誰がコマドリ殺したの?

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usagi


夏の小鳥のさえずりは清々しくたいそう賑やかなものですが、秋になるとおおよその鳥は無口になるか、暖かいところに居を移してしまいます。その一方で、それでなくても大音量のロビンの歌声は、しんとした冬になるとますます際立ってまいります。

日本語でロビンとはコマドリのことでございますが、こちらのロビン(ヨーロッパコマドリ)と日本のコマドリは見てくれも鳴き声も微妙に異なります。若い方はご存じないと思いますが、私が日本におりました頃は、ロビンといえばパタリロの「だ〜れが殺したクックロビン♩」でございました。もしくはもっと遡ると、萩尾望都の「ポーの一族」にこの詩が出て参ります。’Who Killed Cock Robin’ – この詩はマザーグースの一編なのですが、実際に成立した年代もしくは作詞者などは、未だにはっきりしておりません。そもそも萩尾望都が マザーグースの‘Cock Robin’(コックロビン)を’Cook Robin’ と読み間違え、「クックロビン」とカタカナ表記をしたことから日本では「クックロビン」と呼ばれることが多いそうです。

ロビンは庭仕事をしていると必ず現れる、胸の赤い可愛らしい小鳥ですが、彼らは大食の肉食獣でございまして、土を掘り返す人間の傍でミミズが掘り出されるのを待ち構えているのでございます。慣れてくると、人の手から直接ワームをもらうロビンもいるようです。ロビンはイギリスの人々に大変愛されている鳥で、1961年のタイムズの人気投票では一位だったそうです。2015年に行われたイギリスの国鳥を決める投票でも、みごとに堂々の一位を獲得いたしました。

ロビンは先ほども申し上げましたように、夏の小鳥が姿を消す冬でも高らかに歌い続け、赤い胸をしていることからもクリスマスカードのモチーフなどによく使われます。通常はイギリスの冬はそれほど冷え込まないので、雪が降ることは滅多にございません。白をバックに小首を傾げる赤い胸のロビンはどんなに美しかろうと、ホワイトクリスマスをつい待ち望んでしまうのです。

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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