、とてもとても美味しそうだったパンケーキ
食べたくなりました

さて、パンケーキが出てきてしまったら
私の頭の中はグルグルしてしまいます

なので、ここでちょっと話をずらしてしまいましょう...

*パンケーキ
と言えば、子供の時に大好きだった
ちびくろサンボの絵本を思い出す

あの絵本は、私の頭のどこか、隅の奥深い所に
ガチッと引っかかって外れなくなっているのだと思う

そして、ふわーっと浮き上がってくる感じで
今でも時々私を刺激する

虎がぐるぐる回ってとけてバターになってしまう
あのバカバカしいびっくり仰天なストーリー展開に
子供だった私は、大喜びし
何度も何度も絵本を読み返し
その度に、母にパンケーキをねだりました

ナンセンスですごく強烈
唐突で、意味があるようでないような
普通な様で、普通じゃなかったり
魔法のようで、魔法じゃなくて
なんだか訳が分からなくて、とてもへん...

このような世界感
こんな風な物の考え方、創り方に

大きくなった私は惹かれます
これは、私の憧れの世界、私の目指す世界です

パンケーキというと、食べたい!と思うと同時に
あの絵本を想い出し

私もそんな世界を創ってみたいと
刺激されてしまうのです

 

さて、ずれた話を戻しましょう

人で溢れているマーケットプレイスの裏に回って路地を歩くと
変な物が目につきました

【←と1571と白抜きで書いてある黒いティーポット】
こんなマークを見つけたのです

「ティールームにはめられるな」とは思ったけれど
そのマークをフォローすることにしました

教会の中庭のような所を抜け
中世の路地裏を歩くとそれはありました

th_2015-11-05_Warwick_ティールームらしくない古いふるい黒いドアをギーッと開けると

そこにはビームがむき出しになっている
低い天井と、漆喰の壁のティールームがありました

「あー、イイ雰囲気じゃない」
「やっぱりあったわね!見つけたね!」
「こんな所、探していたんだ!良かったー 見つかって!!!」

なんて、キャッキャ言いながら
いつものように、全体がなるべく見えやすい席に座り
クリームティー(紅茶と、スコーンセット)を頼みました

早速じっくりと部屋全体を観ながら、スケッチ開始

この時、何か第一印象とちょっと違うものを、私は感じました

「うーん、なんか中途半端?」

白い漆喰の壁には
この建物にピッタリのものも飾られているのだけれど...

どうしてなのかな?
ちょっとあんちょこ過ぎる感じの物が置かれていたのです

そこが気になると、もうダメだー

「どうしてあそこに、あれを置くのだろうか???」

気になってしょうがない…

「建物ののオリジナルな部分、壁やビーム、窓やドアなどのパーツは
この建物が建った1571年から変わらず使われているのだと思われる
とにかくここは、とても古くて、味がある素晴らしい家なのだ」

「でも、あの絵の飾り方や、その額縁なんかがね、ちょっと気になるな...」

こんな事を、いつものように勝手に思いながら
お茶とスコーンを頂きながら私は絵を描きました

スケッチを描き終わって、スコーンも食べて紅茶も飲んで
トイレにも行って、お店を出る時、支払いの時
ちょっと驚いたことが幾つかあって…

それがまたこのお店の第2、第3印象を変えてしまいました

せっかくお店の紹介をするのだから
いい感じのお店を見つけて、いい感じに書きたい
と思っているのだけれど

このお店に対して
私は、ちょっと一言いいたくなってしまったのであります

「せっかく、16世紀からの建物の中でティールームを営業出来るチャンスを得たのに…、
こんなちょっとしたことを、ケチるのはもったいないんじゃない?!
そんなことで、良かった印象を変えさせてしまうなんて!
ぜったいに、もったいないでしょうー!!!」

この古い古いティールームに入った時から
私の期待値が普通以上に高くなっていたのかな??

うん、もしかしたらそれはあるかもしれない
だって、こんな建物のティールームあまりないから!
期待して、当然!と言ったって良いでしょう!?

「あの絵がちょっと合わないな」とか
「あの飾りはしない方が良いのに」
ぐらいのことは、べつに、どうって事ではありません
そんなことは、なんでもなくて、前にも書いた事があるけれど
「きっと、オーナーの趣味だから、しょうがないのだろうな」で
済んでしまう事

だけど、ミルクのかわりに頼んだ少量の豆乳に値段が付いていたり
(こんなことは、初めてのこと)
トイレが、とても汚かったりすると、建物が素晴らしい分だけ
ガッカリする気持ちが大きくなってしまったのかもしれません

建物があれだけ素晴らしく
それだけで私なんて嬉しくなってしまうのだから
あと、もうちょっぴりだけでも気を使ってみたら…

どんなに素敵なティールームになることか!

「あー、もったいない、もったいない」
と私は帰りの電車の中で、何度かつぶやき
そして今これを書きながら、また思い返しているのです

色々なカフェやティールームに行って、よーく観察して絵を描いていると
見所、チェックポイントが判ってくるから
私のチェックも少し厳しくなってしまうのかもしれない…

とは言ってもね~
なんたって、島田カオルなんだから

そのチェックポイントの基準は、そんなに高くない

満たして欲しい島田カオルの基準は
お店の雰囲気がなんとなく良くて、普通に美味しくて
お店を出た後、なんだか楽しくなっているっ、てこと!

(それと、トイレが清潔なこと)

そんなに、レベルは高くないはず

だから、最低のそれが出来ないようなティールームには
ちょっとガッカリしてしまうのです

だけど、私がガッカリしたところで

今回のお店みたいに、建物がそれだけで価値あるもので
観光客相手だったら、ちょっと手を抜いたって
きっとビジネスは問題なく成り立っているのでしょう

「だけど、やっぱり、もうちょっと気を使ってくれたら
あのお店、素晴らしいティールームになるのに...」

と、また思い

「あー、もったいないもったいない...」

と、ずっと考え続けている私

何か気になる事があると
こんなふうに、いつまでも頭の片隅に引っかかってしまう
へんな癖があるのです

パンケーキとちびクロサンボが、何十年も頭に引っかかっているのは
イイ刺激になり、私にとって良い事なんだけれど
このお店のことは
私には、全く関係ないことだし
私がいくら考えても、変わる問題でもないし…

無駄なことに
私の少なくて貴重な脳みそと時間を使いたくない!

そうです!
早く忘れてしまいましょう~

でもね…  σ^_^;

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【きょうのヒント】
ここは、多分簡単に見つかるはず
ウォーリック城の近く、オールドタウンをぐるぐる歩いていたら
きっと、あのマークが目につくでしょう

このティールームでは
色々と考えさせられ、面白い経験をしたと思う
貴方が行ったらどうおもうのか…?
Warwickに行く事があったら、是非行ってみて
とにかく、建物は、中世そのもの、素晴らしいから見る価値あり!

そうそう、それと、大事なことを忘れていた!
スコーンとお茶は、美味しく頂きました (^_^)v

【前回のこたえ】
Troubadour
263-267 Old Brompton Road, London SW5 9JA
opening hours: 9:00 – 00:00 everyday

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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