ロンドンを歩こう、「ハレ」と「ケ」の建築 – 1

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interior


前回に引き続き、少し建物の内部であるインテリアから離れて、ロンドンの建築のお話です。

イギリスには都市計画法の一環で景観保護のために厳しい法規制があります。 このうち一般住宅に関連するのは①登録建造物(Listed Building)制度と②保全地区(Conservation Area)です。

①登録建造物の選択基準は、1. オリジナルな状態を保っている1700年以前の全ての建造物、2. 1700年から1840年の間に建てられた大半の建造物、3. 1840年以降に建てられた建造物は個別の歴史的な価値、社会的な利益、都市景観などを鑑み個別に判断、となっています(参照:Historic England)。
ただ、登録建造物制度はリストに登録されなければ保存対象にならないため、登録建造物と非登録建造物が混在している場合に、たとえ登録建造物が保存されて も地区としての景観が損なわれるという不都合が生じるようになりました。 都市の景観保存には個別の建築物(点)だけではなく地区(面)の保存が求められ るようになって生まれたのが②保全地区(Conservation Area)制度です。
②保全地区は地方自治体によって定められ、歴史的な市街地や漁村・鉱業村、18・19世紀に建設された郊外などです。

また、例え登録建造物や保存地区制度の対象でなくても建築物の外観の変更には自治体の許可が必要です。

london_period_property_built

上の地図はロンドンの地域ごとの住宅の平均築年です(参照:London Datastore)。  平均築年が1900年以前のエリアは赤く、新しくなるにつれて赤からオレンジ→黄色→緑→青となります。 19世紀以前からロンドン中心部は発展してい ましたが、1930年から1960年代にかけて急速に郊外に発展していったことが読み取れます。 日本の住宅の平均寿命は30年と言われているのに比し て、ロンドンでは多くの人が築100年以上の住宅に住んでいます。

前置きが長くなりましたが、オフィシャルな「ハレ」の建築物かプライベートの「ケ」の建築物かに関わらず、ロンドンでは建物が古いということがわかって頂けたかと思います。 ここからは各時代に建てられた建造物をご紹介します。 これらの集合体が街並みを形成しています。
一般市民が住める住宅が残っているのはジョージ王朝時代からなので、ジョージアン(1714年ー1830年)から現代までです。 どれもググるとすぐ場所がわかる建築物なので、これを片手にロンドンを散歩してみるのも楽しいと思いますよ。

1. ジョージアン様式(1714ー1830年)
「ハレ」
世界で一番有名な(?)ジョージアンの住宅、ダウニング街10番地。 知らなければ通り過ぎてしまうほど地味な外観だそうです。

Downing_Street_Georgian

「ケ」
大英博物館のすぐ近くベッドフォード・スクエア。 このあたりは多くのジョージアン様式の建物が残っていますが、今は多くはオフィスやホテルに改装されています。

Bedford_Square_Georgian

2. リージェンシー様式(1800ー1830年頃)
「ケ」
19世紀初頭ジョージア王朝の最終局面で現れた様式。 写真はリージェントパークに続くパーク・クレシェント。 現在は高級住宅やオフィスに改装されました。

Park_Crescent_Neo-Classical

3. ゴシックリバイバル(1750年ー1870年頃)
上記ジョージアン様式やリージェンシー様式は古代ローマやギリシャへの憧憬から生まれた新古典主義の流れですが、そのブームに対峙する形で中世のゴシックスタイルにインスピレーションを求めてリバイバルブームが起きました。
「ハレ」
廃墟寸前から大改装で蘇ったセントパンクラス・ルネッサンスホテル。 今はご存知、ユーロスターの発着駅で大陸ヨーロッパからイギリスへの陸路での玄関口です。

 

「ケ」
北ロンドンのハイゲートにあるゴシック様式のコテージが集まったHolly Village、訳すと「ヒイラギの村」。 私の友人のご両親の家がここにあり、毎年友人の子どもの誕生日パーティーに招かれるのですが、まるで映画のセットのような雰囲気です。

Holly_Village_Gothic_Revival

長くなったので、まだ続きます。

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About Author

クローデン葉子

建築インテリアデザイン事務所 Yoko Kloeden Design 経営。 大学卒業後、総合商社や電機メーカーで海外を飛び回るバリキャリ生活を10年した後、夫婦でロンドンに移住、在英8年。 長い海外出張生活で経験した個性のかけらもないアパートやホテル、味気ない空港ラウンジに、空間がいかに人間の心に影響を与えているかに気づく。ロンドン到着後、猫も杓子も家の改装をする文化に衝撃を受け、建築インテリアデザインを学校で学び直す。 ロンドン内のデザイン事務所で修業した後、独立。現在は、南西ロンドンのスタジオで主に個人住宅や商業施設の改装案件を手掛ける。| Instagram @yokokloedendesign | 個人ブログ:https://blog.ladolcevita.jp/

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