トキワ荘とお寺カフェ

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cafevisit


スコットランドのグラスゴーにあるフラットの反対側には
大きな教会があるけれど、それは改装され
今はレストラン・バーとなり人を惹きつけている

教会としての役目を終えて、カタチをそのままに残して
caféになったり、レストランやバー、ブティック
アパートメント、そしてフィットネスジムなどに改装されている
こんな元教会をイギリスではよく目にする

石造りだし、天井が高いから改装にはうってつけ
第二の人生を歩み始める教会は、意外と多いのだ

その点、神社やお寺がそのまま残って中は別物って、
あまり聞いたことがないのだけれど、貴方は知っている?

先日、母が転院した先で、caféを見つけた

それは、お寺がやっているcafé
境内に面した三壁面はガラス張りでテラス席もあるから
なんとなく持っている、お寺のイメージとは違って
ここは、とっても明るくて気持ちの良いcaféなのです

緑が多く、お地蔵様や銅像や灯篭があちらこちらにある
キチンとお掃除されたお寺の境内を眺めながら、コーヒーを頂くのは
ちょっと、今までにない体験

ランチもやっていて、その名も 『お寺ご飯』
精進料理のセットメニューだ

右隣の若い女性と、年配の女性が食べているのは
そのお寺ご飯
唐揚げのようなものを食べながら
「これ、何だろう?高野豆腐かしら?おふ?」
「質感が面白いわね」
「どうやって、作るのかしらね?」
「どれも、とても美味しいわね」
と、お寺ご飯を食べながら、2人の会話は
お寺ご飯の話題から、色々なお料理の話に広がっていって
私も、スケッチをしながらついつい会話が楽しくて、聴いてしまいました

私はお寺ご飯ではなく、コーヒーと一緒に美味しいズッキーニマフィンを頂いた
それは、お寺の優しい味でした

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入ってきた時に気がついたのだけれど
お寺のカフェだから?
若い女の子達が座っていそうな、この明るくて気持ち良いお洒落なカフェで
のんびりしているのは、お年寄り達が多い
おじいさんとおばあさんのカップルが二組と
他にもおじいさんが1人おばあさんが2人…

このお寺の裏にはお墓があるから
御墓参りの帰りに、ちょっと寄る、というパターンも多いのかも

私の隣にすわっているおじいさんは立ち上がるのも難儀な様子
やっと立って、杖をついてドアに向かっていく
隣に座っていたおじいさんに挨拶をしていたから
この近所に住んでいてカフェの常連さんなのでしょう

毎日、お墓まいりをして、このカフェに立ち寄って一杯のコーヒー頂く
歳をとった時のそんな日常、素敵だと思わない?

私はおじいさんの後ろ姿を見て、思いました

おじいさんと入れ替わって
私の隣の席に、1歳未満と思われる赤ちゃん連れの若いお母さんと
そのお友達の女性がやってきた
どうやら彼女は、会社がオフな日を使って
久しぶりに友人と会う事にしたようだ…

しかし…
座った途端に若いお母さんはお友達の存在を忘れたかのように
赤ちゃんに話しかけ、あやし始めてしまった
その後も、会話はずっと赤ちゃんについて
お友達が他の会話に持っていっても、すぐに
目線も会話もまた赤ちゃんに戻る

「あ~、それしちゃダメ!お友達が可哀想!」
私は、心の中で、大きな声をだしてしまいました

案の定、お友達は赤ちゃんとお母さんを見ながら
しょうがなく、ニコニコしているのだけれど

「あ~ぁ、折角仕事が休みなのに…会わなきゃよかった…」

と、心の中で思っているのが、私には見えました

私も、何度かこういう体験をして
とても退屈な思いをしたことがありました

久しぶりに会った友人の近況を知りたいし
これからどんな事をしようと考えているのか
など、友人自身の話をしたくて会ったのに…
子供の話を聞いても、私には興味ないし面白くない…

だから私は
「子供が生まれても、友人と会った時に
子供の話は絶対にしないぞ!」

と、誓ったのでした
そして、その誓いを守りました

しかし、考えてみれば
初めて赤ちゃんが来たら、やっぱり夢中になってしまうのが
当然で、話と言ったら、自分の話は全て赤ちゃんに関する事に
なってしまう人だっているのかもしれない
この目の前の若いお母さんが、その人なんだな…

そんなことを考えていたら、おばあちゃんと一緒に
涼しそうなノースリーブのサマードレスを着た
4歳ぐらいの女の子がとっても嬉しそうにカフェに入って来て
窓側の日の当たる席を選んだ
暑いだろうに…と、思っていたら

彼女の顔ぐらいありそうな山盛り一杯の
ピンクのかき氷がテーブルに運ばれた
その時にに見せた顔!
あの何とも、嬉しそうな顔!

そして、なんとも冷たそうに、美味しそうに、食べている
小さな顔を、離れた席から私は見入ってしまいました
やっぱり、彼女もこのお店の常連さんなのでしょう
日の当たるあのテーブルは
かき氷を食べるのには最適な席だ、と知っていたのです

女の子は、食べ終わると、直ぐにカフェを出て、ピョンピョン跳ねながら
おばあちゃんと一緒に境内にいくつもある
お地蔵様や観音様にご挨拶をして廻っていました

このお寺カフェに座って、おじいちゃんやおばあちゃん
赤ちゃん連れの女性達、小さな女の子、隣の席の女性達…
を観察していたら色々なドラマを観ているようで
私は、とても楽しくなってきました

そう!まるでジブリのアニメでも観ているような感じ…

帰りがけに、私も境内を一周まわってみることに…
そして、見つけたのはマンガ地蔵
あのトキワ荘のあった町ということで、出来たらしい
頭を撫でると、想像力やマンガのアイディアが湧くのだそう

想像力がもっと湧き出てほしい!!!
と、思った時
私はこのお寺に又来て、お地蔵様を撫でましょう
その後カフェに座って、周りを観ていたら
またきっと、おもしろいお話をお地蔵様が話してくれるはず…

ホント、いいカフェを見つけたな~

想像力がもっと欲しい貴方、是非お散歩コースに入れて
赤門をくぐって、マンガ地蔵に挨拶をして
そして、カフェに座って周りを観察してみて

何か面白い発見をすると思うから
日常の世界とジブリアニメの世界は、変わらないんだ

と、きっと感じてしまうに違いないから!

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【きょうのヒント】
今回のヒントも、簡単
池袋から1つ目の駅、トキワ荘がかつてあった町の駅前
色々な縁結びのお寺でもあるらしい

【前回のこたえ】
Tagen
‪〒114-0002 東京都北区王子 1-10-9

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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