高架下の異空間

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cafevisit


母が入院している病院へ行く途中、駅を出たところに
なんとなく気になっているcaféがある
母の転院が決まって、もうこの場所にくることはないだろうな…と思った先日
日曜日の午後‬、お見舞いの帰りに立ち寄ることにした

カフェに入ると直ぐ左にピアノがある
夜は、ライブハウスになるのかな?
天井が高くて、広い空間はロフト的な雰囲気だ
時々ゴトゴトするのも、そう気にならない
特別な物で飾り立てているわけじゃないけれど
ここにはユニークな空気が流れている

それは、きっとここが高架下のcaféだから…

th_Ouji Cafe

都会の中で、空いている空間、高架下

普通はラフでどうしようも無い空間なんだけれど
そこを利用すると、別世界になるような気がする…

高架下にあるお店というと、新橋辺りの呑み屋を思いつくけれど
以前に白金近辺に住んでいた時に
少年野球/サッカーチームが雨天の日曜日に高架下で
こじんまりと練習していたのもよく目にした

考えたら、いろいろな面白い使い方がある

ロンドンでも、スケートボードクラブの練習場になっていたり
アーティストが安く借りることができるスタジオもあった
その他ギャラリー、そしてよくあるのがマーケット

銀食器や宝石など高価なものも置いてある
ポートベローのアンティークマーケットも
ずっと先を行けば高架下のマーケットになって
雰囲気が変わる
ちゃんとしたアーティスト系のお店もあるけれど
外に並ぶストールは古着の山

そういえば、グラスゴーの高架下にもマーケットがあったけれど
そこにあるのは、ホントにびっくり仰天!ただの古着

それに、壊れた家具、絶対に直らないんじゃないの?
と思うような古時計、片っぽうがないピアス
カビが生えていそうな潰れた靴など

ガラクタがごっそり山積みになっている
で、たまにその中にピカリと光る掘り出し物が…
あそこにはないだろうな〜

家賃が安いから、近辺にあるお店よりも

もっと自由な発想でやっていける
それが、高架下の魅力、なんとなく非日常の世界を私はそこに感じる

60代後半のとても素敵な帽子を創るデザイナーの知り合いがいる
彼女自身もとってもチャーミングで
ロンドンの高架下で帽子のブティックをやっている

彼女が高架下にお店を持つっていうことが
カッコいい選択だな、と思う

都会の中の遊びの気持ちが高架下に集まる

そういえば、ロンドンジンの小さな酒造があったのも高架下
それから、以前にここでも紹介したことがあるけれど
洞窟のようなバーもそうだった
昼間から蝋燭の光だけ、座る椅子は傾いているし、
真冬なのに、ドアのないお店の入り口にストーブが1つだけで
コートは絶対に脱げない、薄暗い天井をよくみると

色々な道具のようなモノがぶら下がってっている
自転車、椅子、太いロープ、鍋、ノコギリ、バケツ
なんでもかんでもぶら下がっていて
高架下の穴倉の道具置き場に、テーブルと椅子を並べてお店にした
という全くもって自由自在な発想に感激した私

大都会の中の高架下は
夢の国の入り口

夢想する、と言えばこの方…

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その日、ダイルクロコダイル氏は
あまり来ることのないタワーブリッジの南部を歩いていました
若い絵描きの友人が個展をしているので、それを観るのが目的で来たのですが
お散歩好きなダイルクロコダイル氏は
滅多に来ないこの界隈を歩き回ることにしたのです

ホランドパークに暮らすダイルクロコダイル氏にとって
ロンドンのイーストサイド、それもサウスに行く事はまず無いし
いつもの馴染みのあるケンジントンとはうって違ったエリアを
歩くのは、チョットした冒険です

冒険には二階バスが似合うと思って、ダイルクロコダイル氏は
ホランドパークからバスでリバプール駅に行きました
このバスはロンドンの中心を西から東へ横断するので
ロンドン観光を楽しめるルートです

ダイルクロコダイル氏は、二階の1番前を陣取り
のんびりとした気分で、バスに揺られていると
意識がふっと遠いい昔へ飛びました

それは、ナイルの川辺で
兄や姉たちと隠れんぼをして遊んでいた頃のこと
泊まっていた船にあったバッグの中に隠れてしまったことから
数奇な運命が始まったのです
もしあのままナイル川でみんなと一緒に暮らしていたら
ワニとして、それはまた幸せだったのだろう…

今となっては、どちらが良かったのかはわからない
ワニなのに人間社会で生きるのは
それはそれは大変なことではあるけれど…

英国紳士となってロンドンで暮らしている今の生活も
本来の自分のあるべき姿のようにも感じている

ダイルクロコダイル氏の、なんでも受け入れ
努力を惜しまず前向きに生きる姿勢と
ナイル生まれの、どこか呑気な気質が
今の自分は幸せだと感じさせているのだと思う…

そんなことを考えながら、リバプール駅でバスを降り
そこから歩いてタワーブリッジを渡り
目指す画廊へ向かいました

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実は、この後ダイルクロコダイル氏が行った画廊も高架下にありました
ロンドンの中心地にある画廊ばかりに顔を出していた
ダイルクロコダイル氏にとって
そこはちょっとしたカルチャーショックだったそう

スポットライトだけの薄暗い画廊は
大音響のロックがかかり
真っ黒に塗られた壁には巨大でカラフルな抽象絵画が
釘で貼り付けてある
そして、絵画の前にはこれも又巨大な黒い犬が二匹寝そべっている

犬がちょっと苦手なダイルクロコダイル氏は、ドキドキしながら
二匹の犬と一緒に、絵画の鑑賞をしたそうです

高架下には、日常とは違う世界が広がっていることがよくある

ガランとした暗闇が広がり、夜は絶対に歩きたくない
と、思う場所もあるし、熱心に練習に励むトレーニング場もある
そして、掘り出し物がありそうなお店が集まっている
楽しげなマーケットもある

忘れ去られた場所に、実は夢の国の入り口はあるのです

ウサギ穴から始まったアリスの大冒険のように!

異空間へ飛び込むための入り口を探しに
貴方も高架下探検に出かけてみない???

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【きょうのヒント】
今日のヒントは、カンタン
王子駅高架下
ここから貴方の冒険が始まるかも…

【前回のこたえ】
Randy
港区六本木1-3-37 アークヒルズ アネックス

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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