よい親の資質はホリデーで試される?

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世界中どこを見てもショッキングな事件が多すぎて、なんか、言葉が出ない今日このごろ…。直接的な影響のない日本人のわたしでも、とりわけ「ブレグジット」の衝撃はまだ尾を引いています。「ポスト・ブレグジット」のプランもなしに音頭取りをした2人の政治家が、目的は達成したし~、あとは任せるし~、とばかりに表舞台から消えちゃうんですから、あまりに無責任。それにしても英国人の良識は、いったいどこへいったの?

一方、キャメロン氏の辞任で、保守党の党首に名乗りをあげた2人の女性下院議員のどちらかが首相となるため、9月にはサッチャーさん以来の女性首相が誕生しますね。候補者のひとり、アンドレア・レッドソム氏がタイムズ紙のインタビューで、もうひとりの候補者のテリーザ・メイ氏には「子どもがいないから、母親やってるアタクシのほうが新首相に相応しい」とも解釈できる売り込み方をし、党内からも反発が出ている模様。

いや~、つい本音が出ちゃったんですよ。働くお母さんはたしかに大変ですし、子育ても仕事も成功させてる女性は偉いなあと思います。でも、首相になるための資質とは別問題。他方、親は、資格も資質もなくてもなるか、ならざるをえないケースだってあります。親という責任の重い立場になっても、誰もがわがままになってきている現代社会では、家族と自分の満足を優先させるためにちょっとした逸脱が起こっているようなのです。

ガーディアン紙の7月7日の記事を見て、そんな親の像がはっきりと見えました(苦笑)。というのも最近の調査によると、昨年、学期中に子どもをホリデーに連れ出した規則破りの親が、イングランドとウェールズを合わせただけで約9万人もいたのです! これには、驚きと納得の半々かな…。知らなかったのが、公立学校に通わせている親には、1人につき60ポンドの罰金が科せられていること。その額、昨年度はしめて560万ポンド!

クラスのお友だちはみんなホリデーに連れていってもらうのに自分だけいけない、という思いを子どもにさせたくない親が、なんとかしたいという気持ち、よくわかります。でも、夏休み中の家族旅行は、決して安くはあがりません。ハイシーズンの海外旅行は150%増があたりまえ。で、背に腹は代えられない? 規則を破る悪いお手本を子どもに示すことになり、罰金を払ってでも、安い時期のホリデーならいけるぞ!となるわけです。

ただし、21日以内に罰金を払わない親は起訴され、重い刑罰が科せられるそうなのでご注意を。とまれ、太陽の光を浴びることに情熱(執念?)をもつ英国人が、なにより優先させるホリデー。子どもにはピアプレッシャーがかかります。親だって、プレッシャーはすごいはず。子を思う親のこの行為は、正当化できるのか、単なるわがままなのか、そして、よい親になるために何が求められるのかということまで、考えさせられる問題…。

それでも、学期中のホリデーは増加の一途をたどっているらしく、政府にとっても頭の痛い問題のよう。このうっとうしい梅雨が明け、「夏本番」の暑さなんかだれも望んでない日本の子どもたちにも、羨ましいほど(たいがい)涼しい英国の子どもたちにも、間もなく、夏休みがやってきます。

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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