ロンドンの音、英語で話すときの声

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ロンドンのバスやチューブの車内に流れるアナウンスはボリュームがとても大きいのであります。地下鉄では携帯が通じないところがほとんどなので誰もかけませんが、バスの中では皆さん思いっきりお電話されておりますし、お話しされる声が大層大きくていらっしゃるのです。日本では車内の携帯は基本的にタブーになっているようですし、もし話さなくてはいけない事態になったら、口元を押さえてささやき声でお話をされている方もよく見かけます。

耳が遠いというわけでもないのに、こちらは普通に会話する声も日本に比べると大層大きいように思えるのです。そういえば、わたくしも日本語で話す声と英語で話す声は違います。日本語で話す方がトーンが高くなりますし、どういうわけかこのトーンでは英語は話せません。そういえば、こちらに来てまだ間もない頃に、一緒に暮らしていたイギリス人の友達に「なんで電話で話すといきなり声がネコになるの?」と聞かれたことがございました。日本におりましたときは、自分で言うのもなんですが電話の声がウグイス嬢のように美しく、お客様に幾度となくお褒めの言葉をいただいたこともございます。ところがこちらに住んでしばらくしたら、電話の声も声変わりを迎えた青年のように、えらくドスの効いた声に変わっておりました。

一方で、日本はスーパーマーケット、デパート、レストランなどなど、ありとあらゆるところで音楽を流しております。こちらでも賑やかに音楽を流したり、フットボールの中継を見せる大きなスクリーンがあるパブも少なくありませんが、何も音楽を流していないパブもけっこうございます。バーやクラブ、もしくは生演奏が入っているところはもちろん別ですが、音楽を流しているスーパーやレストランはまずありません。

何においても日本のアブラゼミの鳴き声は、ドリルで道を掘り返す道路工事の騒音にも匹敵する騒々しさを感じさせるのであります。イギリスにはセミは全くおりませんので、夏に日本を訪れるイギリス人はたいそう驚くことと思います。そして日本は秋になると、夜の虫が大合唱を始めます。これは風情があってとても美しいと思います。温暖化のためイギリスにもコオロギの数が増えてきてはいるようですが、日本のように音を奏でる虫はとても数が少ないです。

さて、イギリスは虫の声はいたしませんが鳥はよくさえずります。ウグイスこそおりませんが、Blue Tit, Great Tit, Wren, Robin, Blackbird、郊外だけでなくロンドンでもそれは見事にさえずるのです。Robinは地中のミミズが食べたくて、ガーデニングをすると必ず周囲をうろつく愛らしい小鳥です。といっても気性は大層荒い小鳥なんだそうですが、幾つも違うメロディをそれは高らかに歌い上げます。

Robinのさえずりも見事ですが、Black Birdの歌は胸を打たれます。以前Berkley Squareを夜歩いていたときに、美しい鳴き声が響き渡っておりました。「あぁこれこそNightingale Sang in Berkeley Squareだわ」と感動しかけたのですが、「これは街灯を夜明けと勘違いして鳴いているBlackbirdだよ」と教えられました。鳥は一番声が響き渡る夜明けを選んでよく鳴くそうなのです。Nightingale ではありませんでしたが、それに勝るとも劣らない美しい歌でございました。

イギリスは庭に鳥の餌台をしつらえる方々が沢山いらっしゃいます。ペットショップはもちろんのこと、スーパーやパウンドショップでもワームやボールに丸めた鳥の餌が沢山売られています。動物園のペンギン園にはアオサギが同居しているのですが、作り物のアオサギも数羽岩の上に置いてあり、生きているアオサギも微動だにしないでじっと立ち尽くしているので一瞬見分けがつきません。イギリス人の鳥に対する愛情はことさら深いものだとしばしば思うのでございます。

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About Author

トキタアヤ

洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あってThe Timesの挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。足掛け4年、ロンドン動物園で週に一度制服を着てボランティア活動にいそしむ。

4件のコメント

  1. トキタアヤ

    お皿を ´д` ;
    あぁそれは一大事でございます。お大事にされますように。そして1日も早くご回復なされますように。

    美術がお好きでいらっしゃるのですね!
    サージョンソーンズ美術館は学生の頃に初めて訪れたことがあるのですが、開いた口がふさがらなかったです。今日また行ってきちゃおうかしら。(^з^)

  2. コメントの返信ありがとうございました、義母が転んで膝のお皿を割り?!バタバタとしております ロンドンに行っても雨に降られる事も無く、WilliamMorris好きには魅力的な街でV&Aは外せない所です。
    あぶそる〜と いつも楽しみに読まさせて頂いています。あ ダリやマグリットやエッシャーなど不思議な物、トキタさんのイラストに惹かれます 今回はサージョンソーン美術館に行ってわくわくして帰宅しました ぜひまた訪れたい場所です。

  3. トキタアヤ on

    あぁ、イヤホンで話されるとこれまたすごいですよね !

    6回目!すごいです!! 
    夏休みの終わった9月は喧騒もひき、心地よく涼しくなっているのでうってつけですよね。きっといろいろと楽しい体験をされていることでしょう(*´꒳`*)

  4. 昨日ロンドン旅行から帰ってきました、6回目です。暫くするとまた行きたくなるのです。何故でしょう?人生後半に入り楽しみの一つです。ホントにロンドンでは皆さんイヤホンで大声で歩きながらでも話されているので面白いですね。

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