食育センセイになる、の巻

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写真を撮りつつ、今日もサウスをうろうろしております。

そんなとき、思いがけないお話が舞い込んでくることがあります。

前回は「コンテストの審査員」でしたが、今回は「小学校の先生」というお題がやってきました。

最初はロンドンの公立校で和太鼓の実演をしようという世間話をしていたのが、いつの間にか食育の話へ。そしていつの間にか自分が6年生を対象に、丸1日授業を受け持つという流れに。
何が起こるか分からないものです。

さあどうしよう。どうしよう。汗。

1授業につき1時間、しかも3クラス分を話し続けるとゲッソリ疲れるのは、以前大人向けの写真ワークショップをやった時に経験済み。

急きょ1人ブレスト。
実習でも入れないと間が持たないぞ、う〜ん…おおそうだ、寿司を作ろう♪

まずは日本をテーマに地理と和食の話をして、みんなが知ってる寿司の話に飛んで、寿司はもともと発酵食品だったという話から発酵食品とは何かという話へ流れ、まとめにクイズの時間。あとは野菜の切り方を教えて、実習タイムにしてしまおう。

よっしゃこれでバッチリ!…のはず。

そして当日になりました。
まず早起きして大鍋で数回に分け1学年分のすし飯を用意。
寿司酢を混ぜてから冷まさないといけないので、この部分は先にやっておく。
こんなに大量のご飯炊いたの、初めて。家中がすし飯臭い。
そして、運ぶの重っ!!いつも運んでるカメラ機材よりずっと重い。

ようやく学校にたどり着き、まず午前中の授業がスタートしました。

英語かみまくりながらも、なんとかトーク部分をパス。
寿司を食べたことがある子・未経験の子の割合は半々ぐらい。寿司という言葉を聞いた事がない子はゼロ。さすが多文化都市のロンドンです。

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お子さまたちが写っているので、今回はプライバシー尊重のため現場写真は割愛させていただきます♪

途中で、
「日本とイギリス、どっちが大きいでしょうか?」
「寿司ってどんなものか、みんなに説明できる人、いる?」
「発酵食品の例、何かあげてみて」
と質問すると、みんなの手がどんどん挙がります。

クラスの3分の2ぐらい、常に手が挙がってる。
しかも自分が当てられるまでずーっと手を挙げている。誰かが話している間も諦めない。
質問しなくてもずっと手を挙げてる子も。腕が疲れそう。

すごいなーと思っていたんですが、手を挙げている子が全員(間違っていても)答えを知って手を挙げている訳ではないことに気がつきました。
分からないことがあれば即、手を挙げる。
とりあえず当てられたいので挙げる。
何か思いついたので挙げる。何かしゃべりたいので挙げる。

みなさん、積極的。
日本で、センセイに問われてから「これで正解かな、大丈夫かな」とおそるおそる手を挙げていた身としては非常に驚きでした。

話したいから手を挙げる。
そっか〜、それでいいんだー!
目からウロコ。

実習のほうもなかなか面白い展開に。予測はしていましたが、まずキッズの包丁さばきが斬新というかあやし過ぎ。

宗教上・アレルギーの問題などがあり、皆が食べやすく道具が少なくて済むベジタリアン手巻き寿司を作ることなったんですが、まず「野菜の千切り」というコンセプトが理解不能だったようで。

ここらへんも英国と日本の食文化の違いですね。

一般家庭ではにんじんやキュウリはたいていごろごろの輪切りですから、千切りの野菜を見たことがない。

実演してみせたら、手品並みにウケました。(笑)

切った野菜の盛りつけもみなさんアーティスティック。
そして試食タイムはワサビをこんもり盛って、大騒ぎ。ワサビで泣く子はクラスにどのクラスにもいて、これはお約束。

ランチタイムはキッズに連れられて学食に連れて行ってもらって一緒に給食を食べました。

午後に校内を歩いていると「Hi, ネモ!」「ネモ、コンニチワ!」「ネモ!寿司おいしかったよ!」とあちこちから声がかかる。
「スシ」もそうだけど「ネモ」って短くて覚えやすいのでしょう。

英国でここまで寿司がポピュラーになった背景には、名前の短さというのもかなり貢献しているのではないかと思った1日でした。

ではまた、サウスでお会いしましょう〜♪

 

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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