クリエイターたちのロンドンの家 – 2

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『クリエイターたちのロンドンの家』シリーズ第2回目は、イギリスでカルト的な人気のデザインスタジオRetrouviusのプロジェクトからです。 MariaとAdamという創業者夫婦のバックグラウンドはarchitectural antiques(アンティーク建材)の再利用を専門とする建築家、ここ10年以上イギリスのみならず欧米で大トレンドになっている’salvage’(サルベージ=本来「救出する」「復古させる」という意味ですが、取り壊され捨てられる寸前の建築材・廃材をその名の通り救って再利用すること)シーンを牽引する先駆者です。 建築廃材や古いトイレ・バスタブなどが二束三文で売られるreclamation yard(再生場)をお洒落な若者が闊歩する場所に変えたのは彼らの功績が大きいでしょう。 北西ロンドンに彼らが目利きした廃材・アンティーク/ヴィンテージ家具で溢れた倉庫兼スタジオを構えており、観光がてら見学に行ってみるのもオススメ。

サルベージ系の人気の理由は、新品を買うのと異なり、使い込まれすでに年輪が刻まれ味が出た建築材を使ってオリジナルな自分のインテリアをつくりあげるプロセスそのものを楽しめること、「この壁材は北イングランドの学校の体育館で使われていたんだよ」などとストーリーを語れること。 格好いいけど自分でやるのがすごく難しい彼らのスタイルは著書『Reclaiming Style』で余すところなく堪能できるので、気になった方はそちらもどうぞ。

今日はそのRetroviusが手がけたプロジェクト、建築用語でBrutalist architectureと呼ばれる1970年代築のコンクリート打ちっぱなしのビルBarbican Centreの上階アパート。 Barbican Centreは劇・ダンス・コンサートなどがパフォーミングアーツが開かれる会場も擁しています。

このリビングスペースのカラーはクライアント夫婦がもともと持っていた古本からきています。 ソファを覆うファブリック・アンティークのラグの色も古本の背表紙から丁寧に選ばれたことがわかります。

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パーケット(格子)の壁は小学校の床材として使われていたものをひとつひとつ手で汚れを取り磨き込まれて壁に敷いたそう。 色はもともとのビルの窓枠の色に合わせています。

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10人座れるダイニングテーブルは学校の実験室の実験台を再利用したもの。 ダイニングチェアの座席部分はファッションブランドDunhillで捨てられそうになっていた黒の革を再利用。

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バスルームの壁は改装工事が始まっていたヒースロー空港ターミナル2の床だったライムストーン。

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ベッドのヘッドボードはトルコのラグを再利用。 冷たいコンクリートの建築の中で「温かみ」がキーワードだったので、その通りの空間に仕上がっています。

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Designing with salvaged materials requires vision. – by Retrouvius

廃材でデザインするのに必要なのはヴィジョンだ。

(写真のソース:House and Garden UKRemodelista

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About Author

クローデン葉子

建築インテリアデザイン事務所 Yoko Kloeden Design 経営。 大学卒業後、総合商社や電機メーカーで海外を飛び回るバリキャリ生活を10年した後、夫婦でロンドンに移住、在英8年。 長い海外出張生活で経験した個性のかけらもないアパートやホテル、味気ない空港ラウンジに、空間がいかに人間の心に影響を与えているかに気づく。ロンドン到着後、猫も杓子も家の改装をする文化に衝撃を受け、建築インテリアデザインを学校で学び直す。 ロンドン内のデザイン事務所で修業した後、独立。現在は、南西ロンドンのスタジオで主に個人住宅や商業施設の改装案件を手掛ける。| Instagram @yokokloedendesign | 個人ブログ:https://blog.ladolcevita.jp/

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