断捨離のプロが捨てられない箱

0

cafevisit


ついこの間、帰国していた7月に東京で引越しをしたばかりなのに
今回ロンドンに戻ってきたと思ったらまた引越し

本当に、我が家はどれだけ引越しをしているのだろう…
約30年の間に17回
最短で引越しをしたのは、6ヶ月
それは、長男がまだ2歳で次男が生まれる直前の時
あの時が一番短い期間の中での引越しだったけれど
一旦離れてしまった大好きな町に戻ってこられる引越しだったので
お腹の大きな出産直前でも、面倒な気持ちを全く感ずることもなく
楽しく引越しをしたことを、今でもよく覚えている
そういえば、長男を出産する直前にも、私は引越しをしている

で、今回は東京で7月に引っ越したばかり、
そしてその2ヶ月後にまたロンドンでの引越し…
同じ家の引っ越しではないけれど、これは考えてみたら、
その昔の6ヶ月最短の記録を更新するということ?

引越しは、大嫌い!という人が大勢いるけれど、私は引越しが好き

それは、生活を一新させる事が出来る一番簡単な方法だから!
そして、引越しの時は、物と別れる事が出来る、何と言っても一番のチャンスだから

部屋中を空っぽにすることを、数年に一度繰り返していると
自分にとって、本当に必要な物は何か、を定期的に考えることになるので
それは、気持ちよく生活する一番良い方法だと思っている

引越しでもしない限り、仕舞ってあるものを全部出すなんて、不可能だからね

それにしても、引越しをするたびに、これほどまた要らない物が出てくるって
一体何で???と、思うのだけれど
処分して、空いた空間には、新しい物がスーッと、入りやすくなっているようだ
だから、引越しをして、次に移るまでのその数年に、ちゃんとまたモノは増えている

そういえば、何かで読んだことがあったけれど
頭の中や心の中も、いっぱいに詰まっていると、新しい物が入りにくいのですって

確かに考えてみれば、それは当たり前のことで
古い考え方に固執していたら、新しいものの見方も出来なくなる

願い事も、どんどん叶えていけば、新しい願い事がまた入ってきて
それもまた叶って、次に続いて…、と言う事らしいのです

何でも時々入れ替えをしないといけないのでしょう

そんな事を思いながら、昨日もボックスの中に色々なものを詰め込んでいると
私の古いスケッチブックが出てきたので、ペラペラとめくってみて驚いた!

何と、すっかり忘れていた、昔夢中になっていた私のキャラクターが出てきたのです

そのキャラクターは、エジンバラに暮らす前
パースというスコットランドの小さな町に暮らしていた時に
私の頭の中に飛び込んできた、Mr Luviticus
彼は、スコットランドの孤島のお屋敷に暮らしているファッションデザイナー、かなりの変人
その彼が、メイドを募集した時に縁あって
レイジーメードが遠路はるばる、英国南部からやってきて働くことになって…
という、レイジーメードストーリーの中に久しぶりに出てきた新しいキャラクターだったのです

しかし、私はその当時他にも夢中になっていることがあったせいか
ルビティカス氏のストーリーをしっかり書かなかったからでしょう
完全にすっかりと、彼の存在を忘れてしまいました

その忘れてしまっていた、と言う事実に
何よりも、私は本当に驚きました
私がかつてあんなに夢中になって育てていたキャラクターのことを
すっかり忘れていた、ということに…

なぜならそれは
「自分の子供の存在を暫く忘れてしまいました」
と言う事と、私にとっては同じことなのだから

ルビティカス氏を忘れていたことに、驚いたし、ごめんなさいという気持ちだけれど
でも、久しぶりに彼と再会できたことを、私はとても嬉しく思いました

すっかり忘れている、仕舞われた宝物 を見つける事が時にはある引越しが
だから私は好きなのです

それとは逆に、ここ数回引越しをする度に、気持ちが重くなる事がある

これ、秘密にしておきたかった事なんだけれど…

東京の家にも、ロンドンの家にも、【開かずのボックス】というダンボール箱が数個あるのです
それらのボックスは、開けられる事なく
古い家から新しい家にただ移動するだけ
何が入っているのかも忘れているのに

私は、物から心を離すことが普通の人よりも、上手だと自負している
それなのに、数年見なくても大丈夫なものなのを、処分出来ないなんて…

その箱の中に入っているもの?
そう、それは想い出

ほとんどが夫のもの 彼は想い出にこだわるタイプ、どうしようもない
そして次男がどちらかと言うと夫タイプで、やはり想い出が詰まった大きな箱を持っている
長男は逆に赤ちゃんだった頃に使っていた
パスポートだって捨てちゃうタイプなので、ほとんど無し
私の捨てられない持ち物は、たぶん必要のないと思われる
昔描いた作品やノート・スケッチブック等、結構それらは捨てられない

私達がもし、田舎にある大きなお屋敷に住んでいて、
屋根裏部屋にいくらでもそれらの箱を置く事が出来るのだったら
問題ないのだけれど、我が家は都会の小さなアパートメント暮らし
もし、私や夫がとても有名な画家や構造建築士だとかで、
死んだ後に、誰かが私達についての本でも書くのだったら
私達にまつわるすべてのものも、
資料になるのだから大事にとって置く価値があるのだろうけれど
そんなことは、” 多分 “ なくて
私達が死んだら、息子達がそれらを処分するのに困ってしまうだけ

新しいところへ引越しをしても、それらの箱だけは
全く開けられることもなく、そのまままたクローゼットの奥深く
隠れるように置かれるだけ

私は、引越しをするとき、このボックスをなるべく見ないようにして
手を触れないようにしている

偉そうに『すっきりと暮らす幸せ、気分の良いこと!』なんて書いている私としたことが!
箱を見ると悔しくなる

東京で7月に引っ越した時には、思いっきってその東京版開かずの箱を開けてみた
案の定、膨大な古い写真の束が出てきた
よーし、必要最低限の枚数にしてしまうぞー!と、宣言したのだけれど
埃だらけの古い箱から「とりあえず、この新しいボックスに入れて置きましょう」
なんて言いながら、その整理をしないまま、ロンドンに戻ってきてしまった

引越しは、任せて! 断捨離はプロよ! みたいに言い放っている私の部屋に
実は、開けてない想い出の数箱があるなんて
やはり、これはいけないのです
これは、島田カオルの流儀に反しているのです

いらない想い出は清く処分しないと前に進めないじゃない…

今回の引越しで、私は、この箱を思いきって開けてみることにする
多分ルビティカス氏の時のような、アッと驚くようなものはもう出てこないだろうけど
近年引越しの度に、”心に引っかかっていたもの” は取れるはず

新しいスペースが出来たら、私のところに、また新しいものがくるのだから
思い切って必要のないものを見極めて処分!
そして新しいスペースを作って、空気を入れ替えよう!

新しい、私の未知の世界を創るために!

th_muswell-hill

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【きょうのヒント】
今日のヒントは、Muswell Hill の丘の上のコーナーカフェ
ちょっと簡単すぎるヒントけれど…

【前回のこたえ】
グリーンファームカフェ
北海道虻田郡倶知安町山田 167-6

Share.

About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

コメントを残す