ルビーとDr.フラゴンの逢い引き

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cafevisit


天気の良い土曜日の午後、前から気になっていたカフェに入った
でも、裏側から

表通りに面しているカフェは
花とケーキで溢れて混雑しているチャーミングcafé、女の子向き

裏側の空いているカフェバー?  じゃあそっちは誰向き???

th_Cafe Royalとっても感じの良いウェイトレスの女の子が
注文を取りにきてくれたときに
「外は気持ちよく晴れていて、今日は最高ね!」
と言うと
「ここに居ると外の様子が全然わからなくて…
仕事が終わって外に出ると、もう暗いし…
でも、これからは日が長くなるから、仕事後外に出るのが楽しみだわっ!
私、シドニーから来ているから、太陽が必要なの!」

こんな会話をしながら、私はティーとお勧めのレモンケーキを注文した

早速スケッチブックを出して、広くてあまり人の居ないカフェを描き始めた

表の華やかなチャーミングカフェと違って
ここは、なんでしょうか?

穴の中で大きく広がっている裏側の世界
ウッカリ入り込んでしまった影のカフェという感じ?
吹き抜けの天井は高く、花の飾り方も、ちょっと独特
でもって妙に落ち着く…

スケッチを始めた時、回転ドアから入って来た女性
大きなサングラスをかけた金髪の女性に目が行った

「あれ?誰だっけ?あの人、見た事がある…」

 

と、思った瞬間に、我が目を疑った!って、こういう時に言うの????

 

あれは、まさしく我がキャラクターズの1人
ツンツンすましたルビーちゃん!

私の幻想の世界だけで
活きイキと生きているはず、のルビーちゃんではございませんか!

 

ええーーーーー????

ビックリして、思わず立ち上がり
ルビーのところへ駆け寄ろうとした、その時

今度はそこに
サングラスに黒い服の、2メートル以上ある長身の男性が登場!

ええええええええーーーーーーーーー!!!!!!

あれ、エジンバラにいるはずの私のお気に入りのキャラクター
元天使のDr.フラゴンじゃない!!!!!

フラゴンはルビーちゃんの横に座わると
2人はニッコリして話し始めたのです

さっきのシドニーから来たという、ウェイトレスの女の子が
2人に注文を取りに行きました

かれらは、サングラスも外さず
ウェイトレスの女の子の顔も見ずに注文し

そして、ウェイトレスの女の子がテーブルから離れると
2人は、顔を近づけなんと、キスをしたのです!

 

うっそー、ルビーちゃんは
「あいつ、ちょっとしつこいから」って
フラゴンが大嫌いだったのに!

 

私は、スケッチをするどころじゃなくなってしまいました
そして、5メートルぐらい離れたところに座っている
ルビーちゃんと、フラゴンの様子を
紅茶と美味しいレモンケーキをいただきながら
ジッと観察することにしたのです

 

ウェートレスの女の子が2人のところに持ってきたものは
どうやら、マティーニとジントニックのよう

私は、ルビーちゃんのマティーニ好き
そしてフラゴンのジントニック好きは知っていたので
この場面は、なんとなく、へんだけど、納得してしまいました

このあと2人は、ちょっと深刻な顔をしたり、笑顔で話したり…
テーブルの下で手を握り合って、見つめあったり(サングラスのまま)
見ていると、まるでお忍びのデートみたい!

30分、40分…
もしかしたらあれから1時間ぐらい経ったのでしょうか?

ルビーちゃんが先に席を立ち
2人は、別々にカフェを出て行きました…

 

どうして、私の創造物がこんな所で
隠れるようにデートしているの???

私が思ってもいなかった、予想外の展開です…

私は、キャラクターを創造して、育てるのが大好き
それは、ある程度まで育ったキャラクターは
私の手を離れ、というか私の頭の中から飛び出し
ドンドン育ち始め、私に色々なことを語り始め

彼等がストーリーをどんどん広げていってくれるから!

 

でも、まさか私の知らないところで
こんなことも起こっているなんて…

 

いや〜驚いたこと驚いたこと…

 

創造の世界、いと不思議

そういえば、私の母も幻想の世界で生きているようで
私には、見えないものを見ています

「ママ、何見ているの?」
カーテンの方をジッと見ている母に尋ねると

「コマドリが、飛んできたわ、今度はリスよ
カオちゃん、触ってごらんなさい」
と言うので、カーテンの方へ行くと
「あ、逃げちゃった…」と言うし

「ママ、ライオンが来たんだって?」と訊くと
「違うの、蛇よ! 蛇、ほらあそこに」
「どんな蛇? 怖いの? 可愛いの?」と訊くと
「怖くない。可愛くもないわ、自分でちゃんと見てごらんなさい」
と、ちょっときつく言われてしまいました

貴方にも、幻想の世界がある?
それを、楽しんでいる?
そして、時々ビックリすることもある?

 

この現実の世界も、じつは創造の世界であって
全ては、幻想なのですって…

 

そういうお話を聴いたことがある
わかるような、わからないような話だな〜、と思ったけれど

私が現実だと思っている世界も
頭の中から創り出したと思っている世界も

本当は、全部同じで存在しているのかもしれないし
存在していないのかもしれない

全部幻想だとしたら、痛かったり痒かったり
あんなに苦しかったりすることまで!作り上げているの???

私にはよく分からない

 

あらあらまた横道に逸れてしまった…

それにしても、ルビーちゃんとフラゴンの逢瀬には、本当にびっくりした
でも、秘密にしておいてあげることにする

キャラクター同士が恋に堕ちるなんて、滅多にないことだから
今後の行方にちょっと私もドキドキ

 

ロンドンのカフェで、貴方ももしかしたら
ルビーちゃんとフラゴンや、ダイルクロコダイル氏に出逢うかもしれない!

そしたら、そっと観察して
あとで私に教えてね!

ちょっと面白い、私の知らないストーリー展開を知りたいから!

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【きょうのヒント】
今日のヒントは、無くても分かりそうな…

ピカデリーサーカスから直ぐの、ホテルカフェ
明るく華やかで、楽しいお茶の時間だったら表から小さなカフェへ
ちょっと人生に疲れたわ、なんて時には裏の方から是非…

【前回のこたえ】
Ottolenghi, Notting Hill
63 Ledbury Road, London W11 2 AD

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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