空想の世界、そのもの

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cafevisit


クリスマスが近づいてくると、私はピカデリー界隈を散歩したくなってしまいます
それは、子供の時に憧れていた

私の頭の中に存在していた外国と
イメージと重なるから

それは、とてもゴージャスで、洗練されていて、大人っぽくて…

子供の私には絶対に手の届かない世界だったのです

街がイルミネーションで飾られ
お店のウィンドーがクリスマデコレーションになった
華麗なピカデリー界隈を歩いていると
そんな私の遠いい昔の記憶を想い出します

そして「これが私の原点なのかな?」
と、そんな風に思う世界に
浸ることができるのです

憧れや、夢に惹かれて、私達は生きているでしょ?
それが、生きる力になっていない?

私は、多分子供の時から、そんな風に生きてきたのだと思っています

子供の時には、色々な夢があって、それらの夢は歳を追うごとに
変化したり消えてしまったものも、沢山ありました

だけど幼年期から持ち続けて
それを手に入れるために
未だに追い求めているものもあるのです

思えば、この夢の世界を求める気持ちがずっと私の
生きる力になっていると、思います

そして、ピカデリー界隈を歩いていると、そんな夢の原点を
想い出させてくれるのです

 

さて、クリスマス、というキーワードで私の記憶を検索すると
今までの長い人生の中から様々な想い出が出てきます

それらの一番最初に出てくる記憶はなんだと思いますか?

それは、私が、多分8歳ぐらいの時、姉と一緒に楽しみに観ていた
1960年代にアメリカで大人気だった番組
アンディーウィリアムズショウです

この中で放映された、ホワイトクリスマス編の映像の一部が
クリスマスの時期になると、はっきりと
今でも私の頭の片隅に映し出されます

その映像は、雪の降っている様子をアンディーウィリアムズが
ホワイトクリスマスを歌いながら窓から覗く場面です

子供が寝た後の大人の時間です、深夜のことでしょう
窓の外は静かで暗く、ただ雪がこんこんと降っています

こんなアンディーウィリアムズショウを見ているうちに
小さな私は「外国」「大人の世界」をキーワードに

このピカデリー界隈に漂うような雰囲気の世界を
私の空想の世界の中に広げていたのだと思います

 

それからずっと時間が流れ、ロンドンに暮らすようになって

ある日、クリスマスの時期にピカデリー界隈を歩いた私の前に
突然ふっと8歳の頃の記憶が出てきたのです

そう、あのアンディーウィリアムズショウの
ホワイトクリスマスの世界が、ここにあったのです

ここに、小さな頃に思い描いていた、外国の世界があったのです

「あー、ここだったんだ…」

私の創った空想の世界が
このピカデリー界隈と重なったのです

〈クリスマス前の雪が降りそうなピリピリと寒い時期
皆んなが急いで家路に向かい出す、もう真っ暗な夕方の時間〉

この時この二つの世界は重なりました

今年は、色々用事が重なり、忙しく
また、11月とは思えない暖かさだったこともあり

街の中が
イルミネーションで溢れている時期だとということが
頭からすっかり抜けていました

だから、先日用事があってピカデリー界隈へ行った時
私は「わぁ~いいなー」と心の中で叫び続けてしまいました

街は、もうすっかりクリスマスだったのです

貴方には、涙が出てくるような
とてもとても懐かしくて、幸福な子供時代の記憶が

ふっと心に浮かぶことがありますか?

クリスマス時期のピカデリー界隈を散歩すると
「そうだ、これが私の憧れの世界だったんだ」という思い出と一緒に

「お姉ちゃま、アメリカっていいね」
なんて言いながら

14歳だった姉と一緒にコタツの中に足を入れながら
アンディーウィリアムズショウを見入っている
8歳だった私の、当時の想いが、戻ってきます

私にとって、ピカデリー界隈は特別な場所です

それは

遠いい記憶の中にある空想の世界と現実が
重なり合うところだから

th_Wolseley

そして、そのピカデリーにあって、私の空想の世界の中にも
存在していたカフェが、ここです

初めて来た時のことは、忘れられません

カフェに一歩入った途端に
記憶の中にある、あの空想の世界へ
飛び込んでしまったのです

このカフェの洗練されている大人の空間は、それは素敵で
小さな私が想像していた世界と同じでした

 

大人になって、子供の頃に触れていたものを見ると

「あれ?こんなに小さかったかしら?」と、思うことがよくあるでしょ?

それと同じで、とても憧れていたものも、手にしてしまうと

「なんだ、こんなことだったのね…」

と、拍子抜けすることがあります

けれど

ピカデリー界隈も、そしてこのカフェも
そうではありませんでした

それは、ゴージャスで洗練されている、大人の世界
小さかった子供の私には、とても手が届かなかった世界

そこは空想の世界、そのものだったのです!

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【きょうのヒント】
今回のヒント、これもあまりにも簡単すぎるから
なし!でも、全然無しだと、ひどすぎるので、では一つ

ピカデリー通り、とだけ…

【前回のこたえ】
Louis
32 Heath Street, London NW3 6TE
9:00 – 18:00 everyday

 

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

2件のコメント

  1. 島田カオル

    マミちゃん!

    コメントどうもありがとう!
    パパとママと子どもだったお姉ちゃまと私
    あの頃のことを時々想い出すんだ
    特に、夏休みと春休みの伊豆やクリスマスや、お正月のこと
    純粋に楽しい毎日だったあの頃の事を
    もう二度と戻ってこない日々なんだな、って思うと
    本当に、涙が出てくるような懐かしさに包まれて
    センチメンタルになる

    楽しい子ども時代の想い出が沢山あるよね!
    これは、とても幸せなことだね!!!

    お正月に会うの楽しみにしている!
    カオル

  2. かおちゃん、文章上手になったね。さすが絵本作家と感心しながら読みました。私も昔々の思い出あこがれのアメリカ思い出しました。冬でも半袖の素敵なワンピースを着てアイスクリームを食べるなんて。想像できなかった。クリスマスは本当にホワイトクリスマスで暖炉に靴下が下がっていて煙突からサンタさんが下りてくる。何てメルヘンティックなんでしょう。本当に今もビーンクロスビーのホワイトクリスマスは感動ものです。素敵な思い出を有り難う。

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