トーマスが怖い

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usagi


動物園のボランティアのお友達で、とても美しい方がおられるのですが、このお嬢さんがまたたいそうお可愛らしい。

ロンドンは人種のるつぼで、ありとあらゆる容姿の方々を目にいたします。ところが、長いこと暮らしておりますと目が慣れてしまって、人というのはこういったものだと脳が新たなマニュアルを作り出してしまい、穴が2つ開いてるだけの鼻が真ん中についている平たい自分の顔が地下鉄の窓に映ると、ぎょっとすることがございます。特に試着室などに入ると、三方鏡に囲まれて、お正月の初詣で大凶を引いてしまったような気分で出てくることも少なくありません。生まれた時から美しい容姿に恵まれ、囲まれ、美的感覚もたいそう違ってくるのではないかと思うのです。それは、特に子供のおもちゃやキャラクターを見ていると、同じわけがないと強く感じるのであります。

わたくしは、子供の頃からセサミ・ストリートやディズニーのキャラクターに、敵対心はございませんが特に親近感を覚えることもなく、どちらかというと「魔法使いサリーちゃん」「魔法のマコちゃん」「魔女っ子メグちゃん」「ひみつのアッコちゃん」「メルモちゃん」などの魔法使いものにうつつをぬかしておりました。ところが80年代にアメリカで「キャベツ畑人形」というものが大ブームとなり、初めてそれを目にした時は、チャイルド・プレイのチャッキーを見た時のような恐怖感に襲われたものでございます。キャベツ畑人形をご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、これはアメリカのColecoというメーカーが作った、赤ん坊もしくは幼児の形をした抱き人形で、顔・髪型・肌・目の色・服装の違いで6000以上の種類があり、同じ種類の人形はないのだそうです。過去30年で1億体を販売したのだそうです。あぁ怖い。どこかの星の異星人が、地球侵略を試みてばらまいた秘密兵器なのではないでしょうか。ちっともかわいくないのであります。

ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ、バーナード・リーチをはじめ、テイト・モダンの現代美術や、街中のショー・ウィンドウ、カフェやらパブやらイギリスには美しいものが山ほどあるのでございます。一方で、わたくしは ‘Thomas the Tank Engine’、 ‘In the Night Garden’ が怖い。Humleys がなんだか気持ち悪いのでございます。これはわたくしだけではなく、多くの日本人の方々が、イギリスのキャラクターに違和感を覚えるという声を聞くのであります。

まだこの世に生まれて間もない子供達が皆夢中になるのですから、きっとすごい魅力があるのでしょう。そして、わたくしが怖がるのは、サリーちゃんやアッコちゃんで育ったからこその、特殊な美意識があるからこそなのでしょう。むしろ、これらを怖がる日本人の感覚の方が特殊なのかもしれません。

あ、TeletubbiesのPoは例外です❤️

th_skye and characters

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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