まさに混迷の時代。世界中のメディアの伝えるニュースは、心に平和を与えてくれません。というわけで、今回はあえてトップニュースを避け、心の緊張がほぐれる話題を――1月29日付のインディペンデント紙やBBCが、「ロンドン名物」ともいえる自然史博物館(NHM)から恐竜を退場させる、というニュースを伝えました。サウスケンジントンの「顔」が消えてしまうんですよ! これ、かな~りショックなんですけど…。
しかし記事をよく読むと、「ディッピー」の愛称で、百年以上にわたって親しまれてきたディプロドクスの全長26メートルのスケルトン(レプリカ)は、NHMから消えてしまうわけではなく、ほかの場所に展示される予定で、今後は英国内の展示場に貸し出すこともあり得るとか。それにしてもこのディッピー、最初から玄関ホールで出迎えてくれていたわけではなく、現在の場所に連れてこられたのは、1979年のことだった!
2017年から、恐竜に代わってわたしたちを出迎えてくれるのは、シロナガスクジラの全長25.2メートルのスケルトン。大きさはさほど変わりませんが、なんといっても、こちらはレプリカではなく本物の骨でできてます。そこが大きな違い。1891年にNHMが250ポンドで購入したもの、といいますから、お買い得品でしたね。少々不気味な19世紀の雰囲気が漂う博物館には、目立たないお宝がごっそり眠っているもよう…。
今回の交代劇は、NHMが、種と生態系の保護を身近に考える機会を、とりわけ次世代を担う子どもたちに与えるべく、絶滅危惧種に指定されているシロナガスクジラを、そのシンボルとしてフィーチャーするため。完璧なスケルトンの大きさから、さらなる「ワオ~!」効果をあてこんでのことらしく、展示方法にも最新技術が駆使されるそうです。こちらに向かってダイヴするシロナガスクジラが、ハッといわせてくれるのかな?
とはいえ、(調査捕鯨の名のもとに?)いまも捕鯨文化の伝統を維持し、世界から非難の対象になっているニッポン人には、いささか、居心地の悪い出迎えになりそう。です?
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