Old Spikeで思案。今はいったい第何波? 

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イギリスといえば紅茶、というイメージが定着していますが、意外にも英国市民に紅茶が普及したのは17世紀のロンドンの社交場「コーヒー・ハウス」を通じてなんだそう。コーヒーが先だったんですね〜。

ここでは男たちが当時とてもエキゾチックな飲み物だったコーヒーをすすり、チョコレートを味わい、煙草をふかしながら新聞を回し読みしたり、情報交換したり、政治談儀に花を咲かせたりしていたとか。
当時の様子を覗いてみたい気がします。

さて、現代の英国へ。
初めて旅行者としてやってきた頃の(←大昔)ロンドンは、紅茶一辺倒。

コーヒーを頼もうものなら「?」な顔をされ、出てくるコーヒーも「まあ、一応置いてあるけどさ」といったムードのいわゆる泥水系でした。アメリカのシアトル系コーヒーチェーン、いわゆるセカンドウェーブ・コーヒーの時代がやってきたのはずいぶん後のこと。

それから何年も経ってロンドンで腰を落ち着けて暮らし始めたときですら、美味しいコーヒー店を見つけるのはまだ至難の技。コヴェント・ガーデンと南のバラ・マーケットにあったMonmouth Coffeeなど、うまいコーヒー屋は数軒ある程度でした。

 それでもようやくロンドンにようやくコーヒーブームが到来、イギリスのドトールコーヒー的存在のカフェ・ネロ、コスタやプレタマンジェ、御大スターバックスなどが林立するように。今じゃ英国も紅茶よりコーヒー党が多い、なんていう話も聞きます。家では日本のお茶感覚でミルクティーを飲むけど、外ではコーヒーという人も多いそう。それだけ手に入りやすくなったし、味もよくなったし、生活に定着したってことなんでしょうね。
そしていよいよ2010年、ロンドンで「ザ・ロンドン・コーヒー・フェスティバル」が開催。生産地への豆へのこだわり&うんちく、淹れ方などにこだわる第3の波「サードウェーブ」はこのあたりから始まりました。
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ごついマシーンで淹れるこっくりした味のコーヒーに馴染んだと思ったら、コールドブリューやらハンドドリップなどいろいろなトレンドがやってきて…もう何波目なのか分からなくなってしまった最近。フェアトレードや産地とのつながりがストーリーとして紹介されることがごく普通となり、テイスティングやワークショップといったイベントも多くなって、ロンドンのコーヒー・シーンは茶道ならぬ「コーヒー道」みたいな様相を帯びてきています。
ちなみに現在はフィルターで淹れた、フルーティまたはキレのある酸味が特徴の豆を使ったコーヒーが人気のよう。最初は「ちょっと酸っぱい」と感じましたが、淹れる人によっては抜群に美味いこの豆。
同じお店でも淹れる人が違うと味がぜんぜん違うので、バリスタさんの腕が試される種類の豆なんだなと思います。
ちなみにサウスにある全国的に知られるロースタリー「ボルケーノ・コーヒー・ワークス」もこの酸味系コーヒーのはしりです。
さて、こんなことをつらつら考えていた場所は、ロンドンのベストコーヒー・ランキングで上位に食い込んだロースタリー&カフェ「Old Spike」。
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ここの豆はこだわりの酸味系。そしてホームレスの方にトレーニングを提供し一流のバリスタさん&焙煎マスターに育てて世に送り出すといった素敵な活動もされている(コーヒーブームの昨今、美味しいコーヒーが作れるというのはまさしく「手に職」です)。まるで「ビッグイシュー」のカフェ版のよう。
カフェ自体はカウンターのみ。焙煎所の出張所という感じで小さいけれどアットホーム。仕事をするにはせまいけど、みんなちょっと立ち寄って立ち話がてらコーヒーを買っていく感じ。フードメニューがあるのは今のところ週末だけということで持ち込みも可能です(一応お店の方に聞いてみてくださいね)。
自分で豆を選んで仕入れて炒っておいしいコーヒーを入れて、お客に居心地のいいコミュニティの場を提供し彼らと親密な関係を築く…純粋にカフェの原点に還っている感じですね。マスプロダクト、大量消費からシンプルな基本へ。何ウェーブ目のカフェ、なんて括りはあっさり越えちゃっているのかも。
このエリアはまだまだ面白いお店が増えそうなので先物買い気分も味わえます。
ペッカム・ライ公園も近いので、お散歩がてら立ち寄ってみて。コーヒー豆のパッケージも素敵です。
ではまた次回、サウスでお会いしましょう!
Old Spike
54 Peckham Rye, London SE15 4JR
月 – Closed
火 – 金 7:30 – 15:00
土・日 9:30 – 17:00
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About Author

ネモ・ロバーツ

写真家&ライター。日本で広告制作と撮影の仕事に関わったのちロンドンへ。在英邦人向け週刊誌での仕事を経てフリーランスに。ミニマリズム研究家。グルメやオーガニック食などに関するトピックにも目がなく、2013年にはロンドンでアーバン・フォリジング・ワークショップ&講演を行っている作家ケリ・バックマスターとともに、都会における野草採集と英国の多国籍ベジ・カルチャーについて紹介するユニークなレシピ本『Street Food −Urban Foraging and World Food』を出版(撮影)。 不定期ブログ:nemoroberts.wordpress.com

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