フランソワーのスペシャルデー

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cafevisit


 

その道には、もう一軒気になるカフェがあります。

外から見ると花が咲いた様に明るいカントリーモダンな感じのインテリアで
奥には庭もあります。
カフェというよりも、ティールームの雰囲気

今回は入ってみる事にしました

田舎のティールームの感じだし
では目についたスコーンとティーを頂きましょうか?
でも実は、オーダーした後に気がついたのだけれど
ここはフレンチカントリーだったのです

でも、ま、とにかく……

お店は空いていたので、スケッチをするのに一番良い席を
と思って探して、座って
お茶とスコーンが来る前にスケッチを始めようかな?
と思った時

60代位の女性が入って来ました。
ピンクのスカーフとパンツ、そして彼女の持っているオーラでしょうか?
ひらひらとエレガントで可愛らしく美しい
蝶々が飛び込んできたような感じがして
お店の中がより一層、パ〜と明るくなったようでした。

チャーミングなマダムは
何か急いでいる様子で、サンドイッチをオーダーしています

「私、ちょっとしたら戻って来るわ、そこの美容院にいるから」
「マダム、それだったら、出来たら私がお届け致しましょう」
「あら、助かるわ!  ではお願いします」

お店の人と、そんな会話をした後,彼女はまた急いでカフェを出て行きました

その途端!私のいつもの癖!

想像の世界に入り込んでしいました…

*   *   *   *   *   *   *   *   *

その日は、あまり時間がなかったので
フランソワーは、美容院で髪を奇麗に整えてもらっている間に
おなじみのカフェで作ってもらったサンドイッチと
美容師のケリーが煎れてくれた紅茶で
軽くランチを済ませてしまいました。

美容院を出て、いつもの花屋で頼んでおいた
腕一杯抱える程沢山の花束を受け取り、家に戻り
届いていた郵便とEメールのチェックをした後
長年働いてもらって頼りになる、そして最高の料理人でもあるフィリピン人の
ハウスキーパーであるキキのいるキッチンへ降りて行きました

今夜はフランソワーの64歳のお誕生日をお祝いして
仲の良い友人を招いてのディナーパーティーです

「まあキキ、なんと良い匂いでしょう!本当に、美味しそうだわー」

大きな鍋の中を覗いたフランソワーは
キキに満面の笑みを浮かべながら言いました

今夜のメニューは、
夫のフィリップと先日訪れたアイルランド旅行の想い出が詰まった
アイリッシュディナーです

ラム肉の煮込みが苦手なフランソワーは、ラムの代わりに牛肉を使いました。
キキが昨夜から炒めた玉葱とギネスビールをたっぷりと入れて煮込んだ牛肉は
もうとても柔らかです

添えるのは、クリーミーなマッシュポテトと野菜
スターターは、アイルランドから買って来たサーモン
チーズは、フィリップが担当

彼の悪い癖は、とにかくなんでもとても沢山買ってしまうことです
今夜も、きっといつものコンテを中心に
マチュアーチーズ数種類を大量に買ってくるのでしょう

デザートは、ジンに漬けておいた各種のベリーを
お好みでアイスクリームとメレンゲの上に
シャンパンも冷たく冷えています……

キキともう一度打ち合わせをすると、フランソワーは
キッチンにある大きなテーブルの上に買って来た花束を広げて
フラワーアレンジメンントを始めました

これは、フランソワーのお楽しみ
今夜の為に沢山買い求めた花は、色々な種類のチューリップです
4月生まれのフランソワーは、春になり、チューリップが街角の
花屋に並ぶと,買わずにはいられません

美しくアレンジをした花を家のあちらこちらに飾りました
一階のトイレにも、可愛らしい小さなブーケを飾りました

トイレの中はキキが点けておいてくれたキャンドルから
良い香がしています。これは、フランソワーの好きな
ホワイトカンパニーのセーシェル
チューリップの花と、愛想は良さそうです

花を飾って、ディナーテーブルを整えた後
フランソワーは、今夜のために用意しておいたドレスに着替えるために
上階へ行きました

ベッドルームの隣にあるドレッシングルームの窓からは
フィリップが名付けた【フランソワーの秘密の花園】がよく見えます
庭の一番奥にある大きな樫の木の葉が
西に傾いた太陽の光を受けてつやつやと輝いています

庭から聴こえて来る小鳥の歌声とドビュッシーのピアノ曲、【夢】を聴きながら
こうしてお客様が来る前の静かな時間を過ごしていると

自分はなんと幸福なのだろう……

と、つくづく思うのです。

その時、階下のドアが開いて、帰宅したフィリップの声が
聞こえました

「さて、どれだけのチーズを今夜は買って来たのかしら?」

そう思いながら、フランソワーは、階下に降りて行きました

*    *    *    *    *    *    *

ピンクがとても似合うチャーミングなマダムの姿をみて
色々なことを想像しながら
私は軽く焼いてくれた スコーンにクリームを付けて
紅茶と一緒に頂きました

th_MaisonBlanc1MAY2015

その時、私もフランソワーと一緒に
とっても幸せな気持になりました……

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【きょうのヒント】
今日のヒントは、またFulham Roadの西側の方、
先日入ったGail’sの近く
簡単ね!
Have a nice cup of tea!

【先週のこたえ】
Gail’s, Notting HIll
138 Portobello Road, London W11 2DZ
opening hours: 7:00- 19:00 Mon-Fri,
7: 00- 20:00 Sat, 8:00 – 20:00 Sun&Bank holiday

じゃ、又ね!

カオル

 

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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